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中野人事法務事務所中野 泰(なかの やすし)

ブログ記事一覧

遺族補償年金、支給要件に男女差⇒違憲判決

遺族に支払われる年金の受給資格に
男女差があることについて11月25日、
違憲判決が出ました。

現在、地方公務員の遺族補償年金の受給資格では
男性にだけ年齢制限の規定が設けられています。

【夫が公務災害で死亡した場合】


妻に対し、妻の年齢に関係なく、
平均給与額の最大245日分の
遺族補償年金を毎年支給。

【妻が公務災害で死亡した場合】


夫の年金受給資格は「60歳以上」。
ただし、現在は下記の特例がある。

★夫が55歳以上
 ⇒年金支給が認められている
★夫が55歳未満
 ⇒平均給与額の1千日分などの
   一時金しか支給されない。

訴状によると、堺市の男性の妻は
公立中学教諭として勤務していましたが、
97年にうつ病を発症し、98年に自殺しました。
その後、訴訟を経て公務災害が認定されました。

男性は2010年、遺族補償年金を請求したものの、
妻の死亡時に51歳だったため、
11年に不支給処分となってしまいました。
そこで、地方公務員災害補償基金(東京)に対し、
年金不支給処分の取り消しを求めて
提訴したという経緯です。

男性側は「夫側だけ年齢制限を設けるのは、
性別による役割分担を固定化させる。
法の下の平等を定めた憲法にも違反する」と主張。

大阪地裁(中垣内健治裁判長)は25日、
規定は「違憲」として不支給処分の取り消しを命じました。

判決は下記のようにと指摘しました。

「共働き世帯が一般的な家庭モデルとなっている
 今日においては、
 配偶者の性別で受給権の有無を分けるような
 差別的取り扱いは合理性がない」

この判決を受け、支給要件に男女差がある
他の年金制度のあり方にも
影響を与える可能性が高くなりました。

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長時間残業で自殺。精神疾患であることを知らなくても経営側に責任ありとされた判決

長時間残業が常態化している会社に警告を発する判決が
平成25年11月21日、札幌高等裁判所でありました。

【事件の経緯】

★ 2009年、女性のAさん(当時22歳)は
  北海道函館市の「函館新都市病院」に
  臨床検査技師として勤務。
★ 働き始めて約半年で Aさんは自殺。
★ Aさんの両親は、病院が長時間労働をさせる等、
  雇用管理上の配慮を怠って、
  うつ病を発症したことが原因で自殺したのだから、
  病院側に責任があるとして、訴訟に発展。
  病院を経営している医療法人雄心会に対し
  約9400万円の損害賠償を請求。
★ 病院側は「うつ病であることは認識していなかった」と主張。

従業員が過労の末に精神疾患となって自殺したわけですが、
病気であることを経営側が具体的に認識していなくても
経営側に勤務時間の短縮といった注意義務が
あるかどうかが問われました。

【地裁の判決(2012年8月)】

★ 病院側は女性の精神疾患の発症を予見することはできず、
  雄心会側の対応に問題はなかったとして請求を棄却
★ 原告側(Aさんの両親)は控訴。

【高裁の判決(2013年11月】

★ 従業員の長時間労働の実態を認識できる限り義務を負う。
  疾患を発症したとの具体的な認識は必要ない。
★ 難易度が高い超音波検査の技法を習得するため
  Aさんは自殺前の1カ月間、自習時間を含め
  約96時間の時間外労働をしていた。
★ 雄心会は、自習時間の削減や超音波検査に当たる
  心理的負担を軽くするといった措置を講じるべきだった。
★ 雄心会に対し、約5800万円の損害賠償を命ずる。

長時間残業が常態化している会社は、
十分ご注意ください。

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労災保険特別加入に係る申請書等の様式、11月30日より変更

労災保険の特別加入に関する申請書等のフォーマットが
11月30日より変更されます。

詳細は下記のパンフレットをご覧ください。

変更ポイントは下記の3点です。

1 特別加入の手続きを簡略化するため、
  特別加入の申請書等の提出枚数を1通となります。

2 特別加入システムの導入に際し、
  中小事業主、一人親方、海外派遣者等の
  特別加入に係る申請書並びに変更届
  及び脱退申請書について、
  光学式文字読取装置(OCR)に対応した
  様式に変更するとともに、
  所要の改正を行います。

3 海外派遣者の特別加入の届出の簡素化を図るべく、
  海外派遣者の特別加入に係る加入申請書及び変更届について、
  派遣予定期間を記載しないこととするとともに、
  派遣予定期間の変更に伴う変更届の提出を不要とします。

新様式は【コチラのサイト】からダウンロード可能です。
(11月20日9時30分現在ではまだダウンロードはできません)

現在の様式は、11月30日以降も当面使用できますが、
一部新様式に合わせて追記項目がありますので、
ご注意ください。

新様式は、11月29日までは使用できません。

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労災保険 特別加入制度のしおりはコチラ!

