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中野人事法務事務所中野 泰(なかの やすし)

ブログ記事一覧

アルバイトが毎日働きたいと言ってきた。休日なしでも問題ないか?

毎日1時間の契約働いているアルバイトがいるとします。
このアルバイトが毎日働きたいと希望があった場合、
休日なしで働いてもらうことに問題はあるでしょうか。

労働基準法では、原則として週一日の休日を
与えなければならないとされています。
(4週4日でも可)

この労働基準法で定められた休日を法定休日と言います。

従業員の健康を守るためにも、
法で定められた休日を確保することは重要ですが、
今回の事例のように、法定休日に出勤することもあり得る話です。

仮に法定休日に出勤させる場合は、
例え1日当たりの勤務時間が短くても、
休日の割増賃金(35%)を加えて支払う必要があります。
(なお、三六協定が締結され、労働基準監督署に
 届けられていることが前提です。)

時給1000円のアルバイトが法定休日に出勤する場合は、
時給1350円で計算する必要があります。

時給で働くアルバイトやパートだからと言って、
いつでも同じ時給でよいということではございません。
ご注意ください。

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パート・アルバイトに対する有給休暇【比例付与】

まず、大前提として押さえておきたい点は、
アルバイトやパートであっても
要件さえ満たせば年次有給休暇が付与されるという点です。

【年次有給休暇が付与される要件】

年次有給休暇が付与される要件は下記の2つです。

1 雇い入れの日から6か月経過していること
2 その期間の全労働日の8割以上出勤したこと

【年次有給休暇の付与日数】

1 原則的な日数


下記のいずれかの要件が当てはまる場合は、
表1が適用されます。

 1 週所定労働時間が30時間以上
 2 所定労働日数が週5日以上
 3 1年間の所定労働日数が217日以上

《表1》

雇入れの日から起算した勤続期間
 ⇒ 付与される休暇の日数

  6か月   ⇒ 10労働日
1年6か月   ⇒ 11労働日
2年6か月   ⇒ 12労働日
3年6か月   ⇒ 14労働日
4年6か月   ⇒ 16労働日
5年6か月   ⇒ 18労働日
6年6か月以上 ⇒ 20労働日

年次有給休暇の付与要件を満たした場合、
入社6ヶ月経過日に10労働日の年次有給休暇が付与されます。

また、最初に年次有給休暇が付与された日から1年を経過した日に、
最初の年次有給休暇が付与されてから
1年間の全労働日の8割以上出勤していれば、
11労働日の年次有給休暇が付与されます。
その後、同様に要件を満たすことにより、
表1に示す日数が付与されます。

2 比例付与

パートタイム労働者など、
所定労働日数が少ない労働者の場合の
年次有給休暇の付与日数は表2の通りです。

なお、表2は、次の要件を満たしている場合に適用されます。

1 週所定労働時間が30時間未満

かつ

2 週所定労働日数が4日以下
  または
  1年間の所定労働日数が48日から216日までの労働者

《表2》

比例付与.png

【比例付与による年次有給休暇のポイント】

なお、上記の表は原則的には週所定労働日数で判定します。
例えば、月曜日と木曜日の週2回出勤する契約をしている
アルバイトの場合は、週所定労働日数2日の行を見るわけです。

ただ、中には週所定労働日数を決めずに、
働いているアルバイトの方もいます。

こうした場合、1年間の所定労働日数の欄で判定をします。

また、今まで週4日の契約で働いていたアルバイトが
年次有給休暇付与日直前に週1日の契約に変わった場合、
付与日数は、週1日の行で判定します。
逆のパターンも同様です。

結局、付与日の時点での契約の状況に応じて
付与すればよいということです。

【時期指定権と時期変更権】

年次有給休暇は、労働者が請求する時季に
与えなければならないと労働基準で定められています。
これを時季指定権と言います。

一方、使用者は、労働者が請求した時季に
年次有給休暇を与ることが
事業の正常な運営を妨げる場合にのみ、
他の時季に年次有給休暇をえることができます。
これを時季変更権と言います。

なお、年次有給休暇を付与しないとすることはできません。

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1年単位の変形労働時間制と休日の特定

「7月から9月までの間に労働者の指定する
 3日間について休日を与える」
というような制度がある会社が
1年単位の変形労働時間制を採用することになりました。

上記3日間については、休日が特定されないこととなりますが、
この特定されない3日間を労働日から除外して
協定することはできるでしょうか?
(労働日=全期間の暦日数-特定された休日-3日間)

1年単位の変形労働時間制を導入する場合は、
労使協定で労働日を特定することが求められています。

労働日を特定するということは、裏を返すと
休日を特定することでもあります。

今回の事例のように変形期間開始後にしか
休日が特定できない場合は、
労働日が特定されたことにはなりません。
(平成6年5月31日 基発330号)

1年単位の変形労働時間制を採用したい場合は、
3日間の休日をあらかじめ特定する制度に改めることが
求められます。

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法内残業に対する賃金はいくら支払えばよいか?

