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中野人事法務事務所中野 泰(なかの やすし)

ブログ記事一覧

賞与で減給の制裁はできるか?

減給処分を行う際、通常は毎月支払われている給与から減給を行いますが、
賞与からの減給処分は可能でしょうか?

賞与も賃金であることから、
制裁として賞与から減額することが明らかになっている場合は、
労働基準法第91条の減給の制裁に該当します。

したがって、減給すること自体は可能ですが、
下記の点にご注意ください。

1 1回の事由につき、平均賃金の2分の1の額を
  超えないようにすること
2 減給の総額が賞与額の
  10分の1を超えないようにすること

(昭和63年3月14日 基発150号より)

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減給の制裁処分として「給与を3か月間1割削減」することはできるか?

ある社員が就業規則に違反し、減給処分をすることとなりました。
「3か月間、給与を1割減給する」等、
複数月に渡って減給処分を行うことはできるのでしょうか?

結論から申し上げますと、一つの事案について、
複数月に渡って減給処分を行うことはできません。

労働基準法第91条には次の定めがあります。

―――――――――――――――――――――――――――――
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、
その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、
総額が一賃金支払期における賃金の総額の
十分の一を超えてはならない。
―――――――――――――――――――――――――――――

「一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え」てはならないというのは、
「一箇の事案に対しては減給の総額が平均賃金の
1日分の半額以内でなければならない」ことを意味しています。
(昭和23年9月20日基収第1789号)

たった1回の事案によって、多額の損害が会社に発生したとしても、
減給額は平均賃金の1日分の半額を超えることはできません。

また、その事案についての減給の制裁を数回に分けて行うとしても、
その合計額は、平均賃金の1日分の半額までです。

したがって、1つの事案について、
1割減給を3か月間継続することはできないということになります。

なお、従業員が業務上の重過失により
会社に損害を与えた場合、
従業員の重過失の行為と発生した損害との間の因果関係や
発生した損害額を会社側で証明することができれば、
従業員に対して損害賠償請求をすることも可能です。

減給の制裁額と、損害賠償は別問題として
切り離して考えるということです。

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会社の金を横領した社員を懲戒解雇することはできるか?

会社の金を横領。
そんなことってあるの?と知り合いで現金商売をしているレストラン経営者に聞いてみたところ、
「いっくらでもありますよ~。」

社長から信頼されて金庫の鍵を預けてもらっている幹部社員が、
その信頼を逆手に取り、こっそりネコババしていたとか、
具体的ケースを挙げ出したらキリがないほどだそうです。

皆で汗水たらして得たお金をコッソリ横領するなんて、とんでもないことです。
気持ち的には「許せん!懲戒解雇で即日解雇だー!!」となりますが、
法的には大丈夫でしょうか?

厳密な結論を言えば
「個々のケースにより異なりますので、何とも言えません」となります。

解雇の判断って微妙なんです。ただ、これでは答えになりませんね。

そこで、最終的には何とも言えなくとも、
考え方の筋道をお伝えしようと思います。

1 即日解雇はできるのか?

解雇処分が有効であるということが前提ですが
即日解雇、できます。

ただ、即日解雇をする際は、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。
これを「解雇予告手当」と言います。

えっ?会社の金を横領したようなヤツになぜ、そんなお金を支払わなくてはいけないのか?

そりゃそうですよね。ごもっともです。

労働基準法第20条にも「労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合」は
解雇予告手当を支払わなくてよい、とされています。

そうなると、「労働者の責に帰すべき事由」かどうかを誰かが判断することになります。
これを判断するのが労働基準監督署です。会社ではありません。

したがって、労働基準監督署に「解雇予告除外認定申請書」という申請書を届け出て、
判断を仰ぐことになります。

労働基準監督署で判断する際には、次の通達を参考に決めていると思われます。
(昭和23年11月11日 基発第1637号、昭和31年3月1日基発第111号)

盗取、横領、傷害等があった場合の
「労働者の責に帰すべき事由」として認定すべき事例

1 原則として極めて軽微なものを除き
  事業場内における盗取、横領、傷害等、刑法犯に該当する行為のあった場合

2 一般的にみて「極めて軽微」な事案であっても、
  使用者があらかじめ不祥事件の防止について
  諸種の手段を講じていたことが客観的に認められ、
  しかもなお労働者が継続的にまたは断続的に
  盗取、横領、傷害等の刑法犯、またはこれに類する行為を行った場合

3 事業場外で行われた盗取、横領、傷害等の刑法犯に該当する行為であっても、
  それが著しく当該事業場の名誉もしくは信用を失墜するもの、
  取引関係に悪影響を与えるもの
  または労使間の信頼関係を喪失せしめるものと認められる場合

ということで、極めて軽微でもなく、事業場内で行われたのであれば、
通常は、労基署も認めてくれるのではないかと考えます。

2 懲戒解雇処分は有効か?

懲戒解雇とは、普通解雇と異なり、けん責、減給、降職、出勤停止等とともに
企業秩序の違反に対し、使用者によって課せられる一種の制裁罰です。
(昭和38年6月21日 十和田観光電鉄事件 最高裁第二小法廷判決より)

懲戒解雇の具体的な方法や手続きについては、
特段法律で定められていませんが、
懲戒解雇を含む懲戒処分を社内の仕組みとして導入する場合は、
その種類や程度に関する事項を就業規則に定めなくてはいけません。
(労働基準法第89条第9号)

また、労働契約法で、懲戒処分を行う場合や解雇を行う場合は、
「客観的に合理的な理由を欠き、、社会通念上相当である」と
認められることが要件となっています。

――――――――――――――――――――――――――――――
(懲戒)
第十五条  使用者が労働者を懲戒することができる場合において、
当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の
性質及び態様その他の事情に照らして、
客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当であると認められない場合は、
その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

(解雇)
第十六条  解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当であると認められない場合は、
その権利を濫用したものとして、無効とする。
――――――――――――――――――――――――――――――

横領した額、頻度、社内の防止体制、事業場内で起きた事件か否か等によって
結論も変わりえますが、
懲戒解雇、有効になる確率は高いと思います。

ただ、懲戒解雇を有効にしやすくするためにも、
次の点は押さえておいてください。

1 懲戒処分の種別や程度、事由等について就業規則に明記すること
2 日頃から不祥事件の防止策を講じておくこと
3 「こうした防止策を講じています」という証拠を残しておくこと

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始末書の提出は強制できますか?