労災保険の特別加入制度のパンフレットについて、
平成25年11月バージョンが公開されました。

ご興味ある方は下記をクリックして、
ダウンロードなさってください。

特別加入制度のしおり】

海外派遣者用.pdf

農業者のための特別加入制度について】

農業者.pdf

【特別加入制度とは?】

労災保険は、本来、労働者の業務または通勤による
災害に対して保険給付を行う制度です。

ただ、労働者以外でも、その業務の実情、
災害の発生状況などからみて、
特に労働者に準じて保護することが
適当であると認められる一定の人には
特別に任意加入を認めています。
これが、特別加入制度です。

政府による保険ですから、
コストパフォーマンスは高いです。

当事務所でも取扱い可能です。
お気軽にお問い合わせください。

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退職勧奨を拒否した社員を畑違いの子会社に出向させることは有効か?(リコーの例)

退職勧奨を拒んだことを理由にして、
今までのキャリアと全く異なる職種につかせる出向を
命じることは許されるのでしょうか。

11月12日、株式会社リコーの社員2名が
出向命令の無効と損害賠償を求めていた訴訟で、
東京地裁は損害賠償の請求は棄却したものの、
出向命令は無効とする判決を言い渡しました。

【事案の経緯】


リコーは2011年5月、3年間で
グループ社員1万人を削減するという
リストラ計画を発表。
その後、上司から3回にわたって退職勧奨を受けました。

退職勧奨は「退職してはどうか?」という会社からの提案。
この提案に合意するかどうかは従業員の自由です。

複数回に渡る退職勧奨を拒否すると、
9月になて子会社の物流会社への出向を命じられました。

判決後、厚生労働省で会見した原告の50代の男性によると、
この男性は入社から26年間に渡り、
複合機の研究開発を担当していました。
多くの特許に関わり、社内表彰を受けたこともあるそうです。

それが、出向先では商品の箱詰めや検品等を行う肉体労働。
空調もなく、一日立ったままの作業です。

男性にとっては意に反した仕事であり、
見せしめなのだと感じたそうです。

そこで、本来のキャリアを生かせる仕事に戻してほしいと、
訴訟を起こしたという経緯です。

この事案に対する判決の要旨は次の通りです。

【出向命令が人事権の乱用に当たるかどうかの判断基準】

★ 業務上の必要性や人選の合理性、出向者に与える
  不利益などを考え合わせて判断すべきだ

【判断基準をリコーの事例に当てはめると?】

1 業務上の必要性


★ 同社が人件費抑制のため出向を命じたのは業務上必要だったと認定。

2 人選の合理性

★ 整理対象の人選を約1か月で終えたことなどから、
  人選作業の慎重さや緻密さに欠けていた。
★ 出向命令は退職勧奨を断った2人が
  自主退職に踏み切ることを期待したもので、
  人選は不合理である。

3 出向者に与える不利益

★ 子会社では立ち仕事や単純作業が中心で、
  それまで一貫してデスクワークに従事してきた
  2人のキャリアに配慮した異動とは言い難い。

4 結論

★ 今回の出向命令については、精神的にも肉体的にも負担が大きく
  人事権の乱用である。

なお、損害賠償請求については、棄却されました。
主な理由は下記の通りです。

★ 人員配置の見直しなどで人件費の抑制を図ろうとすることは
  一定の合理性がある。
★ 退職勧奨については社会通念上相当な範囲であった。

リコーは判決について「出向の有効性については
当社の主張が十分にご理解いただけない
結果になった点は非常に残念」とし、
控訴したことを明らかにしました。

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研究者の労働契約の上限を5年から10年へ。

日経新聞より。

自民党の科学技術・イノベーション戦略調査会などの合同会議は
10月31日、研究開発力強化法の改正案をまとめました。

これに伴い、労働契約法の特例を設けることが盛り込まれております。

現在、大学などが研究者を有期雇用できる期間の上限は5年間です。
これを10年に延長します。

研究開発事業は長いスパンの仕事であるため、
5年で終わらないことも多々あります。

ところが、現在の労働契約法では、
研究者らが有期契約から無期契約への変更を申し出るには、
2回以上の有期契約の通算期間が
5年超であることが条件となっています。

これでは、研究者も長期的視点に立って
研究活動を行うことができません。

合同会議では、来週中に党内手続きを終え、
他党にも参加を募ったうえで
今国会に改正案を提出する見込みです。

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希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合、66.5%