1日の所定労働時間が7時間の会社があります。
こちらの会社の従業員が1時間残業した場合、
残業手当の額について、どのように考えればよいのでしょうか?

1時間残業をしたと言っても、
1日の法定労働時間である8時間を
超えているわけではありませんので、
割増賃金の支払い義務はありません。

ただ、普段支給されている給与は
所定労働時間7時間分の給与ですから、
別段の定めがない限り、
残業1時間については、
通常の労働時間の賃金を支払わなければいけません。

例えば、この従業員が時給1000円で働いている人である場合、
2割5分の割増をして1250円を支払う必要はありませんが、
時給1000円を残業代として支払うということです。

ただし、労働協約や就業規則などによって
法内残業部分に対して、別に定められた賃金額がある場合には、
その別に定められた賃金を支払うことも問題ありません。
(昭和23年11月4日 基発1592号を元に作成)

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懲戒解雇。解雇予告手当を支払いたくない場合、どうする?

懲戒解雇の際、通常は即時解雇となりますが、
通常、会社としては懲戒解雇となる人にまで、
解雇予告手当は支払いたくないと考えます。

このような場合は、所轄の労働基準監督署に
「解雇予告除外認定申請書」を出してください。
書式はこちらです。
解雇予告除外認定申請書.doc

本来、会社は、労働者を解雇しようとする場合には
少なくとも30日前にその予告をするか、
30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を
支払わなければなりません。

ただし、労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する等の場合には
この手続は除外されます。
ただし、その事由については、
所轄労働基準監督署長の認定を受けることになっています。

なお、この書類を提出する際、
原則的な提出書類は下記の通りです。

すべて2部作成して、監督署に提出してください。
解雇予告手当除外認定申請書も原本が2部必要です。
1部原本、もう1部はコピーでは不可とされますので、ご注意ください。

なお、こうしたルールや添付書類については、
労働基準監督署により異なるケースがあります。
実際に申請する際は、事前に所轄の労働基準監督署にご確認ください。

【提出書類の一覧】

1 解雇予告手当除外認定申請書
2 事実の経緯が分かるもの(書式自由)
3 本人の労働者名簿
4 本人の現在の連絡先が分かるもの
  (労基署が本人にも確認作業を行うために必要となります。)
5 懲戒部分の就業規則のコピー
6 懲罰委員会を開いた場合は、その議事録
7 本人の始末書があれば、そのコピー

当日は、事情を口頭で確認しつつ、
書類の不備の有無を確認し、
受理印を押してもらうだけです。
受理印は書類を預かったという印であり、
申請が認められたかどうか、という判断とは関係ございません。

労基署は、本人からも事情を聴取します。
その上で、直接御社に労基署から電話で連絡があります。
(今までの経験上、3~4日かかるケースが大半です。)

申請が認められない場合は、
下記の2択となります。

1 認定しないという処理を確定させる。
2 申請自体を取り下げる。

今後、裁判等で争われる可能性を考えると、
取下げの方がよろしいかと存じます。

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経営が苦しくなった時に思い出していただきたい解雇等に関するルール 7

解雇に関するルール、第7回(最終回)です。

これまで取り扱った内容については、
下記のリンク先でご覧ください。

1 解雇が禁止されているケース
2 解雇の効力

3 解雇の手続
4 解雇事由

5 整理解雇
6 退職勧奨

7 勤務成績を理由とする解雇

第5回
8 有期労働契約の雇止め

9 採用内定取消
10 入社時期の繰り下げ

今回は退職時の証明ついて、
厚生労働省発行のパンフレットを
若干ですが読みやすいように改変・追記して、
皆様にご紹介致します。

11 退職時の証明


労働者から請求があった場合には、
解雇の理由等について、証明書を交付する必要があります。

【法令】

労働者が退職する場合に、
以下の事項について証明書を請求したときには、
遅滞なく証明書を交付しなければなりません。

また、労働者に解雇の予告をした場合に、
労働者が解雇の理由について証明書を請求したときには、
遅滞なく証明書を交付しなければなりません。

この証明書には、労働者の請求しない事項を
記入してはなりません。
(労働基準法第22条)

