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岡本経営労務事務所ブログ

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2010年2月12日

採用内定を取り消せるか?

Q:採用内定を取り消せるか?

 

A:採用内定期間中に、誓約書等その他会社が必要とした書類の未提出や、採用予定日までに卒業できないなど解除条件の成就により採用を取り消す場合は、正当な解約権の行使として問題はないが、健康上の理由、履歴書等による虚偽の記載や発言、犯罪行為のあったとき、暴力団との関係のあるとき、採用を取り消すべき経営上の理由があったとき、などの理由で採用を取り消す場合は「解雇」に該当するので、解雇予告の手続きが必要。
 また、会社側からの取り消し事由については「客観的に合理的で社会通念上相当であること」が必要とされているが、上記内容については正当事由となろう。いずれにしても採用内定通知書に取消事由を明示しておくことは必要である。
 なお、所定の入社日を繰り延べる場合は「会社都合による休業」となり平均賃金の60%以上の休業手当の支払いが必要となる。また、学卒者の採用内定取消、内定期間延長のときは、学校若しくは職業安定所長に通知が必要。(職安法第54条、同法施工規則第35条)。

2010年2月 4日

残業で夜食の買い出しに行き交通事故に、労災認定は?

Q:残業で夜食の買い出しに行き交通事故に、労災認定は?
20代男性会社員。急な残業が入り、深夜まで働くことになった。腹が減ったため、近くのコンビニエンスストアに夜食の買い出しに行ったところ、交通事故にあった。残業時間中の事故なので、労災認定をしてもらえるだろうか?

 

A:労災認定のカギをにぎるのは、業務遂行性と業務起因性の2つが認められるかどうかだ。夜食をとらなければ業務効率が上がらなかったことや、夜食の買い出し時間中も会社の管理下にあったことの立証が必要だ。
 残業の量が多く、本当に深夜まで働かなければならなかったかは検証が必要。だらだらと過ごして仕事が深夜に及んだのなら、業務との関連性は薄い。事業所内に食堂や買い置きの食べ物がないなど、他の選択肢の有無もポイントとなる。
 就業時間外や事業所外の災害は、事業主の管理下にないのが一般的だ。昼休み中に事業所外のレストランに行って事故が起きた場合は、業務時間外の私的行為で、労災は認められにくい。労働問題に詳しい弁護士は、「夜食の買い出しは、原則的に私的行為で、労災認定は難しい」とみる。
 単純に、自分の夜食を購入するために出かけただけなら、労災には当たらないと見るべきだろう。事業所内に食堂などがなく、上司から買い出しを頼まれた場合は業務命令とみなせる余地もあるが、同僚らの夜食を買いに行って事故にあっても、労災とは呼びにくい。
 2008年2月の岐阜地裁の判決は、同様の事例で労災を認めたが、通常予定されていない突発的な事態での行為を対象とした。この事例では、労働者Aは、02年1月2日、非番だったものの、夜勤を命じられた弟Bと一緒に工場に出勤した。Bの夜食が手配されていなかったため、AはBの依頼で、近くのコンビニにBの弁当を買いに行き、工場に戻る途中で交通事故にあった。
 岐阜地裁は、本来は用意されているべきBの夜食が用意されていなかったことを突発的事態と指摘し、Aが夜食を手配するリーダーに代わり、夜食の手配業務をやったことは、同じ工場に勤務する労働者として合理的に期待される行為だったと判断した。
 業務遂行のために特別な事情があったと主張できる根拠がなければ、労災を認められる可能性は低い。職場をめぐるトラブルに詳しい弁護士は、「残業中の出来事がすべて労災とは限らない」と注意を促している。

ポイント
①業務上必要な行為だったか【業務遂行性】
②業務上必要な行為により事故にあったか【業務起因性】

2010年1月15日

月給制で、欠勤や遅刻・早退で賃金カットする場合、月の所定労働時間で割ることになるのか?

 欠勤等の控除の計算方法は、①月決め賃金÷一か月の平均所定労働日数(時間数)②月決め賃金÷その月の所定労働日数(時間数)の二つの保方法がある。
 理論上は①が正しいが、②でも法違反にならない。なぜなら、月によって金額が異なっても、年間ベースで見れば不公平はない。実際は②の方が計算しやすい。
 ここでは、基本給からの控除のみとした。他の月決めの手当を控除の対象賃金とすることも可能。

2009年12月28日

仕事の性質上緊急呼び出しの可能性がある場合の賃金は?

Q.仕事の性質上緊急呼び出しの可能性があるため、労働者を就業時間外及び休日に自宅又は連絡可能な状態に待機させているが、賃金の支払いが必要か?

A.労働時間とはみられないので、賃金としての支給は不要。ただし、一般的には「待機手当」のようなものを支給している。賃金規則に記載する場合は、「待機手当 緊急の事態に対処するために自宅待機した者に対して、平日日額500円、休日日額1000円を支給する。」と定めればよい。なお、この手当は通常の労働に対する賃金ではないので、割増賃金の計算の基礎には算入しなくてよい。

2009年12月14日

降格に伴って賃金が減ることになるが、違法か?

Q.降格に伴って賃金が減ることになるが、違法か?
 
A.降格(降職)に伴う賃金の減額は、法違反とはならない。ただし、月給制の場合は翌月から下げるのが原則。本人に不利にならないように行うべきである。降格(降職)の場合、就業規則で、「降格によるときは、発令日の属する賃金月の次の賃金月から適用する。」のようにきっちり定めておくことが重要。

2009年12月 3日

「病気」で会社から休職を命じられたら?

Q.「病気」で会社から休職を命じられたら?

A.家庭の事情など仕事とは関係ない理由でうつ病となり、これまで通り職務を続けていくのが難しくなるケースがあります。本人は働けるとおもっていても、会社を休むように言ってきた場合、どうすればいいでしょうか。
 法律にはいわゆる私傷病休職に関する規定がなく、多くの会社は就業規則で独自に規定を作っています。これまで通り働けなくなったからといって、すぐに解雇せず、一定の治療期間を与えて再び働いてもらえるようにするのが、労働者にとっても会社にとっても有益です。私傷病休職規定は解雇猶予規定といわれることもありますが、規定があるのをいいことに会社がむやみに労働者に休職命令を出すことは許されません。
 建築工事の現場監督を長年していた原告が、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるバセドー病のため配置転換を求めたら、4カ月の自宅療養を命じられ、その間の賃金が不払いだったという事例がありました。現場監督は職種限定の採用ではなく、入社後にたまたま就いたにすぎません。負担の軽い仕事なら可能と申し出たのに、会社は拒絶し、休職を命じたのです。
 最高裁判決は、現場監督ができないまでも他の業務ができるなら、傷病休職を命じる前に軽い仕事を検討すべきだとしました。軽い仕事とはいえ、ベテランが新人のような仕事でいいかというと、それは極端。経験や能力、会社の規模などに見合った範囲で判断されることになるでしょう。うつ病ならば、残業の免除など業務量を調整してもらう方法もあります。
 会社の休職命令が適切かどうかの判断では、病気の程度が重要。その資料として通常は医師の診断書が欠かせません。受診や医師の選定などは原則として労働者の自由ですが、会社が健康状態を把握しようとするのに、正当な理由なく協力しない場合は解雇となる可能性があります。診断書の内容に疑問を抱く合理的な理由があれば、会社指定の医師に受診すべきだと判断した裁判例もあります。
 うつ病でも休まずに仕事を続けられると主張したいのであれば、症状を正確に会社に理解してもらえる診断書を提出した上で、業務量の調整やストレスの少ない部署への異動などを話し合うべきでしょう。