懲戒処分で「けん責」というものがあります。
恐らくは就業規則に「始末書を提出させ、将来を戒める」等と定義が書いてあることかと存じます。

さて、けん責処分を受けた従業員が「私は始末書は書きません。」と意思表示をした際、
会社として始末書を書くよう、強制することはできるのでしょうか?

豊橋木工事件(昭和48年3月14日、名古屋地裁)では、次のように判示しています。

1 会社による始末書提出命令は、
  懲戒処分を実施するために発せられる命令であり、
  業務上の指示命令ではない。
2 労働者の義務は労務提供義務に尽きるのであり、
  労働者は何ら会社から身分的人格的支配を受けるものではなく、
  個人の意思の自由は最大限に尊重されるべきである。
3 1と2を踏まえると、始末書の提出命令を拒否したことを理由に
  これを業務上の指示命令違反として
  さらに新たな懲戒処分をすることは許されない。

この他、丸住製紙事件(昭和39年10月28日、松山地裁西条支部)においても、
始末書提出の要求は、業務上の指示命令とは解せられない、としています。

水戸観光デパート事件(」昭和37年9月6日、水戸地裁)では、
業務上の指揮命令としていますが、全体の趨勢からすると、
この判決を盾にして「始末書提出は業務上の指揮命令の一環だ」とするのは難しそうです。

ただ、ここで逆転技があります。

始末書とは何か?という定義を変えてしまうのです。

通常、始末書というのは「本人が非を認め、謝罪する文書」とされています。
この場合ですと、「労働者は何ら会社から身分的人格的支配を受けるものではなく、
個人の意思の自由は最大限に尊重されるべきである。」という点に抵触してしまいます。

そこで、始末書を「事案の経緯の報告を求める文書」と位置付けるのです。

具体的には、同じ始末書という言葉を使うと混乱の元なので、
「顛末書(てんまつしょ)」「経緯報告書」等と名称を変えた方がよいでしょう。

淀川製鋼所事件(昭和45年4月17日、大阪地裁)でも、
「使用者が後日の証拠のため、あるいは事案を明瞭にさせる意味合いの始末書であれば、
 懲戒処分としての始末書提出には当たらない」としています。

そこで、実務上の流れとしては、次のようになります。

1 けん責処分を行う →本人が始末書の提出を拒否
2 始末書は提出しなくてよいので、経緯報告書を提出するよう指示
  (始末書との違いを本人に伝えること)
3 本人が経緯報告書も提出を拒否
4 業務上の指示命令に従わないことを理由に、さらなる懲戒処分の検討

できれば、「0番」として、経緯報告書の提出に関することについて、
就業規則に定めておくとよいでしょう。

また、始末書の提出を拒否する段階で、
弁護士や社会保険労務士にご相談なさるとよいかと存じます。
(上記4でも収まらない、深刻なトラブルに発展する可能性があるため)

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タイムカードの不正打刻で懲戒解雇できるか?

タイムカードの不正打刻というのは、単なる社内における手続き違反ということでは済まされません。
タイムカードを不正打刻することにより、遅刻や早退、欠勤控除、残業手当の額等を
ごまかすことができるわけですから、一種の詐欺と言ってもいい場合が生じます。

タイムカードの不正打刻が発覚した場合、懲戒処分を行う分には問題ありませんが、
次の問題として、どの程度の懲戒処分を行うかがポイントになります。

裁判を見据えて考えると、最終的には個々の事情によって異なりますので、
一概には言えませんが、参考となる判決に『八戸鋼業事件』があります。

<事件の概要>-------------------------
八戸鋼業に勤める労働組合執行委員のAとBは、昭和36年1月30日、
午後4時から11時まで勤めるシフトに出勤して、タイムカードに打刻をしました。

Bは組合書記長の代わりに組合の会議に出席しなければならなくなり、
3時間遅刻する旨の遅刻届を会社に提出して退社したものの、
結局当日は勤務しませんでした。

Aは勤務終了後、職場を退出する際に自分のタイムカードに打刻するとともに、
Bのカードにも打刻しました。
この行為が翌日発覚し、会社はA、B両名ともに懲戒解雇をしたという事件です。
--------------------------------

この事件は最高裁まで争われました。

会社としては、タイムカードの不正打刻を撲滅させようというして、
昭和35年6月に『出社していないのに、同僚に依頼して出社したように見せかけるような
タイムカードの不正を行った者については、依頼した者、依頼された者ともに解雇する』
という告示を掲示し、その旨を従業員全員に周知させていました。

最高裁判所では、不正打刻を依頼され、不正打刻を実際に行ったAは、
この警告を十分に知っていたにもかかわらず、
あえてこれを無視し、不正打刻を行ったことになり、
Aの懲戒解雇は懲戒権の乱用だと判示した高等裁判所の判決を破棄し、
原審差戻しの判決となりました。

会社としては、八戸鋼業のように
事前に「不正打刻をした者に対しては厳正に処分する」旨の警告を行い、
その警告を周知徹底させることが重要なポイントです。

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