1 使用期間
2 業務の種類
3 その事業における地位
4 賃金
5 退職の事由
  (解雇の場合は、その理由を含みます。)

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経営が苦しくなった時に思い出していただきたい解雇等に関するルール 6

解雇に関するルール、第6回です。

これまで取り扱った内容については、
下記のリンク先でご覧ください。

1 解雇が禁止されているケース
2 解雇の効力

3 解雇の手続
4 解雇事由

5 整理解雇
6 退職勧奨

7 勤務成績を理由とする解雇

第5回
8 有期労働契約の雇止め

今回は内定取消や、入社させてもいきなり
休職させる入社時期の繰り下げについて、
厚生労働省発行のパンフレットを
若干ですが読みやすいように改変・追記して、
皆様にご紹介致します。

9 採用内定取消し

採用内定により労働契約が成立したと認められる場合には、
採用内定取消しは解雇に当たり、
労働契約法第16条の解雇権の濫用についての
規定が適用されます。

したがって、採用内定取消しについても、
客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当であると認められない場合は、
権利を濫用したものとして無効となります。

なお、採用内定通知等に採用内定取消事由が記載され、
解約権が留保されている場合があります。
(解約権が留保:一定の条件を満たした場合は、
 労働契約を解約するということ。)

裁判例によれば、採用内定の取消事由は、
解約権留保の趣旨、目的に照らして
客観的に合理的と認められ
社会通念上相当として是認することが
できるものに限られるとされています。

採用内定取消事由が
客観的に合理的と認められ
社会通念上相当として是認できないものであれば、
その事由をもって、採用内定の取消を
することはできないということです。

【法令】

上記のほか、採用内定により
労働契約が成立したと認められる場合には、
採用内定取消しには、労働基準法第20条(解雇の予告)、
第22条(退職時等の証明)等の
規定が適用されます。

このため、やむを得ない事情により
採用内定取消しを行おうとする場合には、
次の点を遵守するようにしてください。

1 使用者は解雇予告等解雇手続を
  適正に行うこと
2 採用内定者が採用内定取消しの理由について
  証明書を請求した場合には、
  遅滞なくこれを交付すること

【裁判例】
(読みやすくするため、多少、文章を改変)

採用内定の実態は多様であるため、
その法的性質を一義的に論断することはできませんが、
採用内定通知のほかには労働契約締結のための
特段の意思表示が予定されていない場合、
企業からの採用内定通知は労働者からの
労働契約の申込みに対する承諾であり、
誓約書の提出と相まって、
就労の始期を定めた解約権を
留保した労働契約が成立したと解釈します。

採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、
また知ることが期待できないような事実であって、
これを理由として採用内定を取消すことは、
解約権留保の趣旨、目的に照らして
客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として
是認することができるものに限られます。
(最高裁第二小法廷 昭和54年7月20日判決)

10 入社時期の繰下げ

採用内定の際に定められていた
入社日は変更しないものの、
事業主の都合により休業させ、
実際の就業をさせない措置(自宅待機)を行う場合には、
その期間について、労働基準法第 26条に定める
休業手当を支払う必要があります。

事業主の都合により、採用内定の際に定められていた
入社日を延期する措置(入社日の延期)を行う場合には、
原則として採用内定者の合意を得る必要があります。

参考 新規学校卒業者の採用内定取消しの防止

新規学校卒業者に対する事業主の一方的な都合による
採用内定取消し及び入職時期繰下げは、
その円滑な就職を妨げるものであり、
特に、採用内定取消しについては、
対象となった学生及び生徒本人
並びに家族に計り知れないほどの
打撃と失望を与えるとともに、
社会全体に対しても大きな不安を与えるものであり、
決してあってはならない重大な問題です。

このため、採用内定取消し、入社時期繰下げの防止等について
考慮すべき事項について
「新規学校卒業者の採用に関する指針」を定めています。

また、やむを得ない事情により採用内定取消し
又は入職時期繰下げを行おうとするときは、
あらかじめハローワーク等に通知を行うことが必要です。

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経営が苦しくなった時に思い出していただきたい解雇等に関するルール 5

解雇に関するルール、第5回です。

これまで取り扱った内容については、
下記のリンク先でご覧ください。

1 解雇が禁止されているケース
2 解雇の効力

3 解雇の手続
4 解雇事由

5 整理解雇
6 退職勧奨

7 勤務成績を理由とする解雇

今回は厳密にいうと解雇ではありませんが、
雇用期間を定めて契約する、有期労働契約の
雇止め(期間満了に伴う雇用契約の終了のこと)について、
厚生労働省発行のパンフレットを
若干ですが読みやすいように改変・追記して、
皆様にご紹介致します。

