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中野人事法務事務所中野 泰(なかの やすし)

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始末書の提出は強制できますか?

懲戒処分で「けん責」というものがあります。
恐らくは就業規則に「始末書を提出させ、将来を戒める」等と定義が書いてあることかと存じます。

さて、けん責処分を受けた従業員が「私は始末書は書きません。」と意思表示をした際、
会社として始末書を書くよう、強制することはできるのでしょうか?

豊橋木工事件(昭和48年3月14日、名古屋地裁)では、次のように判示しています。

1 会社による始末書提出命令は、
  懲戒処分を実施するために発せられる命令であり、
  業務上の指示命令ではない。
2 労働者の義務は労務提供義務に尽きるのであり、
  労働者は何ら会社から身分的人格的支配を受けるものではなく、
  個人の意思の自由は最大限に尊重されるべきである。
3 1と2を踏まえると、始末書の提出命令を拒否したことを理由に
  これを業務上の指示命令違反として
  さらに新たな懲戒処分をすることは許されない。

この他、丸住製紙事件(昭和39年10月28日、松山地裁西条支部)においても、
始末書提出の要求は、業務上の指示命令とは解せられない、としています。

水戸観光デパート事件(」昭和37年9月6日、水戸地裁)では、
業務上の指揮命令としていますが、全体の趨勢からすると、
この判決を盾にして「始末書提出は業務上の指揮命令の一環だ」とするのは難しそうです。

ただ、ここで逆転技があります。

始末書とは何か?という定義を変えてしまうのです。

通常、始末書というのは「本人が非を認め、謝罪する文書」とされています。
この場合ですと、「労働者は何ら会社から身分的人格的支配を受けるものではなく、
個人の意思の自由は最大限に尊重されるべきである。」という点に抵触してしまいます。

そこで、始末書を「事案の経緯の報告を求める文書」と位置付けるのです。

具体的には、同じ始末書という言葉を使うと混乱の元なので、
「顛末書(てんまつしょ)」「経緯報告書」等と名称を変えた方がよいでしょう。

淀川製鋼所事件(昭和45年4月17日、大阪地裁)でも、
「使用者が後日の証拠のため、あるいは事案を明瞭にさせる意味合いの始末書であれば、
 懲戒処分としての始末書提出には当たらない」としています。

そこで、実務上の流れとしては、次のようになります。

1 けん責処分を行う →本人が始末書の提出を拒否
2 始末書は提出しなくてよいので、経緯報告書を提出するよう指示
  (始末書との違いを本人に伝えること)
3 本人が経緯報告書も提出を拒否
4 業務上の指示命令に従わないことを理由に、さらなる懲戒処分の検討

できれば、「0番」として、経緯報告書の提出に関することについて、
就業規則に定めておくとよいでしょう。

また、始末書の提出を拒否する段階で、
弁護士や社会保険労務士にご相談なさるとよいかと存じます。
(上記4でも収まらない、深刻なトラブルに発展する可能性があるため)

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