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ファイブアイズ・ネットワークス株式会社ブログ

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2008年05月01日

第177回 沼田の感性

成功経営者の8つの共通要因(1)
 ~4月16日の大久保道場にて~

 「ビジョナリーカンパニー(2)飛躍の法則」は経営者に愛読者が多い書物です。統計的結論が人間学とも重なり経営者は唸るのでしょう。「飛躍企業の経営者はカリスマ性が乏しく、個人的には謙虚である一方、職業人としての意思は強い」「最初に人を選び、それから目的地(事業)を選ぶ」とは見事です。
 大久保道場は株式会社フォーバルの大久保会長を講師に迎え、早朝に経営を学ぶ会です。4月16日(第三回目)の演題は「成功経営者の8つの共通要因」、大久保会長のご経験に基づき、8つの「飛躍の法則」の伝授を頂きました。大久保道場は会場の都合で希望者すべての受入が実現していません。
 そこで8つのうちの5つを、私の感想も交えてご報告申し上げたいと思います。正真正銘の共通要因は、機会がありましたら、大久保会長から直接伝授を受けて下さい。迫力が違います!

第一要因 5年、10年スパンの戦略
 経営者にインタビューで「10年後の姿」を伺うと、その会社の成長性が見えるそうです。良い経営者は10年刻みの目標をイメージしており、ダメ経営者は意識を今期の業績にのみ集中しているのです。ソフトバンクの孫社長は、28歳の時に「20年後にはインフラを持ちたい」と構想されていたそうです。中長期のビジョンが経営戦略ブレを抑え、経営の背骨を形成し、スケール感を醸し出すのでしょう。
 大久保会長によると、この第一要因は成功経営者にほぼ例外がないそうです。経営初期から心がけておくべきとの事でした。とはいえ創業時から10年後の自分をイメージできる社長はなかなかいないでしょう。苦労を積み重ねる中で、中長期的な視点の重要性が分かるのでしょう。
 私は事業計画を作成される社長に、まずマンダラ手帳の「人生百年計画」の作成をお勧めしております。人生の最終イメージと、概ね20年単位の成長イメージを過去・現在・未来に分類して書くのです。事業計画も人生の一部であり、人生を演出する重要な要素なのです。自分の人生と向き合えていない事業計画は、どこか説得力が乏しく空虚な印象を与えます。
 人生百年計画を立てると、自分の「あるべき姿」が見えます。あるべき姿が見えると無駄が排除され、決断スピードが速くなります。「誤った過去からの反逆」ともいえる緊急事態が徐々に減少していきます。短期的な目標は利害関係者の反発が尖鋭ですが、百年単位の目標には反発も先鋭化しません。
大きな目標を具体化するには、右往左往を繰り返し、思考を熟成する時間も必要です。足元の不安定に耐える精神力が試されるのです。
 会社にも「会社100年の計」が必要です。これが「経営理念」「社是・社訓」に現れます。大企業の経営理念を紐解くと、成長期は遠くを見ながら、近年は足元重視に変更される事例が散見されます。中長期スパンでの経営の難しさの証明なのでしょうが、これが我が国経済の現在の低迷の一要因なのかもしれません。