<ポイント>
・むやみに労働者への休職命令をだすことは許されない
・会社は休職を命じる前、負担が軽い仕事への変更検討
・医師の診断書などを求められた場合はきちんと応じる

2009年11月30日

12月1日で、今年40歳になるAさんの1回目の介護保険料は、何月分の給料から徴収されますか?

Q.12月1日で、今年40歳になるAさんの1回目の介護保険料は、何月分の給料から徴収されますか?①11月分 ②12月分 ③来年1月分の給料

A.①
 介護保険には第1号被保険者(65歳以上の人)と、第2号日保険者(40歳から64歳までの人のうち健康保険など公的医療保険に加入している人)がいます。Aさんの場合、12月1日で40歳になれば、第2号被保険者となり、介護保険料を支払う義務が生じます。
 第2号被保険者の介護保険料は健康保険料と一括して毎月の給料から徴収されます。Aさんは12月に40歳になるので、12月分の給料から介護保険料が徴収されるのではないかと多くの人は考えるかもしれませんが、実際の徴収は11月分の給料からになります。
 「年齢計算に関する法律」によって、年齢が加算されるのは誕生日の前日の午後12時と定められています。Aさんはこの法律の上では12月1日の前日の11月30日に年齢が加算されて、40歳になります。このため、介護保険料を支払う義務は11月から生じているので、11月分の給料から保険料が徴収されることになります。12月2日生まれだと、法律上12月1日から年齢が加算されるので、12月分の給料からの徴収です。

2009年11月27日

住み込み従業員の家賃、食事代を差し引いて賃金を支払っても問題ないか?

Q.住み込み従業員の家賃、食事代を差し引いて賃金を支払っても問題ないか?

A.労働者代表との「賃金控除協定」を締結しておけば問題ない。

2009年11月25日

上司に休日の接待ゴルフに誘われました。断ってもいいですか?

Q.上司に休日の接待ゴルフに誘われました。断ってもいいですか?

A.事情説明し理解求める必要があります
 接待ゴルフには2種類あるので注意してください。
 1つは会社が業務の一環として実施するゴルフ。この場合、「参加しなさい」という上司の誘いは「会社による業務命令」とみなされます。多くの会社は就業規則に「業務命令として従業員を時間外・休日勤務させることができる」といった規定を設けており、この休日勤務にあたるわけです。出勤扱いになり、手当もでます。
 断れば業務を怠ったと見なされ、勤務評定に響くケースもあり得ます。
 しかし一般的な休日の接待ゴルフは、正式の業務ではなく、出勤扱いにならないケースが多いのも事実です。この場合、業務ではありませんから、私的な理由でも断ることができます。上司にも参加を強制する権利はありません。
 とはいえ、取引先とのコミュニケーションの円滑化など、非公式の接待ゴルフにも一定の効果は期待できます。断ることのメリット・デメリットを考慮すれば、かたくなに断るのも得策ではないのかもしれません。

2009年11月17日

インフルエンザにかかって発病している社員を出勤停止にできるか?

Q.インフルエンザにかかって発病している社員を出勤停止にできるか

A.安衛法第68条は伝染性の疾病等にかかった労働者の就業禁止を規定しているが、労働安全衛生規則及び通達で、感染症法で予防措置がとられるものは、安衛法では対象としていない。(1類~3類感染症患者及び無症状病原体保有者[1~5類感染症、指定感染症、新感染症の病原体を有している者で症状を呈していない者])については、飲食物の製造、販売、調整又は取り扱いの際に飲食物に直接接触する業務について、エボラ出血熱、ジフテリア、SARSなど他者の身体に直接接触する業務や多数の者に接触する業務について、それぞれ都道府県知事が就業制限を行うこととされている。(感染症法施行規則第11条)
 したがって、4類、5類感染症の疾病で上記に該当しない業務について安衛法に基づく就業禁止の対象となる。インフルエンザは5類感染症に分類されているので就業禁止が可能であるが、実際に就業禁止にする場合は産業医その他専門医の意見を聴かなければならないことになっている。(安衛則第61条第2項)この場合、法的には賃金の支払い義務はない。

2009年11月16日

Q.自転車で通勤したいのですが、注意点はありますか?

Q.自転車で通勤したいのですが、注意点はありますか?

A.交通費、支給停止が大半です。
 健康促進を兼ね、できるところから地球環境への貢献を始めようと、自転車通勤に切り替える人が増えています。しかし、会社によっては、駐輪場がないため自転車通勤を許可していないところもあります。本社以外の事業所に限って認めていたり、雨など天候の悪い日は禁止していたりと、細かく条件を設定している会社もあります。まずは社内規定を確認しましょう。明記していない時は、総務部門などに問い合わせれば答えてくれます。
 これまで電車やバスなどで通勤していた場合、交通費は支給されなくなる場合がほとんどです。手当が出る会社もありますが、月額2000円程度の少額になるのが一般的です。
 事故などのリスクにも注意が必要です。通勤途中の事故なら基本的には労災保険の対象ですが「寄り道」中の事故は認められません。また、法律上自転車は自動車と同じ車両とみなされますから、人にケガをさせ、賠償責任を問われることもあり得ます。
 自転車の普及を推進する自転車文化センターの谷田貝一男氏は「通勤に毎日利用するなら損害保険に入るべき」と指摘しています。自転車販売店などでは、整備と簡易な保険をセットにしたサービスもあります。自転車通勤を始める前に、検討してみてはどうでしょう。

2009年11月13日

健康診断費用は事業主が負担すべきか?人間ドックを希望する者についても全額負担すべきか?

Q.健康診断費用は事業主が負担すべきか?人間ドックを希望する者についても全額負担すべきか?

