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改正労働基準法に係わる質疑応答、その3「代替休暇」

厚生労働省労働基準局は、平成22年4月1日から施行される改正労働基準法に係わる質疑応答集を、ホームページに掲載しました。

第1回目の「時間外労働」に関する質疑応答、第2回目の「法定割増賃金率」に関する質疑応答に続いて、第3回目は「代替休暇」です。

 

注意事項
  • 法:労働基準法(昭和22年法律第49号)
  • 限度基準:労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(平成10年労働省告示第154号)
  • 則:労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)

3 代替休暇(法第37条第3項関係)
意向確認の程度
Q15
労働者に代替休暇取得の意向がある場合とは、具体的にどの程度の意向を確認する必要があるのか。(例) 「○月○日に取得する」「○○ころ取得する」「できれば取得したい」

A15
意向確認の程度は取得する意向があるか否か程度でよく、実際の取得日、取得の単位等は後から労働者の意向を踏まえて決めることで差し支えない。

取得日の決定方法
Q16
代替休暇の取得日
について、労働者が希望した日を使用者が一方的に変更や拒否をすることは認められるのか。取得の方法や取得希望日の変更方法について、労使協定で制限することは可能か。

A16
代替休暇は使用者が与えるものであるが、実際に取得するか否かは労働者の判断によるものであるため、使用者による一方的な変更等は認められず、取得日の決定等は当然労働者の意向を踏まえたものとなる。

代替休暇の取得等の具体的な方法については、労使の話合いにより労使協定で定めるものとされている。

割増賃金支払後に取得の意向が示された場合
Q17
法定割増賃金率引上げ分も含めた割増賃金支払後に代替休暇の意向が示された場合の取扱いを協定していない場合に、使用者は当該割増賃金支払後の代替休暇取得の請求を拒めるか。

A17
労使協定で定めた手続に従って労働者の意向確認が行われている場合には、拒むことも可能である。

半日の定義
Q18
代替休暇の単位
1日又は半日とされており、この半日の定義については事業場によって異なると考えられるが、具体的な例はどのようなものか。

A18
半日とは原則的には所定労働時間の二分の一を意味するが、必ずしも厳密に一日の所定労働時間の二分の一とする必要はなく、例えば、午前(9:00~12:00)と午後(13:00~17:00)という分け方でも差し支えない。その場合は、労使協定において半日の定義を定めておく必要がある。

代替休暇に充当できない時間外労働の処理
Q19

代替休暇として与えることができる時間の時間数について、例えば、1日の所定労働時間が8時間の事業場において、換算率25%の場合、1か月に85時間の時間外労働を行った場合には、25×0.25=6.25時間となり、代替休暇を1日又は半日単位で取得しようとしても端数が生じることとなるが、このような場合に切り上げや切り下げの処理は可能か。

A19
代替休暇は実際に取得した時間数に対応して月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金の支払が不要となるものであり、切り捨てや切り上げといった処理を行うものではない。

設問の場合において1日分の代替休暇を取得するのであれば、不足する1.75時間分についてその他の休暇を取得することで1日分の代替休暇を付与することや、換算した4時間分(時間外労働16時間分の引上げ部分)を半日分の代替休暇として付与し、残りの時間外労働9時間分を割増賃金で支払う方法が考えられる。

平均賃金の算定との関係
Q20
1か月60時間を超える時間外労働を行った翌月に代替休暇を取得することとしていたものの取得できなかった場合には、次の賃金支払日に割増賃金の支払いが必要となる。

この場合、平均賃金の算定に当たっては、当該支払われた割増賃金は当月の賃金として計算するのか、それとも前月の賃金として計算するのか。

A20
平均賃金の算定に当たっては、支払われた賃金の総額を基に算定するため、例えば代替休暇を取得できなかったことにより、引上げ分の割増賃金の支払期日が翌月の賃金支払日になった場合は当該割増賃金は当該翌月の賃金支払日に支払われる賃金として平均賃金を算定する。