8 有期労働契約の雇止め

有期労働契約(期間の定めのある労働契約)については、
契約の締結時や期間の満了時における
紛争を未然に防止するため、
労働基準法の規定により、
締結時に書面の交付により「更新の基準」を
示すこととされているほか、
使用者が講ずるべき措置について、
「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」が
定められています。

【法令】

有期労働契約の締結時には、
契約期間とともに「期間の定めがある労働契約を
更新する場合の基準」についても、
書面の交付によって明示しなければならない事項となります。
(労働基準法第15条、労働基準法施行規則第5条)

具体的に明示すべき内容としては、
下記の通りです。

1 「更新の有無」の具体的内容の例

  ★自動的に更新する
  ★更新する場合があり得る
  ★契約の更新はしない 等

2 「判断の基準」としての具体的内容の例

  ★契約期間満了時の業務量により判断する
  ★労働者の勤務成績、態度により判断する
  ★労働者の業務を遂行する能力により判断する
  ★会社の経営状況により判断する
  ★従事している業務の進捗状況により判断する 等

「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」の
主な内容は、次のとおりです。

1 有期労働契約が3回以上更新されているか、
  1年を超えて継続勤務している有期契約労働者について、
  有期労働契約を更新しない場合には、
  少なくとも30日前までに予告をしなければなりません。
2 雇止めの予告後に労働者が雇止めの理由について
  証明書を請求したときには、
  遅滞なく証明書を交付しなければなりません。
3 有期労働契約が1回以上更新され、かつ、
  1年を超えて継続勤務している有期契約労働者について、
  有期労働契約を更新しようとする場合には、
  契約の実態及び労働者の希望に応じて、
  契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。

参考 有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準

「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」は
労働基準法に基づく厚生労働大臣の告示であり、
雇止めの手続等について定めています。
罰則はありませんが、労働基準監督署において
遵守のための指導が行われます。

労働契約法による規制

有期労働契約であっても、
期間の定めのない契約と実質的に異ならない
状態に至っている契約である場合や、
反復更新の実態、契約締結時の経緯等から
雇用継続への合理的期待が認められる場合は、
労働契約法の規定により、
雇止めが認められないことがあります。

【法令】

まず、下記の2点のいずれかを
満たしているかをご確認ください。

1 有期労働契約が反復更新されたことにより、
  雇止めをすることが解雇と社会通念上
  同視できると認められる場合
  (契約の更新手続きをいい加減にしていると、
   この要件に当てはまりやすくなります。)
2 労働者が有期労働契約の契約期間の満了時に
  その有期労働契約が更新されるものと
  期待することについて
  合理的な理由が認められる場合
  (「普通にやっていれば更新するから」等と
   安易な発言をしないようご注意ください。)

上記の要件のいずれかに当てはまる場合で、
なおかつ、次の要件にも当てはまる場合、
雇止めは認められません。

1 使用者が雇止めをすることが、
  客観的に合理的な理由を欠き、
  社会通念上相当であると認められない。
  ⇒「客観的に合理的な理由」「社会通念上相当」
   という文言は、労働契約法の
   解雇の判定基準に出てくる文言と同一です。

2 労働者からの有期労働契約の
  更新の申込みがされている。
  (契約期間満了後でも遅滞なく申込みをすればOK)

雇止めが認められない場合、
使用者は、従前の有期労働契約と
同一の労働条件で労働者による有期労働契約の更新
または締結の申込みを承諾したものとみなされ、
有期労働契約が同一の労働条件
(契約期間を含む)で成立します。
(労働契約法第19条)

労働者からの更新の申込みは、
使用者による雇止めの意思表示に対して
「嫌だ、困る」と言うなど、
労働者による何らかの反対の意思表示が
使用者に伝わるものでもかまわないと解されます。

この規定は、雇止めについて、労働者保護の観点から、
一定の場合に解雇に関する法理を類推適用して
雇止めの可否を判断するとの確立した
判例上のルール(雇止め法理)が条文化されたものです。

最後に、雇用期間中に会社側の都合で
雇用契約を終了させると「解雇」になります。

有期雇用契約の解雇のハードルは、
一般に期間の定めのない契約をしている正社員の
解雇のハードルよりも高いとされています。

これは、正社員と異なり、
契約期間の終了日が決まっているにもかかわらず、
それよりも短い期間で雇用契約を終了させるからには、
それ相当のやむを得ない理由がないとダメだ、
という考えが背景にあるためです。

