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会社法・商業登記入門第20回「株主総会開催のキホン」

こんにちは。中央区の司法書士の大越です。

このコーナーでは、平成18年5月1日に施行された会社法及びそれに関する商業登記について、平易な言葉で分かりやすく説明していきます。
毎回テーマを決め、これから起業を考えている方および現在会社を経営している方にも役立つ情報を提供していきたいと考えています。

第20回は、「株主総会開催のキホン」について説明します。

1.株主総会とは
 会社法施行後、株式会社は、取締役会を非設置にする等自社の規模・経営状況に合わせて、多種多様な機関設計を選択することが可能になりましたが、1名以上の取締役と株主総会は必ず置く必要があります(会社法295条、326条)。
 株主総会は、議決権を行使することができる株主によって構成される合議制の機関であり、株主会社における最高の意思決定機関です。
 但し、実際の業務執行は、株主総会で選任された取締役が行います。
 具体的な株主総会の権限については、取締役会を設置しているかどうかで異なります。
 取締役会設置会社の場合には、会社法が規定する事項及び定款で定めた事項についてのみ決議する権限があります(会社法295条2項)。具体的には、定款変更・役員選任・組織再編の承認等です。
 後述するように、株主総会の開催には、原則としてある程度期間を要しますので、規模の大きな会社の場合には、全て株主総会で決定していては、意思決定が間に合いません。
 したがって、迅速な会社経営に対応するために、会社組織に関する重要な事項の決定のみ株主総会に権限を与え、それ以外の事項については取締役会に権限を委譲しています。
 これに対し、取締役会非設置会社の場合には、「取締役=株主」と関係者が内部の人間だけのことが多いこともあり、株主総会の開催が容易なので、会社法が規定する事項以外にも、会社の組織、運営、管理等一切事項について決議する権限があります(会社法295条)。

 実際、株主数が少なく、会社内部の人間だけの場合には、全員の同意を得るのが容易なので、株主総会を大げさには開催せず、株主全員の話し合いでまとまった内容を議事録として書面に残しているだけの会社がほとんどだと思います。
 他方で、上場企業のように、株主数が大多数で外部株主もいる会社の場合には、
 何ヶ月も前から開催準備をし、会場は外部施設を借り、総会当日は事前に打ち合わせした進行スケジュールに沿って行います。
 それだけではなく、一般株主離れを防ぐために、コンサートを株主総会で行う等まるでイベントのような株主総会を行う上場企業もあります。
 上場企業の株主総会の場合、法律とは関係なく、各社独特の特典を設けていることもありますので、インターネット等で株取引をしている一般株主の方は、一度株主総会に足を運んでみるのも面白いかと思います。

 なお、株主総会は大きく分けて、貸借対照表等計算書類の承認を行うために1年に1回必ず開催する定時株主総会と必要なときに適宜開催する臨時株主総会があります(会社法296条)。

2.株主総会の開催スケジュール
 株主総会の一般的開催スケジュールは以下の通りです。
 但し、定時株主総会の場合には、計算書類の承認(会計監査人設置会社の場合には報告)を行いますので、計算書類作成・監査期間も加味する必要があります。
 また、定時株主総会の場合には、通常、定款で基準日を事業年度末日と定めてありますので、基準日公告は不要です。
 他方で、株主全員の同意がある時は、②~⑤の招集手続を省略することが可能です(会社法300条)。
 株主全員の同意が容易な中小企業では、これを利用し、通常は数ヶ月以上要する株主総会の開催期間を大幅に短縮(最短で1日)しています。
 <開催スケジュール例>
 ①取締役会による株主総会招集決定(会社法298条)
   ↓
 ②基準日公告の申込(公告掲載日の1週間以上前)
   ↓
 ③基準日公告の掲載(基準日の2週間以上前、会社法124条)
   ↓
 ④基準日(招集通知発送対象株主の確定)
   ↓
 ⑤株主総会招集通知の発送(公開会社の場合は2週間・非公開会社の場合は1週間以上 前、会社法299条)
   ↓
 ⑥株主総会
   ↓
 ⑦株主総会議事録の作成、決議通知の発送
   ↓
 ⑧登記事項の登記申請(株主総会から2週間以内、会社法915条)
  
3.株主総会議事録
 株主総会を行った場合、会社は株主総会議事録を作成し、株主や債権者が閲覧できるよう、一定期間会社に備え置く必要があります(会社法318条)。
 株主総会議事録は、会社法施行規則第72条に定める内容を記載する必要があります。
一般的には、開催日時・場所・出席株主数・出席役員・議長・議案内容・決議結果・議事録作成者を記載します。
 会社法施行後、議長及び取締役の記名捺印義務は廃止されましたが、議事録の真正担保を鑑み、せめて社長又は作成者は最低限記名捺印するのが望ましいと考えます。
  
4.まとめ
 上記の通り、株主総会をきちんと開催した場合、ある程度期間を要します。
したがって、会社としては、役員選任等株主総会決議事項を行う場合、それを見越したスケジュールを調整する必要があります。
 上場企業に限らず、上場を目指すベンチャー企業などでも、ベンチャーキャピタル等外部株主がいますので、原則通り招集手続をきちんと行って株主総会を開催することを求められる場合もあります。
 上場企業であれば、慣れている法務部・総務部員が招集通知等の書類作成を行うことができますが、それだけのスタッフを要していない企業も多いと思います。その場合には、司法書士である当方にお気軽にご相談ください。
 弁護士と違い、株主総会席上に立ち会うことはできませんが、招集通知・参考書類・議事録等の必要書類の作成又はレビュー、総会後の登記申請を行うことは可能です。
 次回は、「非公開会社での取締役及び監査役の任期~10年はどうか?~」を予定しています。

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