厚生労働省では10月30日、
高年齢者を65歳まで雇用するための
「高年齢者雇用確保措置」の実施状況など、
平成 25 年「高年齢者の雇用状況」(6月 1 日現在)の
集計結果を公表しました。

平成 25 年4月1日の改正高年齢者雇用安定法の
施行後としては初めての結果の公表です。

グラフや表など、いろいろと参考になるものもありますので、
詳細は下記資料をご覧ください。
平成25年「高年齢者の雇用状況」集計結果.pdf

ポイントは以下の通りです。

【集計結果の主なポイント】

1 高年齢者雇用確保措置の実施状況


高年齢者雇用確保措置を「実施済み」の企業の割合は92.3%
 ★中小企業:91.9%
 ★大企業:95.6%
 
2 希望者全員が65歳以上まで働ける企業は大幅増加

 (1)希望者全員が65歳以上まで働ける企業

   95,081社(対前年差26,534社増加)、割合は66.5%
   (同17.7ポイント増加)(表4)
   ★中小企業:87,828社(同22,841社増加)、68.5%(同16.8ポイント増加)
   ★大企業:7,253社(同3,693社増加)、48.9%(同24.6ポイント増加)

  →制度改正により大幅に増加、特に大企業は倍増

 (2)70歳以上まで働ける企業

   25,993社(同318社増加)、割合は18.2%(同0.1ポイント減少)
   ★中小企業では24,365社(同313社増加)、19.0%(同0.1ポイント減少)
   ★大企業では1,628社(同5社増加)、11.0%(同0.1ポイント減少)

  →中小企業の取り組みの方が進んでいる
 
3 定年到達者に占める継続雇用者の割合

過去1年間の60歳定年企業における定年到達者(366,755人)のうち、
 ★継続雇用された人:280,482人(76.5%)、
 ★継続雇用を希望しない定年退職者:81,842人(22.3%)、
 ★継続雇用を希望したが継続雇用されなかった人:4,431人(1.2%)

※ 今回の集計における定年到達者については、
  平成 24 年6月1日~平成 25 年3月 31 日の
  10か月間は改正前の旧制度下の状況、
  平成 25 年4月1日~平成 25 年5月 31 日までの2か月間は
  改正後の状況となっている。

「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では
65 歳までの安定した雇用を確保するため、
企業に「定年の廃止」や「定年の引上げ」、
「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置
(高年齢者雇用確保措置)を講じるよう義務付け、
毎年6月1日現在の高年齢者の雇用状況の報告を求めています。

今回の集計結果は、この雇用状況を報告した
従業員 31 人以上の企業約 14 万社の状況をまとめたものです。
なお、この集計では、従業員 31 人~300 人規模を「中小企業」、
301 人以上規模を「大企業」としています。

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夫婦で半年ずつ育休取得で給付率が最大1年間3分の2へ

日経新聞より。

厚生労働省は10月29日、
育児休業取得中に雇用保険から支給される
育児休業給付の改正案を専門部会に示しました。

現在は原則子どもが1歳の誕生日の前日まで
育児休業前の賃金の5割を補償しています。

これに対し、育児休業開始後半年に限り、
給付率を3分の2に引き上げるという案を示しました。

例えば、ありがちなパターンで
共働きの妻だけが育児休業を取るとします。

この場合、最初の半年は給付率が3分の2ですが、
半年を過ぎると5割に戻ってしまいます。

これに対して、夫婦が半年ずつ育児休業を取ると、
夫も妻も給付率が3分の2となります。

妻だけが育児休業を取るよりも、
たくさん給付金がもらえるようになるということです。

狙いは、収入が減るということで
育児休業取得に消極的だった男性に、
育休取得を促すことにあります。

厚生労働省は、2014年の通常国会に雇用保険法の改正案を提出し、
早ければ同年中に新制度を始める意向です。

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有期雇用契約で契約期間に上限→11.9%

有期労働契約のルールを定めた
改正労働契約法が施行されて半年になります。

日本労働組合総連合会は10月24日、
有期契約労働者の労働条件に
どのような変化があるのかを把握するために行った
有期契約労働者に対するアンケート調査の
調査結果を公表しました。