「アルバイトだから」「パートだから」と
安易に解雇をしていると、
アルバイトやパートとトラブルになった際、
法的には劣勢に立たされかねません。
ご注意ください。

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経営が苦しくなった時に思い出していただきたい解雇等に関するルール 4

解雇に関するルール、第4回です。

これまで取り扱った内容については、
下記のリンク先でご覧ください。

1 解雇が禁止されているケース
2 解雇の効力

3 解雇の手続
4 解雇事由

5 整理解雇
6 退職勧奨

今回は能力不足による解雇について、
厚生労働省発行のパンフレットを
若干ですが読みやすいように改変・追記して、
皆様にご紹介致します。

7 勤務成績を理由とする解雇


能力不足を理由に解雇を検討することは、
会社側の立場としてはよくあることです。

特に、経営状況が厳しい場合、
パフォーマンスが低い人には辞めてもらい、
その分人件費を浮かしつつ、
パフォーマンスが高い人の集団として、
組織をスリムアップしたいと考える
経営者の方は多いのではないでしょうか?

ところが、こうしたことがトラブルとなり、
従業員とのトラブルに発展すると、
裁判で能力不足を認めさせることは
結構、骨が折れます。

実際、就業規則の普通解雇の事由を掲げる条文に
「労働能力が劣り、向上の見込みがない」ことを
掲げていたとしても、
相対評価による考課順位が下位であることをもって
直ちに著しく労働能力が劣るとはいえないとし、
さらに、労働者の労働能力の向上を図る
余地があったにもかかわらず
体系的な教育・指導が行われなかったとして、
解雇を権利の濫用と認めた裁判例があります。

【裁判例】

従業員として、平均的な水準に
達していなかったからといって、
直ちに本件解雇が有効となるわけではない。

就業規則に定める「労働能力が劣り、向上の見込みがない」に
該当するといえるためには、
平均的な水準に達していないというだけでは不十分であり、
著しく労働能力が劣り、しかも向上の見込みがないときで
なければならないというべきである。

...右人事考課は、相対評価であって、
絶対評価ではないことからすると、
そのことから直ちに労働能率が著しく劣り、
向上の見込みがないとまでいうことができない。

...さらに体系的な教育、指導を実施することによって、
その労働能率の向上を図る余地があるもあるというべきであり、
...いまだ「労働能力が劣り、向上の見込みがない」ときに
該当するとはいえない。
(東京地裁 平成11年10月15日決定)

こうした観点も踏まえ、
会社側としては、下記のような対策が考えられます。

1 相対評価ではなく、絶対評価に切り替える。
2 能力不足の社員については、
  解雇の前に下記の対策を講じる。

   1 教育・研修を行う。
   2 配置転換をする。

3 会社側からの指導の状況や、本人の成長度合い等を
  客観的に確認できる資料として残す。

こうした対策を講じれば大丈夫、とまでは言えませんが、
必要な対策ではあるかと存じます。

また、現実的には、解雇を検討する前に、
退職勧奨を行い、円満退職に向けた努力をすべきでしょう。

さらに言えば、日本の社会においては、
採用するのは簡単ですが、
解雇するには高いハードルが待ち構えています。

安易に採用せず、人材を見極める不断の努力と、
特に能力や協調性等については、
試用期間中にしっかりと見極めることが重要です。

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経営が苦しくなった時に思い出していただきたい解雇等に関するルール 4の続きを読む ≫

経営が苦しくなった時に思い出していただきたい解雇等に関するルール 3

解雇に関するルール、第3回です。

これまで取り扱った内容については、
下記のリンク先でご覧ください。

1 解雇が禁止されているケース
2 解雇の効力

3 解雇の手続
4 解雇事由

今回は整理解雇と退職勧奨について、
厚生労働省発行のパンフレットを
若干ですが読みやすいように改変・追記して、
皆様にご紹介致します。

5 整理解雇

事業を継続することが困難な場合に行う
人員整理としての使用者からの労働契約(雇用契約)の解除を
整理解雇と言います。

いわゆる「リストラ」です。

普通解雇の一種ではありますが、
一般的には、従業員側に落ち度がないにもかかわらず、
会社の都合により労働契約を解除する行為であることから、
解雇の妥当性については、厳しく判定されます。

整理解雇についても、客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当と認められない場合には、
権利の濫用として、労働契約法の規定により、無効となります。

