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事業計画を拝見して

 「沼田先生、大手VCが出資を決めた同業者は、半年も経たずして経営不振、当社が買収を検討している所です。」
 B社長は得意気です。「VCって見る目が無いですね。」

 B社長はある経営者からのご紹介、資金調達のニーズがあるとの事でした。事前に事業計画を拝見して「可能性はゼロ」と私は返事をしました。B社長もご紹介者も「事業計画を見るだけで分かるんですか?」と不満気でした。お会いする前のやり取りが、B社長の言葉に現れているのでしょう。

 B社長は結局、投資を受けられませんでした。独創性のあるプランでしたので、きっと悔しい気持ちで一杯だったのでしょう。私は若いB社長のために2時間食事をしながら、問題点をズバリ指摘しました。これは努力してもお金の集まらない多くの会社に共通する問題点でもあります。
 
 「あなたの事業計画には商品・サービスの独創性の説明しかありません。ここを訴えたい気持ちは痛いほど分かるけど、これを30%以下に抑えないとダメです。自分のやりたい事ばかりを主張しても、世間で友達はできないでしょ?」
 「投資家は商品・サービスに関して素人です。社長のやりたい事を説明しても、無意識に批判的な思考回路から働くのです。」
 「投資家から共感を得やすい部分の説明からスタートすべきです。例えば販売戦略は、どのビジネスにも共通ですし、社会との接点になる部分です。知的で最後はこちらが頭を下げる話ですので、最初から共感も得やすいのです。」
 「緻密な販売戦略から商品・サービスの特性が垣間見える事業計画が最高なんです。実績が無い会社の場合、本当に売上が上がるか、投資家の最大の心配はそこですから・・」
 「3分で資金調達の失敗を判断したのはこの目次です。目次には販売戦略の項目が一つもありません。」
 
 間違っているのは投資家だ、投資家はもっと事業を見る目を養うべきだ、というB社長の心の声、でも日本の大半の投資家は事業のプロではありません。事業家としてB社長が正しいか間違っているか、私には分かりません。私の専門分野は、投資家に理解され、資金調達に成功する方法論です。少し踏み込むなら、経営者としての最適なコミュニケーションのあり方とも言えるかもしれません。
 事業の素人である投資家の心理は、実は人間心理でもあります。一方で事業計画は、たとえ外注しても、見事なほど社長の心理状態を表します。ですから事業計画の修正を通じて、社長の心理状態を修正する事も可能です。少し見方を変えれば、事業が分からなくても、会社の売上や成長性を見極める事もある程度はできるのです。 

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