詳細は【コチラ】をご覧いただきたいのですが、
ポイントは、下記の点です。

1 「無期労働契約への転換」は63.4%、
  「不合理な労働条件の禁止」は69.9%が
  「知らなかった」
 
2 「これまでに契約期間に上限がなかったが、
   新しい契約では期間に上限が設けられた」11.9% 
  「これまでよりも短い期間での契約を求められた」6.2% 

1点目は労働者層に対する周知不足が浮き彫りになっています。

2点目については、法改正前から言われていることではありました。
5年後の無期労働契約転換権の発生を嫌って、
通算の有期労働契約期間を最大5年にする企業が増えるのでは、と
懸念がありましたが、この時点で11.9%の企業は
対策を講じていたということになります。

無期労働契約への転換権については
63.4%の有期労働契約者が、
その存在を知らないわけですから、
企業によってはコッソリと仕組みを変えたケースも
あるかもしれません。

2018年には相当数の人が5年の期間を超え始めていきますが、
その頃になると、慌てて5年で雇止めをしようとして、
トラブルになるケースが頻発するかもしれません。

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上司の無視により発病した適応障害が労災と認められなかった事例

ある清掃会社に勤めていた従業員が
ちょっとしたことがきっかけで
上司から無視されるようになりました。

無視された従業員はそれをストレスに感じ、
食欲不振、不眠等の症状が出たため、
病院に行ったところ、「適応障害」と診断されました。

「これは労災だ」と考えた従業員は
労働基準監督署に対して、
業務が原因で精神障害を発病したとして、
労基署に労災関係の請求を行いました。

労基署としては、請求人の精神障害は
業務上の事由によるものとは認められないとして、
労災とは認めませんでした。

これをさらに不服に思った従業員は、
「労基署の判断はおかしい」として、
市区町村単位の労基署の上部組織である、
都道府県単位の労働局の
労働者災害補償保険審査官に対して、
「審査請求」を行いました。

ただ、従業員にとっては残念な結果となりましたが、
労基署の判断を踏襲し、
従業員の言い分は認められませんでした。

...という事例についての詳細が
名前や日付等は伏せられた上で、
厚生労働省サイトにアップされておりましたので、
以下、ご紹介します。

なお、詳細をご覧いただく前の基礎知識を2種類ご紹介します。

【言い分を認められなかった従業員のこれからの道】

労基署で認められなかったので、
審査請求を行った従業員ですが、
ここでも認められない場合、
国の「労働保険審査会」に最審査請求をすることができます。

ここでも自分の主張が通らず、不服に思う場合は、
訴訟を行って解決していきます。

見方を変えてみると、労基署の決定に不服に思ったからと言って、
すぐに訴訟を起こせるわけではなく、
審査請求、最審査請求を経なければ、
訴訟を起こすことができない、ということでもあります。

【精神障害の労災の認定方法】

ザックリ申し上げると、次の要件を全て満たすことが必要です。

1 対象疾病に該当する精神障害を発病していること。

2 対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、
  客観的に当該精神障害を発病させるおそれのある
  業務による強いストレスが認められること。
  ※ストレスの強度が「弱・中・強」のうち、
  「強」であると判定されることが必要です。
  ※ガイドラインとなる一覧表がありまして、
   そのガイドラインに沿って判定を行います。

3 業務以外のストレス及び個体側要因により
  当該精神障害を発病したとは認められないこと。
  ※固体側要因とは、精神障害の既往歴があるとか、
   アルコール依存等の有無・程度等の要因です。

今回の事例では、業務以外のストレスや
固体側要因はなかったものの、
業務上のストレス度合いについて
「中」と判断されたため、
労災とは認定されませんでした。

従業員としては、最審査請求をする場合は、
「これは「中」ではなく「強」だ!」と主張して、
労災を認めてもらえるように働きかけることになります。

それでは、詳細です。(厚生労働省のHPからの抜粋)