また、次のことについて
慎重に検討を行っていただくことが望まれます。

・ 人員削減を行う必要性
・ できる限り解雇を回避するための措置を尽くすこと
・ 解雇対象者の選定基準が客観的・合理的であること
・労働組合との協議や労働者への説明を行う等、
  妥当な手続きを行うこと

 ※ 解雇回避のための方法としては、
   例えば、配置転換、出向、希望退職募集等を
   検討することが考えられます。
 ※ 人員削減を避けるために、
   労働時間の短縮(ワークシェアリング)を行うことも
   一つの方策です。

整理解雇を検討する場合は、
その前段階として、早期退職制度を設け、
自主的な退職を促したり、
退職勧奨を行って、合意の下に
退職してもらうなどをするケースが多いです。

【裁判例】


余剰人員となったというだけで解雇が可能なわけではなく、
これが解雇権の行使として、
社会通念に沿う合理的なものであるかどうかの判断を要し、
その判断のためには、人員整理の必要性、人選の合理性、
解雇回避努力の履践、説明義務の履践などは
考慮要素として重要なものというべきである。
(大阪地裁 平成12年12月1日判決)

6 退職勧奨

使用者が労働者に対して
強制ではない退職の働きかけを行うことを
退職勧奨と言います。

使用者が「退職してはどうか?」と提案する行為であり、
俗に言う「肩たたき」です。

あくまでも会社側からの提案であり、
その提案には強制力がないことから、
退職勧奨自体には法的な規制はありません。

ただし、裁判例によれば、
被勧奨者の自由な意思決定を妨げる退職勧奨は、
退職を強要することにつながり、
違法な権利侵害に当たるとされる場合があります。

【裁判例】

ことさらに多数回、長期にわたる退職勧奨は、
いたずらに被勧奨者の不安感を増し、
不当に退職を強要する結果となる可能性が高く、
退職勧奨は、被勧奨者の家庭の状況、
名誉感情等に十分配慮すべきであり、
勧奨者の数、優遇措置の有無等を総合的に勘案し、
全体として被勧奨者の自由な意思決定が
妨げられる状況であった場合には、
当該退職勧奨行為は違法な権利侵害となる。
(最高裁第一小法廷 昭和55年7月10日判決)

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経営が苦しくなった時に思い出していただきたい解雇等に関するルール 2

解雇に関するルール、第2回です。

第1回では下記の2点を取り上げました。


今回は解雇の手続きに関する基本事項と
解雇事由について、
厚生労働省発行のパンフレットを
若干ですが読みやすいように改変して、
皆様にご紹介致します。

3 解雇の手続

やむを得ず解雇を行う場合、
労働基準法にしたがって、
30 日前に予告を行うことや、
予告を行わない場合には
解雇予告手当を支払うことが必要です。

【法令】

解雇を行う場合には、解雇しようとする労働者に対して、

イ  少なくとも30日前に解雇の予告
   (予告の日数が30日に満たない場合には、
    その不足日数分の平均賃金を支払う必要があります。)
ロ 予告を行わない場合には、
   平均賃金の30日分以上の解雇予告手当の支払いを
   しなければなりません。(労働基準法第20条)

参考:ハロ-ワークへの届出や通知

やむを得ず一定期間内に相当数の離職者が発生する場合
高年齢者・障害者・外国人を解雇する場合は、
ハローワークに届出や通知を行うことが必要です。
詳細は、こちらのパンフレットをご覧ください。

4 解雇事由

就業規則には「解雇の事由」を定めておくことが必要です。

【法令】

退職に関することは、労働条件の重要な事項です。
このため、定年制や解雇等の退職に関する事項については、
就業規則に定めておかなければなりません。
また、就業規則は、常時各作業場の見やすい場所に
掲示又は備え付けること、書面を交付すること等により、
労働者に周知しなければなりません。
(労働基準法第89条、第106条)

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18時3分までの労働。3分は切り捨ててよいか?

