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【労務管理の落とし穴(35) 判例は絶対?】

 有期雇用やパートタイムで働いている人にとっては、会社の利益水準次第で仕事がなくなるかもしれないという不安が常につきまといます。特に、売り上げが大幅に減少して、何人もの社員が暇そうにしていたり、社長がイライラしていたりすると、少しずつ心配になってきます。今回はそれが現実になってしまったという話です。

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 A課長「Bさん、見ての通り売り上げが大幅に減少してしまい、このままの体制で事業を継続することが難しくなってきています。つきましては、来月末の契約更新はできませんので、早めに次の仕事を探してください」
 Bさん「そんなこと急に言われても困ります。ましてやこの不景気ですから次の仕事が見つかるかどうかもわかりません。そもそも、私より後に入社した社員も大勢いるわけですし、今までほぼ全員契約更新になっていたわけですから、私だけクビということはできないはずです。判例もきちんと出てますよ!」
 A課長「そんなこと言われても、契約書に期間の定めがあるのですから、社員を先にクビにするわけには行きませんし、就職先の紹介もするから、そこを何とかお願いしますよ」
 Bさん「嫌です。判例が出ているのにクビにするというのであれば、裁判をするまでです!」
 いかがでしょうか。判例という言葉にビックリして完全に弱腰になってしまったA課長ですが、そもそもどの判例かもわからずにあたふたしてしまっているようです。こういった場合は必ず相手が言っている判例を見せてもらうようにすると良いでしょう。
 「判例」は過去に最高裁判所の出した判決のことで、同じようなケースでは裁判所が判例と同じ判断をする可能性が高く、特に高等裁判所や地方裁判所は実質的に判例に拘束されています。一方「裁判例」は過去に高等裁判所や地方裁判所が出した判決のことを言いますので、最高裁で判断が変わる可能性もあるため、「判例」のように強い力はありません。もっぱら、このような判断がされる可能性が高いという程度のものです。

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 判決は個々の事件の具体的なケースに沿って判断がされていますので、前提が一つ変われば全く違った判断が出るということも多々あります。よく「判例の射程」という言い方をしますが、実際のトラブルが判例と同じようなケースで、射程内なのかどうかをよく確認する必要があります。
 実は、Aさんが言っていた判例は、契約更新時にきちんとした話し合いもなく、実質的に期間の定めのない契約になっていたケースでしたが、今回はきちんと毎年の契約更新時には次の契約条件を話し合って再契約をしていましたし、そもそも役員報酬を下げたり、希望退職を募ったりという解雇回避努力までしていたので、Bさんに対する更新拒否は正当と言える部分も多いようです。
 今回のケースで参考になる判例は、「東芝柳町工場事件」(最高裁昭和49年7月22日第一小法廷判決)、「日立メディコ事件」(最高裁昭和61年12月4日第一小法廷判決)などです。

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