中小企業緊急雇用安定助成金をもらうために休む?
先日、突然、事務所に「助成金がもらえるから、休業を考えている」という相談の電話がかかってきました。
電話の主は、運送会社の社長でした。その社長の知人に、「雇用の問題について、相談にのってくれる人がいるよ」と言われ、私のことを知ったそうです。
当然、私は全く知らない会社です。
電話の翌日、会社へ訪問し、今の経営状態など詳しい話を社長から聞きました。
ここ2週間程の間に、その会社が配送を請け負っている荷主が何社も倒産し、会社の総運賃収入が半減。従業員の雇用が維持できない状態のようです。社長は興奮していました。
会社の状況から考えて、助成金の受給要件は満たしていそうでした。
でも、「助成金がもらえるから、休業する」という考えでよいのでしょうか?
私は社長に問いかけました。
「休業を決める前に、配送ルートを工夫して、残業にならない勤務を考えてみてください」
「新たな仕事を請け負う見込みが全くなく、先行不透明な状態で従業員を休ませ、休業が長引けば従業員を不安な気持ちにさせますよ」
「休業手当に対して助成金は出ますが、社会保険料等は休業手当をもとに算定されるため、法定福利費の圧縮は、あまりできないかもしれません」
「従業員に、今の会社のおかれている状況を説明してはいかがですか。社長に協力できない方は、退職されるかもしれません。逆に、今の厳しい状況を、社長と共に乗り越えようとする方は、本当に会社にとって必要な人だと思いますよ」
私の話を聞くうちに、社長は落ち着いてきました。
そして、社長は「助成金をもらうことしか頭になくて、他のことが全く考えられなくなっていた。もう一度、会社のことを冷静に考えてみるよ」と言われました。
(社長が検討した結果は、後日聞く予定です)
とは言っても、私個人的には、助成金申請の依頼を受けられたら、手続報酬が入りますので嬉しいのですが・・・。社労士が邪なことを考えたら、いけませんね。
(中小企業緊急雇用安定助成金の概要)
(1)主な受給要件
1.最近3ヵ月の売上高または生産量等がその直前3ヵ月または前年同期比で減少していること。
前期決算等の経常利益が赤字であること。(生産量が5%以上減少している場合は不要)
2.従業員の全一日の休業または事業所全員一斉の短時間休業を行うこと。
(平成21年2月6日から当面の期間にあっては、当該事業所における対象被保険者等毎に1時間以上行われる休業についても助成金の対象となりました)
3.3ヵ月以上1年以内の出向を行うこと。
(2)受給額
1.休業等の場合
休業手当相当額の4/5(上限があります)
支給限度日数は、3年間で300日(最初の1年間で200日分まで)
教育訓練を行う場合は、上記金額に1人1日6千円を加算
2.出向の場合
出向元で負担した賃金の4/5(上限があります)