終業時刻が18時である場合、
ほんのちょっと残業して18時3分に業務終了、
というケース、よくありますよね。

よくあるパターンは

「うちの会社の労働時間管理は15分刻み」

等としているケース。
上記の事例ですと、18時14分までの労働は
18時までの労働とみなし、
18時15分〜18時29分までの労働は
18時15分までの労働とみなして、
残業代等を計算するというものです。

法的にはこのやり方はOUTです。
賃金には全額払いの法則というものがありまして、
働いた時間は「1分単位」で
支払うことが義務づけられています。

したがって、18時3分まで働いた場合、
3分についても労働時間としてカウントし、
法定労働時間を超えているのであれば、
割増賃金も支払う必要があります。

逆に、従業員有利にする分には構いません。
同じ15分単位の労働時間管理でも、切上げ処理をして、
18時3分の仕事に対して18時15分の労働とみなし、
15分の労働に対する賃金(場合によっては割増賃金)を
支払うのはOKです。

その他、認められている処理としては、
1ヶ月の労働時間を通算した合計時間について、
30分未満は切り捨て、30分以上は切り上げに
することは認められています。

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間違いがちな始業時刻前の残業の考え方

午前9時から午後6時までの勤務時間(途中1時間の休憩あり)の
会社があるとします。

こちらの会社の社員が午前8時に出勤して仕事をし始めました。
この場合、午前8時から始業時刻の9時までの1時間を
「早出残業」として処理すればよいでしょうか?

結論から申し上げると、そのように考えるのではありません。
1日の労働時間は、定められた就業時間に関わらず、
実際に出勤した時刻から起算します。
したがって、午前8時から勤務時間をカウントし始めますので、
午後5時から午後6時までの1時間が時間外労働となります。

なお、実際に勤務開始をした時刻から
勤務時間をカウントするという考え方は、
遅刻の際にも当てはまります。

上記の例でいえば1時間遅刻して10時勤務開始の場合、
19時までは時間外労働にはなりませんので
残業手当の支払い義務もありません。

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経営が苦しくなった時に思い出していただきたい解雇等に関するルール 1

経営が苦しくなると、最終的には
従業員の解雇を検討せざるを得なくなります。

ただ、解雇された従業員は、
次の日から生活の糧を得る手段を奪われますので、
生活が困窮する恐れがあります。

従業員も生活がかかっていますので、
解雇をする場合は、
従業員との間に重大なトラブルを抱える
可能性を秘めています。

そこで、企業としては、
トラブルを最小限にするためにも、
法的な観点で逸脱した行動をとらないように、
十分に気をつける必要があります。

特に、下記の法律等には十分配慮してください。

1 労働基準法
2 有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準
3 労働契約法 その他各種労働法
4 解雇・雇止め等に関する裁判例

さて、今回は解雇が禁止されている場合と
解雇の効力について、
厚生労働省発行のパンフレットを
若干ですが読みやすいように改変して、
皆様にご紹介致します。

1 解雇が禁止されているケース

一定の場合には、解雇が法律で禁止されています。

【法令】

法律で解雇が禁止されている主な場合として、
次のものがあります。

① 業務上の傷病による休業期間及びその後 30 日間の解雇
  (労働基準法第 19 条)
② 産前産後の休業期間及びその後 30 日間の解雇
  (労働基準法第 19条)
③ 国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇
  (労働基準法第3条)
④ 労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇
  (労働基準法第 104 条)
⑤ 労働組合の組合員であること等を理由とする解雇
  (労働組合法第7条)
⑥ 女性(男性)であること、女性の婚姻、妊娠、出産、
  産前産後休業等を理由とする解雇
  (男女雇用機会均等法第6条、第9条)
⑦ 育児・介護休業等の申出等をしたこと、
  育児・介護休業等を取得したことを理由とする解雇
  (育児・介護休業法第10 条、第 16条、第16 条の4、
   第 16条の7、第16 条の9、第 18条の2、
   第 20条の2、第23 条の2)
⑧ 通常の労働者と同視すべきパートタイム労働者について、
  パートタイム労働者であることを理由とする解雇
  (パートタイム労働法第8条)
⑨ 公益通報をしたことを理由とする解雇
  (公益通報者保護法第3条)

2 解雇の効力

①  期間の定めのない労働契約の場合

権利の濫用に当たる解雇は、
労働契約法の規定により、無効となります

【法令】

客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当と認められない解雇は、
権利を濫用したものとして、無効となります。
(労働契約法第16条)

②  有期労働契約(期間の定めのある労働契約)の場合

やむを得ない事由がある場合でなければ、
契約期間中に解雇することはできません。
期間の定めのない労働契約を結んでいる場合の解雇よりも、
解雇の有効性は厳しく判断されます。

【法令】

有期労働契約については、やむを得ない事由がある場合でなければ、
契約期間が満了するまでの間において、
解雇することはできません。
(労働契約法第17条第1項)

労働者派遣契約が中途解約された場合】

派遣元の使用者は、派遣先との間の労働者派遣契約が
中途解除された場合でも、
そのことが直ちに労働契約法第17条の
「やむを得ない事由」に該当するものでは
ないことに注意してください。