A.健康診断の費用は会社負担である。ただし、労働者が会社の健診を希望せず自己の希望する医療機関で受診しその結果証明書を会社へ提出したときは、会社は健診義務を免れる。成人病健診や人間ドックを希望する者についての差額は労働者負担としても差し支えない。

2009年11月11日

社内でセクハラがあった場合、会社も損害賠償をしなければならないか?

Q.社内でセクハラがあった場合、会社も損害賠償をしなければならないか?

 A.男女雇用機会均等法第21条(改正法第11条・平成19年4月1日施行)ではセクハラに起因する問題について雇用管理上配慮することを義務づけており、また、厚生労働大臣は事業主の配慮すべき事項として、事業主の方針の明確化と周知・啓発、苦情相談窓口の設置、事案が生じた場合の迅速・適切な対応などを定めている。したがって、これらを適切に実施していないと義務違反に問われ損害賠償もあり得る。

2009年11月10日

通常業務以外の業務を断ったら時給減額ということは許されるのでしょうか?

Q.地元食品工場でパートを始めました。繁忙期に遠方の販売店への応援を求められ、「断るなら時給を20円下げる」と言われました。応援は構わないのですが、都合のつかないこともあります。「通常以外の業務を断ったら時給減額」ということは許されるのでしょうか?

A.労働基準法やパートタイム労働法は、労働者の資金や契約期間、仕事の場所や内容などを明示するよう使用者に義務づけています。パートについては、それらに加え、昇給、退職金、賞与の有無を文書で渡さなければなりません。
 時給の減額は、契約内容の変更にあたります。本来、契約内容を変更するには、使用者と労働者の新たな合意が必要で(労働契約法第9条)、使用者が就業規則や労働協約の変更を伴わず、一方的に時給を引き下げることはできません。
 使用者に「時給減額を受け入れないなら解雇する」などと言われ、書面へのサインを迫られる場合もあるかもしれません。民法は、合意が「強迫」や「詐欺」によるものと言えるときは、後に取り消すことができるとしていますが、労働者側でそのことを立証する必要があります。
 ですから、減額に納得いかなければ、簡単には同意せずに、ひとまず使用者に対して文書やメールで、減額には同意しない旨をきちんと伝えましょう。後に差額分を未払い賃金として請求することができます。ただし、請求権の時効は2年なので注意が必要です。
 もう一つ、注意したいのは各都道府県ごとに定められている最低賃金(時給)です。たとえ減額に合意したとしても、その額が最低賃金を下回っていれば無効となります。
 今回の事例では、仕事の場所と内容の変更にも問題があるかもしれません。契約が「工場でも製造業務」に限定されているにもかかわらず、応援とはいえ「店舗での販売業務」を使用者が望むのであれば、やはり労働者との合意と、文章の交付などが必要となるでしょう。
 使用者、労働者とも、いったん定めた労働契約の「重み」を再認識することが重要です。

2009年11月 9日

採用した労働者がすぐに辞めてしまった場合、損害賠償を請求できるか?

Q.採用した労働者がすぐに辞めてしまった場合、採用に要した費用(新聞広告代、社宅代わりに会社が借りたマンションの敷金相当分など)を損害賠償として請求できるか?

A.可能性がないとはいえないと思われるが、裁判で認められたケースは希である。
東京地判平成4.9.30 ケインズインターナショナル事件:特定業務のため採用した労働者が短期間で退職したために、契約を打ち切られた事例で、得べかりし利益の7%、労働者の退職後に労働者が損害賠償として支払う旨合意した金額の3分の1だけ認められたケースがある程度である。

2009年11月 4日

懲戒したことを社内に掲示しても構わないか?

Q.懲戒したことを社内に掲示しても構わないか?

A.就業規則の適正な手続きによって懲戒処分する場合、社内の掲示板に掲示しても差し支えない。社内における掲示は、個人情報の第三者提供には該当しない。なお、懲戒処分も雇用情報であるので、「個人情報の保護に関する規定」で利用目的を明確にしておくとよい。

2009年11月 2日

セクハラに該当する?

Q:40代の男性管理職。部下の女性社員がにおいの強い香水をつけている。職場の仲間も気にしている。上司として、香水について女性に注意することがセクシュアル・ハラスメント(=セクハラ、性的嫌がらせ)にならないが心配だ。

 

A:外資系企業の法務部勤務経験がある森原憲司弁護士はセクハラについて「相手がセクハラと感じ」、かつ客観的にも「違法か、違法でないとしても人の価値観や社会通念に反する行為」を指すと説明する。最近は「違法でないからセーフとか、女性が嫌がるからアウトなどと判断基準を勘違いしがちだ」(同弁護士)と指摘する。
 この基準によれば、相談例の場合は原則、セクハラには該当しないという。職場の環境や秩序を乱す恐れがあるため上司の責務で正す必要がある。客観性を保つため、本当ににおいは強いか職場の仲間に確かめるべきだ。
 では、外勤の営業担当者の場合はどうか。労働問題に詳しい中村克己弁護士は「勤務する会社の看板を背負って仕事をするので、においに対する許容度は内勤に比べて低いだろう」と話す。会社の印象が悪化し、顧客が離反しかねないからだ。とはいえ、従業員の身なりについて注意することは「企業秩序の維持を目的とした『労働者の自由の制限』にかかわる」(中村弁護士)。だが、業務に支障をきたす場合を除き、業務命令として禁止することはできないという。
 身なりに関する就業規則違反をめぐる処分について判断した裁判例がある。トラック運転手が茶髪などを理由に解雇された事例で、1997年に福岡地裁小倉支部は「企業が秩序の維持を名目に労働者の自由を制限する場合、制限行為の内容は必要性・合理性・手段方法としての相当性を欠くことがないよう特段の配慮が要請される」などと判断し、解雇は無効とした。
 セクハラにならなくても、注意の仕方に気をつける必要がある。森原弁護士によると「気に入らない」と言うのはもってのほかだ。「香水をつけなくても魅力的」と言うのはセクハラになりかねない。女性の管理職と一緒に注意するのも一法だ。

*セクハラの主な定義
   
 社会学的には、歓迎されない性的言動または行為により屈辱や精神的苦痛を感じさせてりすること、性的な言動または行為によって相手方の望まない行為を要求し、これを拒んだ者に対し、職業、教育の場合で人事上の不利益を与えるなどの嫌がらせに及ぶこととも定義される。(97年、東京地裁判決)
   
①犯罪となるもの
(例)レイプ、痴漢、性的うわさを流すなどの名誉棄損、ストーカーなど
  
②民事上違法と判断されるもの
(例)食事やデートに執拗に誘う、わいせつ文書を送りつけるなど

③法的に違法とまではいえないが、人々の価値観や社会通念に反する行為
(例)女性だけに私用を頼む、カラオケのデュエット、お酌をさせるなど

  
*ポイント
①職場の環境や規律を正すのは、基本的には上司の責務
  
②注意の仕方や言い方によっては問題になる場合も

2009年10月28日

求人で「健康で明朗快活な方」という表現は可能でしょうか?

