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【労務管理の落とし穴(36) 勝手に残業】

 残業代の未払いが大きな問題になっているご時世なのですが、対岸の火事とばかりに、まだまだ社員の労働時間管理にルーズな会社もあるようです。もともと使用者には労働者の労働時間を適正に把握する義務があるため、きちんとした管理をしていないといろいろな問題が発生してきます。今回はそんな問題の一つを見てみます。

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 課長「Aさん起きてください。昨日は徹夜ですか。そんなに急ぎの仕事はなかったはずですし、なぜ残業の申請が出ているのですか?」
 社員A「以前重要な仕事だと言われていた取引履歴の整理をしておきました。一気にやってしまわないと終わらないですしね」
 課長「昨日は飲み会だって帰ったじゃないですか。まさかその後に戻って仕事をしていたんじゃないですよね」
 社員A「ええ、もちろんその後です。でもお酒はほとんど飲んでませんから大丈夫です」
 課長「飲み会で遅くなってタクシー代がもったいなくなったわけだな。事前に申請がなかったんですから残業は認められませんよ」
 社員A「そこを何とかお願いしますよ。せっかく仕事をしたわけですし」
 いかがでしょうか。「残業代の支払い義務がある」というには、使用者が労働者に時間外勤務を命じることが必要です。しかし、必ずしも明示的に残業命令がなされている必要はなく、黙示の残業命令に基づく残業であると認められる場合には残業代の支払い義務が発生してしまいます。
 この会社の就業規則を見ると、残業は上司からの指示があるか、事前に上司へ申請して承認を受けることが必要ということになっていますが、実際は労働時間の管理がルーズなこともあり、恒常的に1時間から2時間程度残業をしている人も多いようです。上司が先に帰ったり、接待で出てしまうこともあるようですが、残業終了後に電話で上司に報告するなどというようなこともなく、事後的に少なめに書いた残業の申請書を上司に提出して、運良く認められれば残業代が支払われるというようなルーズな状態でした。

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 仕事も、残業しなければ終わらないくらいの量があり、当然締め切りもあるわけですから、黙示の命令があったと認められやすい状況になってしまっていました。今回はたまたま、タクシー代惜しさに会社に戻って残業をしてしまったという極端なケースだったので、本人もダメもとで申請してきただけのようですが、早急にきちんとした労働時間管理をしていかないと多額の残業代の支払いで会社が傾きかねない危険な状態だったといえます。
 その後、社員から過去に残業代の申請が漏れている分を申告してもらって清算し、労働時間管理を徹底したこともあり、大きな問題になる前に手を打つことができました。

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