労働者派遣法第29条の2で、
派遣先の都合により派遣契約を解除する場合には、
派遣先は派遣労働者の新たな就業機会の確保、
休業手当等の支払に要する負担等の措置を
講じなければならない旨定められています。

また、「派遣先が講ずべき措置に関する指針」で、
休業手当の支払等、労働者派遣契約の解除に伴い
生じた派遣元事業主の損害の賠償を
派遣先が行わなければならない旨が
定められていること等を踏まえ、
派遣元の使用者は、新たな就業機会の確保ができない場合でも、
休業等を行い、解雇は避けるようにしてください。

なお、企業側の都合で派遣労働者を休業させた場合には、
派遣元の使用者は、派遣労働者に対して
休業手当を支払うことが必要です。

なお、休業手当については、
コチラ(3 休業手当の支払)を御参照ください。

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経営が苦しくなった時に思い出していただきたい労働条件の変更に関するルール

経営が苦しくなってくると、
給与カットに代表される労働条件の引き下げを
検討する可能性が高くなります。

そこで、労働条件の引き下げに関する
労働法の規定についてまとめてみました。

なお、労働条件の引下げ等を行う場合には、

法令等で定められた手続き等を遵守するとともに、
事前に十分な労使間での話合いなどを行うことが必要です。

1 合意による変更

労働契約の変更は、労働者と使用者の
合意により行うのが原則です。
(労働契約法第3条)

労働者と使用者が合意すれば、
労働条件を変更することができます。
(労働契約法第8条)

2 就業規則による変更

使用者が一方的に就業規則を変更して、
労働者の不利益に
労働条件を変更することはできません。
就業規則によって労働条件を変更する場合には、
内容が合理的であることと、
労働者に周知させることが必要です。

【法令】

使用者が一方的に就業規則を変更して、
労働者の不利益に
労働条件を変更することはできません。
(労働契約法第9条)

使用者が、就業規則の変更によって
労働条件を変更する場合には、
次のことが必要です。
(労働契約法第10条)

 1 その変更が、以下の事情などに照らして合理的であること。
    ・ 労働者の受ける不利益の程度
    ・ 労働条件の変更の必要性
    ・ 変更後の就業規則の内容の相当性
    ・ 労働組合等との交渉の状況
 2 労働者に変更後の就業規則を周知させること。

就業規則の作成や変更にあたっては、
事業場に、労働者の過半数で組織する
労働組合がある場合はその労働組合、
労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は
労働者の過半数を代表する者の意見を
聴かなければなりません。(労働基準法第90条)

参考:労働契約法

労働契約法は、労働契約の基本的なルールを定めています。
罰則はありませんが、解雇等に関して、
民法の権利濫用法理を当てはめた場合の判断の基準など、
私法上の効果を明確化するものです。
民事裁判や労働審判は、
労働契約法の規定を踏まえて行われます。

3 配置転換・出向

A 配置転換

配置転換を命じるには、就業規則等にその根拠を
置いていただくことが望まれます。
裁判例によれば、配置転換命令の業務上の必要性と
その命令がもたらす労働者の生活上の
不利益とを比較衡量し、
権利濫用に当たるかどうか
判断される場合があるとされています。

【法令】

事業主は、従業員に就業場所の変更を伴う
配置の変更を行おうとする場合に、
その就業場所の変更によって
子育てや介護が困難になる従業員がいるときは、
当該従業員の子育てや介護の状況に
配慮しなければなりません。
(育児・介護休業法第26条)

【裁判例】

転勤命令について、業務上の必要性がない場合
または業務上の必要性がある場合であっても、
他の不当な動機・目的から転勤命令がなされたとき、
もしくは転勤命令が労働者に対し
通常受け入れるべき程度を著しく超える
不利益を負わせるものであるときには、
その転勤命令は権利の濫用になる。
(最高裁第二小法廷 昭和61年7月14日判決)

B 出向

(在籍)出向を命じるには、
個別的な同意を得るか、
または出向先での賃金・労働条件、
出向の期間、復帰の仕方などが
就業規則等によって
労働者の利益に配慮して
整備されている必要があります。
出向の命令が、その必要性、
対象労働者の選定等に係る
事情等に照らしてその権利を
濫用したものと認められる場合には、
その命令は無効となります。
(労働契約法第14条)

転籍については、労働者本人の同意(合意)を要するので、
使用者は一方的に労働者に転籍を命じることはできません。

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