Q ハローワークで求人を出す際、「健康で明朗快活な方」という表現は可能でしょうか?


A 主観的判断になりがちな採用基準ですので避けてください。同様に「明るい人」「元気な人」などの性格的特性を示す表現は、見る方の主観的イメージによって左右される非常に曖昧で不確実なものです。
 たとえば、「明るい人」ではなく、教育・訓練で培うことのできる「明るい接客ができる方」などの表現なら、客観的評価が可能になります。応募してくる方の働きたい意思を尊重し、仕事の適性で選考するよう心がけてください。
 求人を出す際には、主観的判断になりがちな採用基準は避け、職務の遂行に必要な「資格・経験・能力」など客観的、総合的な評価が出来るものにしましょう。

2009年10月27日

始末書を出させることができるか。始末書を出さないことをもって、もう一度処分できるか?

Q.始末書を出させることができるか。始末書を出さないことをもって、もう一度処分できるか?

A.「始末書を提出させて~する」というのがあるが、始末書の不提出をもって再度処分することはできない。
  なぜなら「労働者は使用者から身分的、人格的支配を受けるものではないので、謝罪を強制する始末書は個人意思尊重の理念から強要することはできない(高松高判昭46.2.25丸住製紙事件)」とされている。
  始末書ではなく「顛末書」や「報告書」ならば業務命令としてできる。

2009年10月16日

入社後の雇入れ時の健康診断で異常が発見された時、解雇ができるか?

Q:入社後の雇入れ時の健康診断で異常が発見された時、解雇ができるか?

 

A:この問題も正当な解雇理由になるか否かに帰着する。したがって、当該疾病が従事する業務に影響を与えるようなものであれば、正当な理由になる場合もあると考えられる。採用のための健康診断書を取っておけば、このようなことは防ぐことができる。

2009年9月16日

退職時点で、残っている年休を買い上げることができるか?

Q:退職時点で、残っている年休を買い上げることができるか?

 

A:買い上げ制度によって年休取得ができない(与えない)、あるいは制限されるということであれば違法となる。例えば、退職時に全部を請求したが、買い上げ制度により、一定日数しか認めないというのは違法となる。一方そのような制限がなく、退職時点で残った年休を清算的に買い上げることは違法ではない。またその場合の買い上げ金額を幾らにするかは自由。

2009年9月 8日

請求時期など手続きに違反して請求した年休を認めなかった場合、違反になるか?

Q:請求時期など手続きに違反して請求した年休を認めなかった場合、違反になるか?


A:請求時期については、法は何も記載していない。したがって解釈上は時期変更権が行使できる前日の終業時刻までとされている。ただし、業種、業態によっては、直前の請求では仕事に穴があくことも予想され、合理的な範囲での制限は可能と思われる。判例では、10人程度の規模の運送業で、「3日前までに請求」の制限について合法とした判決、前々日までに請求しなければならないという規定を有効とした判決がある。

2009年9月 3日

みなし労働時間の時間外労働割増賃金

Q.1日の所定労働時間が8時間で、10時間のみなし労働時間の適用をしている営業社員が、1日中内勤の仕事をして所定の8時間で終了した日についても、1日10時間とみなして時間外労働割増賃金を支払わなければならないのか?

A.1日中内勤であれば、みなし労働時間制を適用する余地がない。

2009年8月31日

1年単位の変形労働時間制を年度途中でやめて、原則的な労働時間制に戻すことはできるか?

Q:1年単位の変形労働時間制を年度途中でやめて、原則的な労働時間制に戻すことはできるか?

 

A:法律上の規定はないが、年度途中で入・退社した場合、その期間の所定労働時間が週平均40時間を超えた場合働きすぎたことになるので、週40時間を超えた分については時間外労働として割増賃金を支払って精算する必要があるのと同様に、精算すれば問題はないと考えられる。
 なお、その期間の所定労働時間が週平均40時間を下回っていた場合に、支払った賃金からその分を返還させることはできない。

2009年8月27日

残業時間を積み立てて休日と相殺できるか?

Q:残業時間を積み立てて8時間となった場合にその分を休日を与えて相殺することは違法か?

 

A:残業時間を積み立てて8時間になった為、1日休日を与えて残業時間と相殺することは違法。残業には残業手当を支払わなければならない。

2009年8月24日

要介護の親がいるのに転勤を命じられたら?

Q:要介護の親がいるのに転勤を命じられたら?

東京の電気メーカーに勤務する50代の男性会社員。会社から福岡支社への異動を打診されたが、同居する80歳の母の介護をしなければならない。
 妻は専業主婦だが、母と折り合いが悪いので自分が世話をしたい。転勤を断れるだろうか?

 

A:会社側に配慮する義務
 
育児・介護休業法は、働く人が育児・介護と仕事を両立できるよう、休業や勤務時間短縮、深夜労働の制限など様々な方策を設けている。転勤についても「労働者の育児や介護の状況に配慮しなければならない」と事業主に義務付けている。具体的には、企業が転勤を命じる際には①従業員の育児・介護状況を把握する。②労働者本人の意向に配慮する。③育児・介護の代替え手段があるか確認する。- などを求めている。                                       同法は要介護の過程を抱える従業員について、転勤の禁止まで定めているわけではない。しかし、労働問題に詳しい石井妙子弁護士は「企業の配慮義務は重く、介護の問題を抱える労働者を本人の意向に反し転勤させるのは難しい」と指摘する。
 「家庭」とは配偶者(内縁関係を含む)、父母、子、配偶者の父母ら。同居しているか、扶養しているかは問わない。また、祖父母や兄弟姉妹でも同居し、かつ扶養している場合は同法が適用される。 これらの家族が「常用介護を必要とする状態」である場合が対象だ。具体的には▽歩行、排泄、食事、入浴、着脱衣などの介助が必要 ▽攻撃的行為、自傷行為などの問題行動がある ー といった場合に要介護と見なされる。
 育児休業は育児できる配偶者がいる場合は申請できない。しかし、介護の場合は配偶者の状態を問わず適用される。例えば配偶者が専業主婦でも、妻が夫の両親を介護すべきかどうかは家庭の事情や考え方によって異なる。妻が介護できるからといって夫からの申し出を断ることはできない。
 既に多くの企業は従業員を転勤させるとき家庭の事情を考慮している。 「トラブルになりやすいのは会社と労働者の意思疎通が不十分なとき」(石井弁護士)。 まさか転勤は無いだろうと高をくくって家族の介護について会社側に話さないでいると、突然の転勤命令で慌てることになりかねない。 会社側も人事評価の面談などで、介護の必要な家族がいないか、転勤は可能かといった点を聞いて、日ごろから従業員の事情を把握する必要がある。(労働問題-日経新聞)


2009年8月10日

通勤経路外れ子ども送迎 事故にあったら労災?