概 要

審査請求人(以下「請求人」という。)に発病した「適応障害」は、
業務上の事由によるものとは認められないとして、
審査請求を棄却した事例
 
要 旨

1 事案の概要及び経過

請求人は、平成○年○月○日から○会社に所属し、
同社が施設維持管理等の委託を受けている○施設において、
本件施設に集められた一般家庭で出る可燃物を
ごみ運搬車にて運搬する業務、担当車両の管理業務、
粗大ごみ破砕処理補助業務及び施設内付帯業務に従事していた。

請求人は、平成○年○月○日に発熱のため
急遽仕事を休んだことがきっかけとなって、
本件施設責任者から無視されるようになり、
平成○年○月中旬頃から食欲不振、不眠等の症状が出現したため、
同年○月○日、○病院に受診したところ「適応障害」と診断された。

請求人は、業務が原因で精神障害を発病したとして、
監督署長に療養補償給付及び休業補償給付の請求を行ったところ、
監督署長は、請求人の精神障害は
業務上の事由によるものとは認められないとして、
これを支給しない旨の処分を行った。
 
2 審査請求の理由

請求人は、審査請求の理由として、
要旨、次のとおり述べている。

勤務先の責任者の仕事上の態度から発病したものであり、
監督署長からの「発病した適応障害については、
業務による心理的負荷が原因となって
発病したものとは認められないため。」
ということに納得がいかない。
 
3 原処分庁の意見

監督署長は、平成23年12月26日付け基発1226第1号
「心理的負荷による精神障害の認定基準について」に基づき、
不支給決定とした理由として、要旨、次の意見を述べている。

(1) 請求人はICD-10診断ガイドラインに示されている
 「F43.2 適応障害」を平成○年○月中旬頃に発病したと認められる。
(2) 発病前おおむね6か月及び発病後に特別な出来事は認められない。
(3) 発病前おおむね6か月の間における
  業務による心理的負荷については、
  平成○年○月以降、責任者が請求人に話しかけることを
  しなくなったとの事実が認められる。
  このことは具体的出来事「上司とのトラブルがあった」を
  類推してあてはめることが妥当であり、
  平均的な心理的負荷の強度は「Ⅱ」を修正することなく適用した。
  請求人は、責任者から話かけられなくなったことから
  心理的負荷を受けたものであるが、
  責任者は当該労働者を無視していた事実を認めているが、
  当該労働者から話しかけてきた時にはこれに答えていたこと、
  また、同僚もこうした状況に
  気が付かない程度であったことを考えると、
  一般的には弱い心理的負荷であるとも考えられるが、
  1か月余りの期間にわたって、
  責任者が当該労働者に無視した理由を
  説明しないといった状況が継続したことを勘案すると、
  当該出来事の心理的負荷の総合評価は「中」と判断した。
  なお、発病前おおむね6か月間において
  休日は定期的に取得しており、
  時間外労働もほぼ認められないことから
  恒常的な長時間労働は認められない
(4) 業務以外の出来事、個体側要因について特に問題は認められない
(5) 以上のとおり、業務による心理的負荷の総合評価は
 「強」に至らないことから、
  請求人に発病した精神障害は業務上の事由によるものとは認められない。
 
