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労働相談に係わる知識不足、自己流解釈が労使共に目立っています

厚生労働省の、「第3回今後の労働関係法制度をめぐる教育の在り方に関する研究会」議事要旨に、東京都労働相談情報センター及び東京労働局に相談に訪れた者の知識等について、労使共に知識不足、自己流解釈が目立つ、としています。

まず、東京都労働相談センターに寄せられた相談の現状

・ 非正規雇用に関して、労働関係法制度に関する基本的な知識について労使ともに正確な理解がされていない。小規模事業からの相談が多い。情報関連や介護関連の業種で認識が不十分。

・ インターネットの普及により、必要な情報が入手しやすくなっているものの、労使共に自己流の解釈をし、トラブルになる。

・ 利益最優先で、労働力をコストとととらえ過ぎる意識の増大、遵法意識の低下等、事業主側の意識の低下が目立つ。

そして、以下のような相談事例がしばしば出てくるようです。

  1. パートタイム労働者にも有給休暇の適用もあるということを事業主が認識していない事例
  2. 退職金は、労働基準法上に根拠があるわけではなく、就業規則に明記されている場合に支給義務があることを労働者が認識していない事例
  3. 解雇と退職の違いを理解できておらず、労働者が事業主の求めるままに退職願を書いてしまう事例
  4. 試用期間中であっても、14日経過すれば労働基準法の適用があることを事業主が認識していない事例
  5. 事前連絡もなく勝手に仕事を辞めてはいけないことを労働者が認識していない事例
  6. 給与の全額払い・一括払いの原則及び相殺の禁止を事業主が認識していない事例

パートやアルバイトには有給休暇を与えない、いきなり翌日退職してしまう、など中小企業においては頻繁に見受けられることです。使用者にとっても労働者にとっても頭の痛い事柄ではないでしょうか。

次に、東京労働局における相談の現状

・ 9割が労働者からの相談であり、ほとんどが労働組合のない労働者や事業主からの相談。

・ 大企業では、労働時間の管理や時間外等の割増賃金、管理監督者の取扱い、近年はパワハラなどの人格権侵害、精神疾患による休職後の復職といったことが問題として出てきている。他方、中小零細では、労働条件の明示や解雇手続き、年次有給休暇の取扱いなど、基本事項が問題になることが多い。

・ 労働者については、基本的な知識を把握していない者が多いという印象。

具体的な相談事例としては

  1. 労働条件を書面で明示することを労使双方ともに認識していない事例
  2. 労働条件の不利益変更は、労働者の事前合意や引き下げについての合理的理由が必要であることを事業主が認識していない事例
  3. 民法上の契約解除の方法等を労使双方ともに認識していない事例や労働者に義務を果たす意識・他者への配慮が希薄である事例
  4. 法令知識や労務管理経験の少ない若い労働者が店長を任されることの多い多店舗展開をしている企業において、解雇の手続き等を事業主が認識していない事例
  5. 解雇と退職の違いを認識できておらず、労働者が事業主の求めるままに退職届を提出してしまう事例
  6. パワハラなどの人格権侵害についての不法行為責任やパワハラ等に対する社内教育の徹底等の必要性を事業主が認識していない事例
まず、 ほとんどの中小企業では労働条件を書面で明示していないと思わます。給与すら決まらないうちから、明日から来てくれ、などと口約束だけで済ませてしまいます。

厚生労働省:第3回今後の労働関係法制度をめぐる教育の在り方に関する研究会議事要旨

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