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フジサンケイビジネスアイ 特別コラボ企画

【労務管理の落とし穴(26) 資格取得費用を返せ】

 最近は資格を取得してキャリアアップを狙う人が多いようで、資格の専門学校で多くの人が学んでいます。さまざまな資格があり、手に職を付けるものや独立が狙えるものだけでなく、会社の実務に直結するものもありますので、会社としても資格の取得を奨励することがあります。今回はその奨励策が問題となったケースです。

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 社員「退職するといったら、突然こんな大金を払えなんておかしいじゃないですか」
 人事「もともと、社労士講座の通学費用や社労士試験の受験費用などの実費を好意で会社が立て替えてあげたのですから当然です。契約書にもきちんと書いてあるじゃないですか」
 社員「そうはいっても、取得した資格を生かして会社の業務をしていたわけですし、1年働けば返済を免除するとなっていたので、もらえるものと誤解してしまいます。これでは実質的に損害賠償の予定じゃないですか」
 人事「1年働けば賞与が支給されることから実質的に返済が不要になるというだけです。合格して3ヶ月でやめると言い出したような人に賞与は出ませんから返済は必要です。返済できないのであれば身元引受人の方に事情を話してお支払い頂くまでです」
 社員「勉強した成果を仕事に役立てていたわけですし、会社も資格取得を奨励していたわけですから、何とかなりませんか?」
 いかがですか。会社が社員の資格取得のために必要な費用を出す代わりに一定期間働くことを義務付け、早期に退職すると社員が費用を会社に返却しなければいけないという契約をしていることが実際にありました。これは社員を不当に会社に縛り付けることにつながり、早期の退職という労働契約の不履行について、違約金を定めたり、損害賠償額を予定する契約を締結したとして、労働基準法16条に違反し、無効となると考えられます。
 では、単に資格取得費用を立て替えたり貸し付けたりした場合で、一定期間就業すれば返済を免除するという場合はどう考えればよいのでしょうか。

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 会社が実費相当額を立て替えており社員が返済によりいつでも退職でき、返済にかかる約定が不当に雇用関係の継続を強制する内容でなければ労基法16条違反にはならないと考えられます。ただ、今回のケースは、退職時に多額の立て替え金をまとめて返せということで、間接的に雇用関係の継続を強制していると考えることもでき、ちょっと微妙なケースです。例えば、退職後に、負担があまり大きくなりすぎない金額に分割して返済してもらうというような検討が出来れば比較的穏便に事が進むと思いますが、合格間もない退職ということもあり、人事担当者も熱くなっているため説得は必要です。
 いずれにせよ、お金を払わせることで退職を思いとどまらせようとすることは違法ですので気をつけましょう。

アストラット株式会社

 若くてフットワークが良いスタッフを中心にお客様のサポートを行っています。 新しいことにどんどんチャレンジするスタッフが多く「それはできません」という仕事が少ないのが当社の特徴です。
 弁護士や会計士、税理士、司法書士、社労士、中小企業診断士、行政書士、ファイナンシャルプランナーと社内にほとんどの専門家が常駐していることから、本当に必要なサービスを一ヶ所で受けることができる便利さが喜ばれています。

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