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小橋川会計事務所ブログ

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2010年7月 6日

年金型保険課税に対する最高裁判決の衝撃

 7月6日本日、年金型保険における相続税と所得税の2重課税が違法であるというとんでもない判決が最高裁にて下され国側の敗訴が確定しました。
 この判決、実は徴収側の国税庁や支給者側の生命保険業界さらには年金型保険の受給者に対して途方もないインパクトをもたらします。ひいては国の財政にも少なからず影響を与えることも間違いありません。なぜかと申しますと、私の周りをざっと見回してみても顧客の皆さまだけでなく親族にもこうした保険を所有していらっしゃる方が沢山おり、その処理件数といったら見当もつかないほどとなり還付税額が大きくなることが予想されるためです。

 初めて耳にした方のためにこの事例について簡単にご説明しましょう。
 ご存じのとおり誰かが亡くなると国はその人の財産について税金をかけることとなりますが、年金型保険については亡くなった時に当該保険の価値を算出し相続税をまず納税します。通常、いったん相続税の納付を終えた財産は以後課税なく相続人が受けとれるのが一般的な課税方法です。
 ところが、この年金型保険はその後10年にわたって受け取る方法(いわゆる一時払いではない年金払い方法)を選択すると受け取る度に、すなわち毎年所得税(雑所得)が課税されることになるのです。またこの方法は40年以上も継続されてきました(天文学的な件数です)
 それを今の今まで普通と考えてきましたが、今回の主人公となる長崎の女性が2重課税として税務署に対して返還請求をしたところ拒否されてからこの訴訟が始まったようです。
 
 1審で2重課税が認められ勝訴。2審で国の要求が認められ敗訴。そして本日、最後の審議で通例徴税訴訟の敗北を喫することのない国に勝訴しました。この判決においては裁判官も相当の覚悟があったのだと推測できますが、最高裁まで意思を貫き通した長崎の原告の方も立派なものと敬服いたしました。

 私見では、もちろん相続時における評価対象も分割で払われる年金も元金(出所)は同一のものであるため2重課税であることは否めないと考えております。ただし元金から生じた果実(利息や運用に基づく増加資産)について税金をかけることに異論はありません。

 しかししかし、これから実務者サイドは落とし所を探るのに大変難しい選択(いつまで遡及できるのか、生保会社の源泉徴収システムの見直しはどうするか、還付財源をどこに求めるのか等)を迫られたことは間違いないでしょう。
 かなり私も興奮しっぱなしの判決情報でした。