年次有給休暇の出勤率の算定基礎との関係
Q21
代替休暇を半日取得した日に、半日の年次有給休暇を取得し終日出勤しなかった場合、当該日を年次有給休暇の出勤率の算定基礎となる全労働日に含めるものと解してよいか。また、出勤率の算定はどのように行うのか。

A21
半日の代替休暇を取得した日に、残りの半日について年次有給休暇を取得した場合については、当該日は年次有給休暇の出勤率の算定基礎に含まれ、出勤率の算定に当たっては、年次有給休暇を取得した日であるので、出勤したものとみなすこととなる。

「通常の労働時間の賃金」の考え方
Q22
通常の労働時間の賃金」とは、年次有給休暇を取得した場合に支払う賃金と同様に、平均賃金標準報酬日額に相当する金額を支払うことも可能と解してよいか。

また、時間単位年休と合わせて取得する場合に、当該時間単位年休が平均賃金や標準報酬日額を基準として支払われている場合はどうか。

A22
法第37条第3項の代替休暇は、「通常の労働時間の賃金が支払われる休暇」であり、平均賃金や標準報酬日額で支払うことは認められない。時間単位年休と合わせて取得する場合でも同様である。

所定労働日と所定休日の割増賃金率が異なる場合
Q23
日曜日及び土曜日を休日とする完全週休2日制(法定休日は日曜日)で、所定労働日の時間外労働に対する割増賃金率を25%、法定休日以外の休日である土曜日の労働に対する割増賃金率を35%と定めている場合に、土曜日の労働時間数を含んで時間外労働時間数が1か月60時間を超えたとき、代替休暇の時間数はどのように算出するのか。

A23
設問の場合、所定労働日の換算率と法定休日以外の休日である土曜日の換算率をそれぞれ算出し、それぞれの1か月60時間を超える時間外労働時間の部分について換算率を乗じた時間数を足し合わせたものが代替休暇の時間数となる。

なお、双方の換算率が同一となるように労使協定で定めることも可能である。

2か月経過後に代替休暇を取得した場合
Q24
労働者が、代替休暇を時間外労働が1か月について60時間を超えた当該1か月の末日の翌日から2か月を超えた時点に取得した場合は、引上げ分の割増賃金を支払う必要はないと解してよいか。

A24
2か月を超えた時点の直後の賃金支払日に使用者は代替休暇に相当する割増賃金を支払わなければならない。

また、労働者が2か月を超えた時点で休暇を取得した場合であっても、それは代替休暇に該当せず、割増賃金の支払義務に影響しない。

前々月の代替休暇と前月の代替休暇の取得の優先順位
Q25

前々月の代替休暇として取得できる時間数と前月の代替休暇として取得できる時間数がある場合、取得の優先順位はあるか。

A25
労使協定において定めがあればその定めによる。定めがない場合は、前々月の代替休暇として取得できる時間数から代替休暇に充てられると推定すべきである。

代替休暇とされている日に出勤を命ずることの可否
Q26
代替休暇の単位は一日又は半日とされているが、代替休暇取得日に緊急の必要により出勤を命ずることは可能か。

また、代替休暇を法第39条に基づく年次有給休暇と組み合わせて取得しようとする場合、年次有給休暇部分にだけ時季変更権を行使することはできるのか。また、行使できるとした場合、時季変更権を行使した結果半日又は1日の休暇が取れなかった場合の取扱いはどうなるのか。

A26
代替休暇取得日には労働義務がないのであるから、労働者の同意がある場合は格別、使用者の都合によって労働者を呼び出すことはできない。

なお、労働者が同意し出勤した場合に、取得可能な代替休暇の最小の単位を満たさない場合には、代替休暇を取得したこととはならない。

また、年次有給休暇は事業の正常な運営を妨げるのであれば、時季変更が可能であるが、その行使の結果として、組み合せによる半日又は1日の休暇が取得できなくなる場合は、代替休暇の取得とはならない。

質疑応答の全文は以下をご参照ください
改正労働基準法に係る質疑応答:厚生労働省

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