4 審査官の判断

(1) 平成23年12月26日付けの基発第1226第1号通達
 「心理的負荷による精神障害の認定基準について」に
  照らし判断すると次のとおりである。
(2) 請求人はICD-10診断ガイドラインに示されている
 「F43.2 適応障害」を平成○年○月中旬頃に発病したと認められる。
(3) 発病前おおむね6か月及び発病後に特別な出来事は認められない。
(4) 発病前おおむね6ヶ月の間における
  業務による心理的負荷について検討すると、
  「責任者の雰囲気が変わった」
  及び「自分を避けている感じがした」ことについては、
  請求人は、平成○年○月以降、
  いつもなら日常会話等をするが、
  責任者の雰囲気が違った感じがして、
  話しかけられなくなったと申述し、
  責任者も自分から話しかけることをしなくなったと
  申述していることから、
  このことで請求人が心理的負荷を受けた事実が認められる。
  当該出来事は、具体的出来事の
  「上司とのトラブルがあった」を類推して
  当てはめる事が妥当と判断し、
  平均的な心理的負荷の強度は「Ⅱ」である。
  請求人は、責任者から話しかけられなくなったことに
  心理的負荷を受けたものであるが、
  責任者は請求人に話しかけることをしない事実を認めつつも、
  請求人から話しかけてきた時にはこれに答えていたこと、
  また、同僚もこうした状況に
  気が付かない程度であったことを考えると、
  一般的には弱い心理的負荷であるとも考えられる。
  しかし、1か月余りの期間に渡って
  責任者が請求人に話しかけなかった理由を説明しない
  といった状況が継続したことを勘案し、
  当審査官は当該出来事の心理的負荷の総合評価を「中」と判断する。
  「早出の指示がされなくなった」ことについては、
  責任者及び同僚2名の申述から通勤に配慮したものと解される内容で、
  請求人が感じたような差別とは言えないものと判断することから、
  心理的負荷を受けた出来事として評価することはできない。
  「職場の他の人間も話しかけて来なくなった。
  自分に対する責任者の態度から
  他の人も話しかけづらくなったと思う」ことについては、
  同僚は、「請求人から、責任者から
  最近話してもらえないと聞いたものの
  普段の様子からそんな感じはなかった。」と申述しており、
  「責任者の態度から他の人も話しかけづらくなった」
  とされる事実は確認されないことから
  心理的負荷を受けた出来事として評価することはできない。
  請求人の時間外労働について、
  発病前おおむね6か月間における長時間労働は認められず、
  また、具体的出来事の前後に恒常的な長時間労働は認められない。
  以上のことから、業務による心理的負荷を
  総合評価しても「強」とは判断できない。

  したがって、請求人に発病した疾病は、
  業務上の事由によるものとは認められず、
  監督署長が請求人に対してなした
  療養補償給付及び休業補償給付を
  支給しない旨の処分は妥当であって、
  これを取り消すべき理由はない。

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伊豆大島:雇用保険制度に関する特別措置

皆様もご存じの通り、台風26号の影響で
伊豆大島では甚大な被害が発生しております。

これに伴い、雇用保険制度に関する特別措置の情報が
東京労働局のHPにUPされています。

以下、その内容をお伝え致します。

災害時における雇用保険制度の特別措置について

平成 25 年 10 月 16 日、台風 26 号による被害の影響に係る
災害救助法適用(東京都大島町)に伴い、
東京労働局では、雇用保険制度について以下の特別措置を実施します。

【1 雇用保険失業給付を受給中の方へ

大島町役場へ来所できない求職者の方々のための
失業の認定日の取扱いについて

雇用保険失業給付を受給している方が、
指定された失業の認定日にやむを得ず、
大島町役場に来所できなかったときは、
大島町役場に申し出ることにより、
失業の認定日を変更することができます

失業の認定日に大島町役場に来所できなかった方は、
大島町役場にお申し出ください。

問い合わせ先
東京都大島町役場 福祉けんこう課 福祉医療係
TEL:04992-2-1471(ダイヤルイン)

【2 労働者の方へ

災害時における求職者給付の支給に関する特別措置

① 概 要

この特別措置の目的は、災害により
その雇用される事業所が休業することとなったため、
一時的な離職を余儀なくされた方に、
雇用保険失業給付の基本手当を支給することにより、
生活の安定を図ろうとするものです。

② 特別措置の内容

次の要件を満たす方については、
雇用保険法上の失業者とみなして、
雇用保険失業給付の支給を受けることができます。

災害救助法の適用を受ける大島町に所在する
事業所で雇用される方(注①)で、
事業所が災害を受け、
やむを得ず休業(注②)することとなったため、
一時的に離職を余儀なくされ、
離職前の事業主に再雇用されることが予定されている方。

注①:雇用保険に6ヶ月以上加入している等の
    要件を満たす方が対象となります。
注②:災害により直接被害を受け休廃止した場合が対象となります。

③ 制度利用に当たっての留意事項

本特別措置制度を利用して、
求職者給付の支給を受けた方については、
休業が終了し、雇用保険被保険者資格を取得しても、
当該休業前の雇用保険の被保険者であった期間は
通算されませんので、
制度利用にあたっては、ご留意をお願いします。

問い合わせ先
飯田橋公共職業安定所 再就職支援課 再就職支援第一係
TEL:03-3812-8609(部門コード 45#)

【3 事業主の方へ】

被災により休業を余儀なくされた雇用保険適用事業所の手続き

雇用保険の被保険者が、上記2の特別措置を受けるためには、
事業主の手続きである
「雇用保険資格喪失届」及び
「雇用保険離職証明書」の提出
(離職票の発行手続き)が必要です。