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2008年04月07日

ポストIPO時代のビジネス・インキュベーション

 少し前の話、英エコノミスト誌編集長のビル・エモット氏来日の際に、数分間名刺交換の機会を頂きました。その折に職業を質問され「IPOコンサルタント」と答えたところ、「ビジネス・インキュベーション?エクセレント!」と返されました。
 欧米では「ビジネス・インキュベーション(BI)」が一般的のようですが、私は若干違和感を覚えました。証券会社出身の私には、株式公開以外は専門外なのです。株式公開コンサルタント会社として成功した先輩から「証券会社を出ると株式公開では食べていけない。経営コンサルタントとしての説得力が勝負だ」と伺いました。そのとき私は「独立は無理だ」と率直に思ったことを覚えています。
 とは言うものの私は「株式公開は日本の産業振興のために存在する」と信じていました。「ファイブアイズ」と命名したのも、もちろん中心はIPOですが、それ以外にIncubation(育成)、 Investment(投資)など他のIを意識していたからです。
 何年か日本新事業支援機関協議会(JANBO:http://www.janbo.gr.jp/)で開催されるインキュベーション・マネージャー(IM)養成研修で「株式公開」いう限られた分野とはいえ講師を務めさせて頂いたのも、コンセプト自体に違和感が乏しかったからでしょう。振り返ってみるとこの考え方に問題があったのです。
 近年の株式公開制度の改革に、私は「やむを得ない」と感じる一方でかなり批判的でもあります。一番の理由は、日本の技術ベンチャーの成長の芽を摘むことです。今の監査体制や公開審査では、SONYもHondaも存在し得なかったでしょう。金融庁が言うように制度自体は悪くないのかもしれません。
 でも現場の皮膚感覚では、創造性を要求されるスタートアップベンチャーには、株式公開はお勧めし難く感じます。BIの観点から見れば、株式公開制度を活用する時代は終わったのかもしれません。(あるいは始まってすらいなかったのかもしれません。)
 欧米先進諸国でIPOは、元来BIとそれほど密接なものではないという識者もいます。みなさまに情報を頂きたい部分でもあります。日本でもSONYやHondaは、資本市場が育成した会社ではありません。IPOがBIとストレートに絡むのは、ネットベンチャー周辺に限られるのでしょうか?「何でもIPOの土俵に上げては、育つものも育たずIPOが機能不全に陥る」という意見も聞きます。BI案件の大半はIPOに向かない案件・段階であり、そこにソリューション(解決策)を持てばこそIPOも健全に進められる、私もそう思うようになりました。
 株式公開は厳冬の時代を迎え、株式公開コンサルタント会社に案件はありません。一方でビジネス・インキュベーションは、日本でも確立期に入る感触があり、民間で箱モノを持たない会社でも、大都市圏でビジネスとして成立する可能性がありそうです。株式公開にも「プロ向け市場」など未知なる領域が残ってはいるものの、新興市場の観点で捉えれば日本は世界の先進国です。一方でビジネス・インキュベーションの分野は、まだまだ官中心、先進国とも言い難く、「タイムマシン経営」の余地があるかもしれません。かつての先輩の言葉通り、新しいビジネスを軌道に乗せるには、私たちにも経営コンサルタントとしての説得力が求められるのでしょう。ここをクリアして初めて、株式公開業務での強みが活きる気がするのです。

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2008年02月21日

百字の喝(2)

 般若の智慧と便法と、諸法で諸人に力添え、清浄世界に引き入れる。
(次の4句 「図説『理趣経』入門」大栗道榮著より)

 「般若の智慧」は教え、「便法と諸法」は方法論です。方法論の無い教えは社会から遊離し、方法論だけでは道に迷います。
 欲望には食欲・睡眠欲・性欲・財欲・名誉欲などがあります。食欲・睡眠欲は生命維持の、性欲は種族維持の機能です。この3つが幸せの必要条件です。財欲・名誉欲は人間特有ですが、自分や社会が進化する原動力となります。幸せの上に充実が得られます。人生は欲望を満たすプロセスです。欲望
が全てではありませんが、欲望なくして幸福はなく、否定しても否定し尽くす事ができません。
 この句は金剛欲明妃の境地を示すと言われます。小欲を大欲に変換し、欲望が清浄世界への導きなるというのです。大欲と小欲の違いはいろいろ説明されます。私なりにはこんな説話を考えてみました。
 