Q. 妻と共働きの20代の会社員。1歳の長男を自宅近くの保育園に自転車で送ってから最寄り駅に向かっている。ところが、長男を預けた後、交通事故に遭いけがをしてしまった。通常の通勤経路を外れているが、労災とみとめられるだろうか。


A. 保育園に入ることができない待機児童は増加傾向で、経済情勢の悪化や雇用不安などから、共働きを始める家庭も増えている。通勤時に子どもの送迎をしている親も少なくない。
 労働者災害補償保険法(労災保険法)では、業務上だけでなく、通勤中のけがなども保険給付の対象をしている。「通勤」は「合理的な経路及び方法により行うこと」とされており、基本は住居と就業場所との往復。途中で経路を外れたり、通勤と関係のないことを行ったりした場合は「逸脱・中断」とみなされ、通勤途上とは認められない。
 ただ、例外もある。経路上の店での雑誌の購入といった寄り道なら「逸脱・中断」とはみなされない。
 また、厚生労働省の通達は「ほかに子どもを監護する者がいない共働き労働者が託児所などに預けるための経路は、就業のためにとらざるを得ない経路」としている。今回のような子どもの送迎は寄り道や遠回りにはあたらず、事故に遭っても労災と認められる。
 ただ、妻が専業主婦などほかに子どもを送迎できる人がいると「合理的とみなすのは難しい」(厚労省労災補償部)。いつも送迎している人が病気などのため代わりに行った場合は「その日の状況で判断する」(同)としている。
 経路を外れた場合でも、「日常生活上必要な行為」でやむを得ない理由があり、最小限であれば、「逸脱・中断」の間を除いて通勤と認められる。厚労省令では「日用品の購入」などを挙げている。
 介護はどうなるか。2006年4月の大阪地裁判決は、介護のために養父宅に寄ってから帰宅する途中に事故に遭った男性について「近親者に対する介護で、日常生活上必要な行為をするために通勤経路を外れた」と指摘。「通勤途中の災害」と認めた。
 労災問題に詳しい今津幸子弁護士は「自宅と職場の往復から外れた場合でも通勤と認められる例はある。ただ、子どもの送迎なら家族形態や保育所に立ち寄っていた時間、介護の場合は要介護度など、状況で判断が異なることもあり、注意が必要」と話している。(日経新聞-労働問題-)


2009年8月 1日

出向中の身分はどうなるのか。賃金はどちらが支払うか。年休、退職金はどうなるか。

Q: 出向中の身分はどうなるのか。賃金はどちらが支払うか。年休、退職金はどうなるか。

A: 出向中の労働者の身分は、出向元と出向先との両方にあることになる。賃金の支払方法については、両企業の出向契約(取り決め)による。年休、退職金の適用についても通算するのは当然である。

2009年7月31日

出向、配置転換、転勤、転籍、移籍出向は会社の命令でできるか。

Q出向、配置転換、転勤、転籍、移籍出向は会社の命令でできるか。


A 出向、配置転換、転勤は、個別の労働者と特約のない限り、一般的には人事権の範疇に属することであるから可能である。ただし、転籍、移籍出向は労働関係(身分)そのものの変更であるから、労働者本人の同意がなければできない。(民法第625条第1項)なお、「会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律」による転籍は、一定の場合労働者本人の承諾がなくても可能である。

2009年7月29日

派遣先に契約解除の責任は?

Q:派遣先から1ヵ月後に派遣契約をキャンセルする旨、通告がありました。当社としては大打撃ですが、相手先は「指針に基づく措置を講じたから」と取り付く島もありません。予告ですから当社は1円の賠償金も受け取れませんが、派遣先はそれ以上の責任を負わないのでしょうか?

 

 

A:次の就業先確保へ対処を
 平成21年3月31日から適用されている派遣先・元指針では、契約キャンセル時の措置内容を強化しています。改正派遣先指針では、「①派遣契約の締結に当たって、派遣元事業主の休業手当、解雇予告手当等に相当する額以上の損害賠償を行うこと定める」、「②賠償の定めがないときも、生じた損害の賠償を行う」よう求めています。
 今回キャンセルされたのが改正前の契約であっても、②に基づく対応が必要です(平21.3.31職発第0331010号)。「(実際に)生じた損害」に関しては、「休業させるときは休業手当以上、相当の猶予期間をもって解除予告がされなかったことによる解雇等の場合は30日分以上の賃金」などが具体例として示されています。お尋ねのケースでは、30日以上前(1ヵ月前)に契約解除の予告がなされているので、貴社は30日前の解雇予告が可能です。
 しかし、派遣元指針では、「まず休業等を行い雇用の維持を図り、休業手当の支払責任を果たすこと。解雇しようとするときでも、労働契約法を遵守し、解雇予告等の責任を果たすこと」と規定しています。労働契約法によれば、解雇には「客観的・合理的な理由」(正社員等の解雇、台16条)、「やむを得ない事由」(期間契約途中の解雇、第17条)が必要です。派遣契約が解除されたかれといって、30日前に予告すれば自由に解雇できるもではありません。
 派遣先が30日前に予告しても、派遣元の損害を100%カバーできないケースも想定されます。派遣先は「事前の申入れをしたから、後は我関せず」ではなく、派遣先指針に基づき、就業機会のあっせんや他の善後策を検討するなど誠意をもって対応すべきです。
 しかし、派遣元としても、予告後の30日間を使って次の派遣先を探す等の対応ができるのですから、「30日経過後に生じた損害」を自動的に請求する権利はなく、派遣先指針でもそこまで規定していません。

2009年7月28日

試用期間のかわりに、最初の契約を有期契約とし、その結果を見て正式雇用とする方法(トライアル雇用)はできるか?

Q:試用期間のかわりに、最初の契約を有期契約とし、その結果を見て正式雇用とする方法(トライアル雇用)はできるか?

