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日本の社会保障制度の方向

 昨年の国会で、年金機能強化法、被用者年金一元化法、平成24・25年度基礎年金国庫負担割合2分の1法及び年金生活者支援給付金支給法が成立しました。


 この改正により長年の懸案であった被用者年金制度の一元化、パート労働者等への厚生年金の適用拡大、基礎年金国庫負担割合2分の1の恒久財源の確保などが実現しました。


 このため、年金制度がより安定し、公平になったとされています。しかし、昨年11月30日に初会合が行われた社会保障制度改革国民会議が、法により設置されるなど、まだまだ課題があります。
 

 今後の公的年金制度は国民会議で検討し結論を得ることや、年金記録管理の不備による問題への対処、低年金・無年金者対策等が掲げられています。岡田克也副総理(当時)も、「選挙のたびに社会保障制度が変わるのは国民の生活の安定につながらない。専門家を中心に、いかなる政権になっても耐え得る制度を議論してほしい」と述べています。私も同感です。


 上智大学名誉教授 堀 勝洋によれば、厚生年金適用拡大は対象者が実質約25万人と少なく、このため、その要件である「事業所に継続して1年以上勤務」の期間を短縮し、「従業員数が501人以上」の人数を引き下げるなどの改正が必要。
 
また、国民年金保険料の納付者を増やすことが必ず必要であり、保険料の引き上げの実施も行われるべきだとのこと。厚生年金の保険料の値上げは、経済界が必ず反対するし、世代間の公平を理由に現役世代の保険料負担増加に反対する意見が出てくる可能性があるとのこと。
 
次に、給付水準を下げる案であるが、これ以上基礎年金の水準を下げるのは望ましくないとのこと。将来的にはマクロ経済スライドにより、現在の月額約6.6万円から月額5万円台半ばまで低下することが推計されているからである。
 
第3に、支給開始年齢の引き上げであるが、そのためには65歳以上の者の雇用確保が前提となるが、現在の雇用情勢のままでは、雇用が確保しがたく、多くの者が支給の繰り上げをすることが予測される。当然もらえる月額は減る。この政策にはなかなか国民の賛同や納得は得られないであろうとのこと。実際、昨年厚生労働省は、支給開始年齢の引き上げを提案したが、取り下げざるを得なかったとのこと。
 
最後に、他にも多々課題はある(官民格差の是正、男女の平等化、世代間・世代内の公平化)が、ここでは省略。年金制度の方向性についてであるが、2012年に公表された民主党の「新しい年金制度」案を参考に、意見を述べられている。以下2点についてである。

①自営業者と被用者の年金制度を一元化する
②現在の「基礎年金+所得比例年金」を「最低保障年金+所得比例年金」にする

 ①についてだが、基本的に望ましい案であるのだが、現在においてはマイナンバー制度が導入されない限り、保険料の賦課がキチンとされないという問題点がある(例えば、自営業者が不正に所得を低く申告すると保険料が安くなる)。また、給与所得者は通勤手当等を含む給与収入に賦課されるのに対し、自営業者は「売り上げ-必要経費」という所得に賦課されるという点で、この違いにより生ずる不公平(小玉社労士にはいまいちどんな不公平があるのか判然としなかったですが・・・)をどう解決するかが問題点であるとのこと。
 ②については、いずれの給付体系もあり得るが、40年もの歳月をかけて前者から後者に移行すべき理由があるのか疑問だとのこと。また、公約では「すべての国民に月額7万円の最低保障年金を支給する」としていた民主党だったが、後には「所得比例年金と最低保障年金とを合わせて最低7万円を保障する」に変わった。しかも、最低保障年金は所得比例年金が高い者には支給されず、未納・未加入期間がある者には7万円が保障されないことが明らかになったとのこと。

 今は、自民党の安倍内閣の世の中である。民意は自民党に流れた。ここまで民主党が敗れた一因に、社会保障制度や、景気対策が後手に回っていたことは無視できない。自民党には
年金制度を含め、良き政策を期待したい、小玉社労士の感想として結びとする。

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