 今は不景気、私のところも株式公開より資金調達の相談が多いくらいです。A社長は従業員をリストラし、望みを私のコンサルティングにかけます。B社長は従業員には手を付けず、自分の給与の一部を資金繰りに当てながら、ここ1年を凌ぐ相談に来られます。交換条件も成功報酬、お金が動かない時期だけに、本来はお会いするだけ時間の無駄でしょう。A社長には永年家族ぐるみで交際する大富豪がいるのですが、「この人と商売をする発想はなかった」とのこと、自分の人脈は温存し、他人の褌で会社の危機を乗り切ろうと人の良い当社に目を付けたのです。B社長はA社長より大欲に近付いてはいます。資金調達に成功するのはどちらか、いろいろな見方があり難しいところです。
 こんなときにC社長が登場します。「沼田さん、今、日本のベンチャー企業はお金に苦しんでいます。お金が無いので志も消えてしまいそうです。私の会社も同じです。お金の専門家として、日本中のベンチャー企業全部を救ってみませんか?」
 私は少し驚きます。「きっと一千億円は必要ですよ。そんなお金どこから集めるんですか?」、C社長は「そんな金額で助かりますか?私もお手伝いしますから、是非その1千億円プロジェクトをスタートさせましょう。当面沼田さんが動くコストはお支払いたしますので、すぐ見積もって下さい。」
 C社長は、皆がお金を必要とする時期、自分だけ抜け駆けしても勝ち目は乏しく、また勝てても状況は好転しないと考えているようです。C社の経営資源では、投資家に魅力あるストーリーが作れなくても、何社かで経営資源を持ち寄れば、世の中を変えるビジネスができるかもしれない、と言うのです。「クライアントが資金調達を求めても、ほとんど打つ手は無いのではありませんか?」
 「志はよく分かりましたが、具体的なアクションプランに落とさないと、人は動きません。半年はかかると思いますが・・・」、するとC社長、「経営は常に準備不足です。お金で動く人間はお金で、地位で動く人間は地位で、異性で動く人間は異性で、宗教で動く人間は宗教で、とにかく動かし始めないと間に合いません。」
「私は規制業種である証券業界の近くで仕事をする身です。適切な開示ができない中で行動を起こす事は命取りです・・・」と言いかけ、どうも私は小欲に過ぎず、これでは諸人に力添えはできないことに気付いたのです。

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2008年01月24日

大日寺密教アカデミーのお誘い

 私が通っているお寺(高野山真言宗)のお師僧(大栗道榮師)は、かつて「最後の相場師」と呼ばれる故是川銀蔵氏と講演をした折、是川氏から「無敵の投資家になれる」と絶賛されたそうです。是川氏は証券業界では知らぬものはいない著名な相場師です。「実践派エコノミスト」を自任、質素な生活を送りながら社会福祉事業にも注力し、私財14億円を拠出し是川奨学財団(交通遺児等奨学金)を設立されたりしました。株式投資の格言や心得も多く残され、お師僧には「株では生涯不敗」と話されていたそうです。
 実はお師僧も若き日はベンチャー経営者として活躍、「実践派経営者」でもあるのです。その折信頼していた友人が手形詐欺に騙されお師僧は、個人保証がないにも関わらず、道理を重んじ現在のお金で数十億円にも及ぶであろう借金を背負う道を選びます。そこから僅か3年で復活、鮮やかな経営手腕と志のさわやかさに、借金返済に訪れた28社中6社が、月額100万円(当時)で経営コンサルを依頼したといいます。
 そうした資金で研修道場である代々木八幡・大日寺を建立されました。
 お師僧の経営論は「道理に叶う経営をすると自然に豊かになる」です。そして「真言密教は宗教というよりは道理、宗派を問わず学んでもらいたい」とのお考えです。この道理を説いた書物が「よく働き、よく生きる(幻冬舎)」、私も当初は「初心者向けの道徳の本」と思っておりましたが、実際はお師僧の強烈な経営体験に裏打ちされた文章と知りました。特に経営者にはぜひご一読をお勧めいたします。
 お師僧は講演でも、仏教用語を使わず、密教の道理を分かり易く伝えようとされます。この道理を是川氏は「私の投資手法と同じだ」と評したのです。是川氏は「これだ!」と思う会社を見つけると私立探偵を雇い、経営者の日常を調べるのだそうです。経営者の生活が道理に叶っていれば、一時的な浮き沈みはあっても会社は成長を続け、逆に道理に外れた経営者は、目先の勢いはあってもいずれ転げ落ちるのだそうです。上場会社の経営も楽ではないようですね。
 私は弟子の端くれ、ビジネスパーソン向けに2月から月一回土曜日、「大日寺密教アカデミー」の開催をお願いし、お師僧からご快諾を頂きました。これまで述べてきました経営の道理に留まらず、真言密教の瞑想法である阿字観法をご紹介し、直観力を養成して頂きたいと思います。ご希望があればややマニアックですが、理趣経を読んでみたいと意欲的なカリキュラムを考えております。経営を熟知し僧侶指導の第一人者でもある導師により、楽しく有意義に、少し本格的に真言密教を体験できれば、と願っております。
 私はこの平成20年を、日本経済が底入れするチャンスと見ています。逆にここを逃せば日本は、世界の一流国としての地位を失うかもしれません。こうした見方の半分は経済分析に基づいておりますが、もう半分は危機感が私を駆り立てている面もあります。自分が行動する前提で考えを進めないと、もう状況は改善されない気がします。
 今の時代が経営者に求める能力は、国際通(海外戦略が描ける)、経営通(大事業を構想し推進できる)、人間通(人を動かせる)の3点と思いますが、これは弘法大師のお力そのもののように感じます。時代が人を創るともいいます。共に学び、共に大きなビジネスを育てていきましょう。