 

 

A:試用期間満了時の解雇のトラブルを防止する手段として、「最初の契約を6か月間(又は1年間)」とし、その間社員としての適正を判断して、よければ本採用として改めて雇用するという方法(トライアル雇用=試行雇用契約)だと試用期間満了による解雇云々の問題は発生しない。
  
  なお、試行雇用契約を行う場合、①試行雇用契約である旨 ②本契約をしない場合は、当然終了すること ③本採用の判断の基準を就業規則に明示するとともに、面接時、契約時、及び労働条件通知書において明らかにしておくことが重要。差別的な理由による本採用の拒否はできないことは当然である。
  
   神戸弘陵学園高校事件では、最初の1年の有期契約期間満了により雇用契約が当然に終了する旨の明確な合意が無いときは、実質的には試用期間であると認められるとしている。もっともこの事件では理事長の「一応1年間」「30年でも40年でもがんばってくれ」「公立の試験を受けないでうちにきてくれ」などの発言があったとされる。

2009年7月22日

身元保証人が負うべき保証の範囲はどこまでか?

Q:身元保証人が負うべき保証の範囲はどこまでか?

 

 

A:身元保証人が負うべき保証の範囲は、法律上の制限はないので、横領などの犯罪行為から事故によって会社に損害を与えた場合まで、契約書に記載してある範囲である。
 ただし、連帯保証ではないので、身元保証人には催告の抗弁権(まず主たる債務者に請求してくれ)と検索の抗弁権(主たる債務者から回収してくれ)はある。
 したがって、労働者に弁済能力がないときや消息が分からないときに請求できる。また、身元保証に関する法律第5条は、使用者の監督に関する過失の有無、身元保証人になった経過、労働者の任務または身上の変化(昇進や仕事内容、勤務地の変化など)、保証人の資力など一切の事情を考慮することとなっている。
 損害賠償額はケースバイケースであるが、いずれにしても身元保証を行うときは、相当の覚悟をした上で行うことが必要である。

2009年7月21日

残業60時間を超えると5割以上の割増賃金

Q:改正労基法の「時間外労働が60時間を超えた場合」の解釈で、質問があります。時間外労働のカウントには、一般に休日労働時間数は含みません。「法定休日、法定外休日の違いに係わらず、3割5分増しの割増賃金を支払う」と定めた場合、法定外休日労働の取扱いはどうなるのでしょうか?

 

 

A:平成22年4月1日施行の改正労基法第37条第1項ただし書きでは、「延長して労働させた時間が1か月について60時間を超えた場合においては、5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」と規定しています。(中小企業は当分の間、適用猶予)
  時間外・休日労働(36)協定では、「延長することができる時間数」と労働させることができる休日数」を別に定めます。 協定様式の記載心得では、休日欄に「労基法第35条の規程による休日であって労働させることができる日を記載する」よう注意を促しています。
  ただし、「延長時間に休日における労働時間を含めて協定する」ことは可能とされています。(平11・1・29基発第45号)
 時間外労働数と休日労働数を別に定めている場合、「休日労働に該当した労働時間の中に入れて計算することはない。ただし、ここでいう休日労働とは法定休日労働である」(安西愈「採用から退職までの法律f実務」)と解釈されます。
 改正法により、時間外労働が60時間を越えると5割り増し以上の割増賃金の支払いが義務付けられます。法定外休日労働が発生した場合、「法定休日労働の3割5分増しの賃金を払う」ことで、時間外労働の一部を休日労働のカウントに含めることができれば、賃金負担を軽減できます。
 しかし、解釈例規(平21・5・29基発第0529001号)では、「労基法第35条に規程する週1回または4週4日の休日(法定休日)以外の休日(所定休日)における労働は、それが法定労働時間を越える場合には時間外労働に該当するため、1ヶ月について60時間の算定対象に含めなければならない」とクギを指しています。
 法定外の休日について3割5分増し以上の割増賃金を支払う」と協定で定めても、「法定休日」の日数は増えません。


2009年7月17日

労働者の個人情報を、第三者から間接収集を行うことは禁止されているか?

Q:労働者の個人情報を、第三者から間接収集を行うことは禁止されているか。例えば、採用希望者の前職の会社の対して、勤務状況を問い合わせることができるか?

 

A:第三者からの間接収集を行うについて、法は特別な規制はしていない。しかし、その第三者、例えば前職の会社が当該労働者の同意なく当該労働者の勤務状況などを回答することは「本人の同意なき第三者提供」となり、個人情報保護法第23条第一項違反になる。したがって、前職の会社が回答する場合は採用希望者の同意書が必要になるので、採用予定者は採用希望者の同意書を添付して紹介しなければならないということになる。前職の会社は、このような照会があった場合、軽々に回答しないよう担当者にあらかじめ周知しておくことが重要。

2009年7月14日

採用時の契約を、勤務状況、能力がよくないという理由、経営状況悪化のため反故にできるか?

Q:採用時点の契約で、「6か月後にはパートから正社員にする」「1年後には給料を上げる」という約束を、本人の勤務状況、能力がよくないという理由、あるいは経営状況がその後悪くなったため反故にできるか?

 

 

A:「勤務成績が著しく悪い」「試用期間を設けていれば試用期間の満了で解雇せざるを得ないような正当な事由がある場合」、あるいは「契約時点では予測不可能な経営上の事態が発生した場合」は、必ずしも契約違反とはならないだろう。
  いずれにしても、将来の約束については、「~ことがある」という風にファジーな表現にしておいた方が無難である。

2009年7月10日

退職勧奨の許容範囲

Q:当社では業績の悪化に伴い、今後退職勧奨を行おうかと考えています。できの悪い従業員だけ勧奨したいのですがトラブルは起こしたくありません。退職勧奨はどの程度のレベルまで許されるのでしょうか?

 

 

A:退職勧奨は、最終的には本人の任意の意思に基づいた退職とする必要があります。半強制的だったり執拗な勧奨は不当とされ、退職そのものが無効とされることもあります。

(解説) 退職勧奨は、いわゆる「肩たたき」と称され、以前から広く行われてきました。解雇では角が立つので形のうえでは任意退職にするという中間的な存在で、いかにも日本的な方法といえます。
 実際の運用では、懲戒解雇に代わり温情的に任意退職とさせるもの、リストラの一環として行うもの、定年間近の削減策として行うもの等があります。完全に違法ですが、組合潰しとして行われることもあります。

2009年7月 9日

採用前に健康診断書を提出させ、特定の疾病にかかっているという理由で採用を拒否できるか?

Q:採用前に健康診断書を提出させ、特定の疾病にかかっているという理由で採用を拒否できるか?

