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百字の喝(2)

 般若の智慧と便法と、諸法で諸人に力添え、清浄世界に引き入れる。
(次の4句 「図説『理趣経』入門」大栗道榮著より)

 「般若の智慧」は教え、「便法と諸法」は方法論です。方法論の無い教えは社会から遊離し、方法論だけでは道に迷います。
 欲望には食欲・睡眠欲・性欲・財欲・名誉欲などがあります。食欲・睡眠欲は生命維持の、性欲は種族維持の機能です。この3つが幸せの必要条件です。財欲・名誉欲は人間特有ですが、自分や社会が進化する原動力となります。幸せの上に充実が得られます。人生は欲望を満たすプロセスです。欲望
が全てではありませんが、欲望なくして幸福はなく、否定しても否定し尽くす事ができません。
 この句は金剛欲明妃の境地を示すと言われます。小欲を大欲に変換し、欲望が清浄世界への導きなるというのです。大欲と小欲の違いはいろいろ説明されます。私なりにはこんな説話を考えてみました。
 
 今は不景気、私のところも株式公開より資金調達の相談が多いくらいです。A社長は従業員をリストラし、望みを私のコンサルティングにかけます。B社長は従業員には手を付けず、自分の給与の一部を資金繰りに当てながら、ここ1年を凌ぐ相談に来られます。交換条件も成功報酬、お金が動かない時期だけに、本来はお会いするだけ時間の無駄でしょう。A社長には永年家族ぐるみで交際する大富豪がいるのですが、「この人と商売をする発想はなかった」とのこと、自分の人脈は温存し、他人の褌で会社の危機を乗り切ろうと人の良い当社に目を付けたのです。B社長はA社長より大欲に近付いてはいます。資金調達に成功するのはどちらか、いろいろな見方があり難しいところです。
 こんなときにC社長が登場します。「沼田さん、今、日本のベンチャー企業はお金に苦しんでいます。お金が無いので志も消えてしまいそうです。私の会社も同じです。お金の専門家として、日本中のベンチャー企業全部を救ってみませんか?」
 私は少し驚きます。「きっと一千億円は必要ですよ。そんなお金どこから集めるんですか?」、C社長は「そんな金額で助かりますか?私もお手伝いしますから、是非その1千億円プロジェクトをスタートさせましょう。当面沼田さんが動くコストはお支払いたしますので、すぐ見積もって下さい。」
 C社長は、皆がお金を必要とする時期、自分だけ抜け駆けしても勝ち目は乏しく、また勝てても状況は好転しないと考えているようです。C社の経営資源では、投資家に魅力あるストーリーが作れなくても、何社かで経営資源を持ち寄れば、世の中を変えるビジネスができるかもしれない、と言うのです。「クライアントが資金調達を求めても、ほとんど打つ手は無いのではありませんか?」
 「志はよく分かりましたが、具体的なアクションプランに落とさないと、人は動きません。半年はかかると思いますが・・・」、するとC社長、「経営は常に準備不足です。お金で動く人間はお金で、地位で動く人間は地位で、異性で動く人間は異性で、宗教で動く人間は宗教で、とにかく動かし始めないと間に合いません。」
「私は規制業種である証券業界の近くで仕事をする身です。適切な開示ができない中で行動を起こす事は命取りです・・・」と言いかけ、どうも私は小欲に過ぎず、これでは諸人に力添えはできないことに気付いたのです。

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