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2007年12月06日

百字の喝(1)

 菩薩はすぐれた智慧をもち、死ぬまで生命のある限り、常に諸人の利のために、尽くしてしかも自らは、涅槃に往くことを望まない
(最初の4句 「図説『理趣経』入門」大栗道榮著より)

 日本は統合の国、実用化する民。
日本は世界中の良い物を柔軟に受け入れ、実用的に「いいところ取り」をします。先日「ミシュランガイド東京」が発売されましたが、東京はまさしく美食の都、世界に類のない多様性と高い水準が明らかになりました。庶民の暮らしの中でも、和洋中そして多国籍料理に日々舌鼓を打ちます。食以外でも多くの分野で、日本は真似からスタートし、取り入れ噛み砕き、それを実用的にまとめあげ高めてきました。
 もう一つの事例が宗教です。手前味噌ではありますが日本の密教は、世界の宗教の「いいところ取り」をやりました。加持・祈祷という最終兵器を保有しながらも、教えは柔軟で哲学的な完成度が高く、多様性とそれなりの水準を実現しています。葬儀は仏教、初詣は神社、結婚式は教会と見事に棲み
分ける日本人の宗教観は、密教に源があるのかもしれません。
 密教は経営者に面白いツールでもあります。教条的な面が乏しく個性を徹底して尊重する一方で、天下国家を語り社会性が豊かです。現実に埋没せず、かといって遊離することもなく、見事な距離感を保ちます。まさしく経営そのものでは無いでしょうか?個性が行過ぎ「教祖」が生まれたり、形式主義が蔓延し宗教としての生命力が失われたり、さまざまな問題は出るのもご愛嬌かもしれません。

 理趣教は密教の最重要経典です。理趣とは「真理の味わい」という意味です。真言密教の僧侶は朝晩このお経を唱えます。禅宗では加持・祈祷に用いると聞きます。いずれにせよご利益の大きいお経なのです。
 百字の喝はこの理趣経の一部で、全体を要約した部分ともいわれます。時間が無い時はここだけ読まれる事もあります。百字の喝を3回読めば、理趣教全体を読んだのと同じ利益があるという説もあります。今回は仏様にお許しをいただき、この百字の喝をご紹介してみたいと考えます。
 冒頭の訳文は最初の4句(漢字で20字)百字の喝の結論部分に当たります。私はこの句を「経営者は命の続く限り、国家・大衆の利益となる事業を営みなさい」と読んでいます。「密教の菩薩(金剛薩た)は経営者そのもの」というのが私の密教観です。そうなると経営者個人の利益は少し後に考えよと読めます。大乗仏教の中心思想を表現する箇所ですが、経営者に置き換えて考えると、さらなる味わいが生まれます。
 この句は密教の主役・金剛薩たの決意を示すとされます。金剛薩たは密教行者の象徴でもあり、経営者に近い存在と感じます。百字の喝には金剛薩たを中心に五秘密尊の教えが説かれます。他の四菩薩は欲・触・愛・慢の名を持つ女尊で、金剛薩たになまめかしく寄り添います。人間の欲望を象徴して
いるようでもあります。肉体を持つ限り人間は、欲望から離れては生きられないのかもしれません。
 「金剛薩たは経営者」のイメージが少し湧いたでしょうか?欲望をも悟りにつながる壮大な物語がここからスタートするのです。