 

 

 

A:労働安全衛生法では、会社に対して健康診断の実施義務や健康管理義務を課しているほか、一定の疾病になった者については就業を禁止しなければならないことも義務づけている。
 したがって、疾病の状態により、労働契約の本旨に沿った労務の提供ができない場合は採用の拒否も可能と考えられる。(もちろん、差別的な意図によるものはこの限りではない。)三菱樹脂事件判決では、採用の自由の原則を示しており、また採用時健診の結果により不採用にした事件では「企業には~労働者を雇用する採用の自由が保障されているから採否の判断の資料を得るために、応募者に対する調査を行う自由が保障されているから採否の判断の資料を得るために、応募者に対する調査を行う自由が保障されているといえる。
 ~企業が、採用にあたり、労務提供を行いうる一定の身体的条件、能力を有するかを確認する目的で、応募者に対する健康診断を行うことは~その必要性を肯定できる」(東京地判平15.6.20国民金融公庫事件)としている。ただし、その健診(検査)が採否の資料のために本人に無断で行われた場合は違法になる。(同事件)
 また、HIV検査等については、個人情報保護法に基づく「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項」(平成16年10月29日付け、基発第1029009号)により「HIV感染症やB型肝炎等感染性の低い感染症情報や、色覚検査等の遺伝情報は、職業上の特別な必要性がある場合を除き、取得すべきでない」とされている。判例でも、千葉HIV解雇事件(瀧川化学工業事件)、警視庁HIV検査事件で、HIV無断検査を違法としている。

2009年7月 8日

会社の方針として、喫煙者は採用しないということが許されるか?

Q:会社の方針として、喫煙者は採用しないということが許されるか?あるいは、毎日飲酒する者は採用しないということが許されるか?

 

 

A:最高裁は、「企業者は、~契約締結の自由を有し、自己の営業のために労働者を雇用するにあたり、いかなる労働者を雇い入れるか、いかなる条件で雇うかについて、~原則として自由にこれを決定することができる」としており、採用の自由の原則を示している。したがって、喫煙者を採用するか否かは会社の自由であり、受動喫煙の問題や、健康増進法など昨今の喫煙に対する社会的通念に照らしても法的に許されないことはない。次に、飲酒の方であるが、これは若干疑義があるが、公共交通機関の乗務員等の募集については可能であろう。なぜなら、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上であれば酒気帯び運転となり、交通事故の危険性もある。ビール1本で0.15mgになるといわれており、飲酒後8時間経過しても血中アルコール濃度が必ず平常値に戻るとはいえないとされている。安全管理、リスク管理の観点から上記のような一定の配慮を要する業務については、可能であろう。
 ただし、採用の自由があるといっても、生まれや門地による差別的なものなど、社会的に許されない理由によるものは許されない。

2009年7月 7日

採用後に最終学歴詐称が発覚、解雇は妥当か?

Q:就職する際に大学中退の経歴を高卒と偽って採用試験を受けていた30代男性。入社後に大学中退の経歴を隠していた事実が発覚。人事担当者から「就業規則違反で解雇処分に該当する」と言われた。全くウソの学歴を申告していたわけでもなく、解雇処分には納得できないと憤る。この場合、解雇は妥当か?

 

 

A:一般に採用試験の受験者は、学歴や職歴などを記載した履歴書を提出する必要がある。履歴書は能力や適正の判断材料になるので、正確に記載しなければならない。ところが「経歴ほどの実力がない」などの理由から、自らの学歴を低く申告するケースもある。志望者側が「高校を卒業したのは事実で、全くウソというわけではない」と考えがちなのも、こうした経歴の詐称につながっているようだ。学歴を高く詐称するのではなく、低く詐称するのならば問題はないのだろうか。労働法実務に詳しい嘉納英樹弁護士は、学歴を高く詐称するか低く詐称するかに関係なく、虚偽の学歴を申告する行為自体が問題と指摘。「最終学歴の詐称は重要な経歴詐称とみなされ、解雇処分になる可能性が高い」と話す。

 公務執行妨害罪による逮捕をきっかけに、大学中退の最終学歴を高卒と偽っていた点が明らかになった社員の懲戒解雇の是非が争われた裁判で、東京高裁は1991年、「最終学歴は労働力評価や企業秩序の維持に関する事項であり、真実を申告する義務がある」との判断を示している。過去の裁判例をみる限り、最終学歴の詐称は重要な経歴の詐称に当たり、懲戒解雇になる可能性が高い。犯罪歴はどうか。東京高裁の懲戒解雇を巡る裁判では、社員が採用時に刑事裁判の公判中で保釈中であったことも明らかになった。

 会社は「勤務への影響などを判断する必要があるから、刑事事件の公判中であることを会社に告知すべき義務があった」と主張したが、裁判所は「公判継続の事実について積極的に申告すべき義務があったといえない」と判示し、会社の主張を認めなかった。

 採用ルールなどを定めた職業安定法は、採用目的に必要な範囲で求職者の個人情報を収集しなければならないと規定する。「犯罪歴は能力と適正と無関係。本籍や親の資産状況と同じように必ずしも申告しなくてもよい」(嘉納弁護士)が、学歴詐称は問題となるので注意したい。

2009年7月 3日

採用内定者が、初出勤日に欠勤したら退職扱いとできるか?

Q:採用内定者が、初出勤日に欠勤し、「風邪をひいたので健康保険が欲しい」といってきたが、手続をしなければならないか?退職扱いとできるか?

 

 

A:採用内定通知書に、所定の入社日から社員となる旨の表現がある場合は、労働者としての地位は得ているものといわざるを得ないであろう。
 第4項の労働契約の発効時点を最初の出勤日とする目的は、例えば7月1日を入社日とする契約を締結したが、本人の病気や家族の事情等により7月1日から出勤できなくなったとき、まったく出勤していないのにもかかわらず「社員」(就業規則適用)ということになり、本件の質問のように健康保険を適用するのかどうかなど総務担当者を悩ます例もある。また、出勤しないまま数日で退職というケースもある。この規定は、そのような問題が発生することを防止することにある。なお、採用内定通知書に、この旨を記載することが重要。

 

 

 


 

2009年6月25日

就業規則は、監督署に届け出て初めて有効になるのか。

Q: 就業規則は監督署に届け出て初めて有効になるのか。

A: 就業規則は監督署に届けて有効になるものではなく、労働者に周知して初めて有効になる。(最2小判平15.10.10フジ興産事件。)監督署に労働組合などから「組合の同意がないままに会社が就業規則を提出しようとしている。受理しないで欲しい」などの要請が来ることがあるが、労基法が就業規則を監督署に提出させているのは、法律違反の就業規則を作成しないように行政として監督する必要があることから求めているのであって、監督署の受理が就業規則の有効となる要件ではない。

2009年6月24日

労働者から地方裁判所に「労働審判」の申し立てがあり、出頭しなかった場合不利益があるか

A労働局での「あっせん」が不調になったところ、労働者から地方裁判所に「労働審判」の申し立てがあった。出頭しなければならないか。出頭しなっかた場合不利益があるか。どのような制度か?