離職証明書「⑦離職理由欄」の「6 その他」に、
被災により事業所が休業するに至ったため
一時的に解雇することを余儀なくされた旨及び
当該離職者の再雇用予定年月日を明記してください。

問い合わせ先
飯田橋公共職業安定所 雇用保険得喪課 得喪第一係
TEL:03-3812-6134(ダイヤルイン)

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国家戦略特区の概要が明らかに。

国家戦略特区のうち、雇用関係について、
最新のニュースをお知らせいたします。
(日経新聞、毎日新聞より)

1 有期雇用の期間延長

対象者を限定した上で、
有期雇用の期間を最長5年から
最長10年に延ばします。

有期雇用の期間延長はまず特区で実施し、
その後全国に広げることになりました。

下記のような人を期間延長の対象者とするようです。

★新規開業直後の企業やグローバル企業で働く
 高度な専門的知識を持つ人や
 比較的高い収入をもらっている人

来年の通常国会での労働契約法改正を検討します。

2 解雇の要件などを明確化して
  従業員を解雇しやすくする仕組みの導入は見送り


解雇など雇用条件の明確化を巡り、
特区では「雇用労働相談センター」を設けることとなりました。
労使紛争の判例を整理した指針をもとに
解雇条件の決め方を助言するにとどめることとしました。

3 ホワイトカラー・エグゼプション見送り

労働時間の規制を一部の労働者に適用しない
ホワイトカラー・エグゼンプションも見送ることとなりました。

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男女雇用機会均等法、省令で間接差別の規制強化!

本日の日経新聞より。

厚生労働省は男女雇用機会均等法の省令を見直して、
昇進や職種変更にあたり、
合理的な理由がないにもかかわらず、
転居を伴う転勤に応じることを条件にする
「間接差別」を禁じることにしました。
年内の公布を目指しています。

【間接差別とは?】

表向きは性別以外の理由としていますが、
実際には一方の性別の人に
不利益が大きい条件などを
合理的な理由なく課すことを
間接差別と言います。

現在は厚生労働省令により
下記の3点を禁止しています。

1 採用にあたって身長や体重、体力を条件とする
2 総合職の募集・採用にあたり、
  転居を伴う転勤に応じることを条件にする
3 昇進にあたり転勤の経験を条件にする

【今回の省令改正】

今回の省令改正は上記「2」を見直すことになります。

まず、総合職への限定を外し、
全ての労働者を対象とします。

その上で、新たに職場内での昇進や職種変更のときにも、
転居を伴う転勤に応じることを条件にできないようにするのが
省令改正のポイントです。

ただし合理的な理由がある場合は
引き続き、転勤を条件にすることが認められるようにする方向です。
例えば、地方に支店や支社があり、
対象となる人の仕事が必要とされる場合などは
認められることになりそうです。

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中小企業向け!無料の「就業規則の解説本」

この度、愛知県の産業労働部が
という無料冊子をHP上に公開しました。

書店に行くと、就業規則に関する書籍が
たくさん販売されていますが、
全て有料です。(←当たり前ですが...)

一方、こちらは無料です。
そして、無料だからと言ってバカにできないくらいの
情報の質と量が確保されています。

ご興味ある方は有料の書籍を買う前に、
一度ご覧いただくとよいかと存じます。

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平成26年度の労働政策の重点事項 その9(国際関係)

平成26年度の労働政策の重点事項のうち、
今回は下記のテーマの重点事項をご紹介します。

9.その他(国際関係)

① 外国人の適正な就業の促進

★ 我が国の経済社会の活性化の観点から、
  留学生を始めとする高度の専門的な知識・技術を有する
  外国人材の就労促進を図るため、
  外国人雇用サービスセンターが
  新卒応援ハローワークや関係機関と連携し、
  効果的・一体的な就職支援の取組を推進する。
★ 外国人技術者・理系留学生の日本企業への
  就労・定着の実態について調査分析を行い、
  今後の求人開拓及び職業紹介機能の向上を図る。

② 外国人労働者の労働条件の確保

外国人労働者向けの外国語による
モデル就業規則を新たに作成し、
厚生労働省ホームページ等を通じた発信を行うなどにより、
労働条件の確保を図る。

③ 国際発信力の強化

東京電力福島第一原発の作業従事者の
放射線被ばく状況やその対策に関する
情報の英訳版の公表等により、
厚生労働省ホームページを通じた発信を行うことなど、
国際発信カの強化を図る。

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