Q労働審判法(平成18年4月1日施行)による申し立てに対して、正当な理由がなく出頭しなければ5万円以下の過料。労働審判制度は、個別労働関係民事紛争について、まず調停を試みて、不調の場合実情を踏まえた解決案を審判(決定)として出す制度で、裁判官(審判官)と労使の専門家(審判員)の合計3名の合議制で行われる一種のADRである。原則3回で終了することになっているので、期間も最長4ヶ月程度である。審判に不服がなければ和解と同じ効力が発生するが、不服があるときは2週間以内に異議申し立てをすれば通常の裁判に移行する。労働審判の特徴として、訴訟費用が通常の裁判の半額であること、原則非公開であること、期間が短いことがあげられるので、今後増えていくものと思われる。ただし、男女差別、多数原告、就業規則の不利益変更など複雑な事案は、労働審判に向かないとされており、最初から通常裁判へ移行されるようである。

2009年6月23日

労働局から、個別労働紛争にかかるあっせん開始の通知がきたが、応じなければならないか。

Q 労働局から、個別労働紛争にかかるあっせん開始の通知がきたが、応じなければならないか。?


A 平成13年10月に個別労働紛争解決促進法によりできた制度で、労基法などの法律違反にならない個別労働紛争問題について、労働者又は使用者から、「あっせん」又は、「助言・指導」を申し立てることが出来る。あっせんについては大学教授や弁護士等からなる紛争調整委員会が行い、助言・指導は労働局長が行う。いずれも、応じるか否かは任意であり、初めから断ることもできるし、あっせんが出てから断ることもできる。しかし、労働分野におけるADR(裁判外紛争処理制度)としては権威のあるものであり、紛争を早期に解決するためにも労使双方積極的に活用すべきものと思う。
 特に大きなメリットとして、①完全秘密であること、②無料であること、③裁判や調停に比べて事務手続きが非常に簡便であること、④短時間で決着すること(95%以上が3か月以内に決着)があげられる。特に、セクハラ事案や裁判によるイメ-ジダウンを受けるような事案については、完全秘密であることは有り難い制度である。ちなみに、平成17年度全国で助言、指導申し出件数が6.300件、あっせんによる解決率43%というのは、任意による解決制度としては労使と共に非常にメリットを感じている証拠と思われる。

2009年6月20日

労働組合が、就業規則の意見書を提出してくれないときはどうしたらよいか?

Q:労働組合が、就業規則の意見書を提出してくれないときはどうしたらよいか?また、「この変更には反対である」との意見書が提出されたが、監督署で受け付けてもらえるか?

A:意見書の内容は、「反対」でも法的には問題なく監督署は受け付ける。しかし、従業員の過半数が反対する規程の制定は好ましくないことはいうまでもない。
 なお、労働組合が意見書を出してくれないときは、何回か意見書の提出を求めたことを疎明する書類を、意見書の代わりに就業規則届に添付すれば、監督署は受け付けることになっている。

2009年6月19日

監督署からの是正勧告に従わない場合どうなるのか?異議申し立てることができるか?

Q:監督署から労働基準監督官が調査に来て、割増賃金の遡及支払いと機械設備の改善の「是正勧告書」を交付された。勧告に従わない場合どうなるのか?異議申し立てることができるか?

A:監督官の調査(監督署では、「臨検監督」と呼んでいる。)は労基法などに基づく立入権限によって行われている。そして、法違反などがあれば使用停止等命令書や是正勧告書、指導票を交付する。使用停止等命令は、設備などの使用の停止や改善の命令で、労働安全衛生法等に基づく行政命令であるから改善しなければ命令違反として送検される。
 是正勧告は、是正までの期間を猶予した勧告であり是正しなければ送検されることがある。行政命令ではなく行政上の勧告である。是正勧告に対して是正報告書の提出を求められるが、提出しない場合や虚偽の回答をした場合は法違反になる。指導票は法違反事項ではなく、通達やガイドラインの観点から望ましい実施事項を指導するもの。是正勧告、指導票は行政処分ではないので異議申し立てはできない。使用停止等命令については異議申し立て(正確には「審査請求」)できる。
 なお、労働基準監督官は立入権限を有するほか、単独で設備等の使用停止命令や、司法警察員として逮捕、捜索差押さえを含む捜査・送検などの権限を有している。

2009年6月18日

経営状況が悪いため、身分の変更、所定労働日数(時間数)を減少させたいができるか?

Q:経営状況が悪いため、正社員からパート社員へ身分を変更するか、あるいは、所定労働日数(時間数)を減少させたいができるか?


A:就業規則等に、労働条件の変更、例えば「会社は、法令の改正、経済情勢、社内状況等によりやむを得ず労働条件を引き下げることがある」等の文言を明示するなど、条件が整わないとないと一方的には無理。結局は話し合いしか手はない。ただ、所定労働日数(時間数)の変更については、仕事の減少などの事由があれば合理性は担保できると思う。なお、所定労働日を変えないまま、仕事を休ませる場合には労基法第26条による休業手当の支払いが必要。

2009年6月17日

経験を見て営業部長として雇ったが、思ったほど仕事ができないので、給料を下げたいが可能か?

Q:経験を見て営業部長として雇ったが、思ったほど仕事ができないので、給料を下げたいが可能か?

A:本人が了解すれば別だが、一方的にはできない。最初の契約時点で一定の条件(労働契約書等で当初半年間は一定金額を保障するが、その後は成績を見て80~120%の範囲で決定する、など)をつけて給料額を決めておくとか、契約年限を切った契約(試行雇用契約)にしておくとトラブル防止になる。
 厚生労働省が示している「労働条件通知書」はモデルであって、「様式」ではない。厳密にいうと、労基則第5条は、「賃金の決定、計算及び支払の方法~」となっており、「賃金の額」を明示しなければならないとはなっていない。

2009年6月16日

適格退職年金制度(適年)が廃止されるため中小企業退職金共済(中退共)へ変更するときに掛け金を下げたいができるか?

Q:適格退職年金制度(適年)が廃止されるため中小企業退職金共済(中退共)へ変更するときに掛け金を下げたいができるか?

A:一方的な不利益変更はできない。社員との話し合いの結果又は合理的な理由により減額するとしても、中退共への変更時点までの退職金は労働者の債権として確定しているので保障しなければならない。

2009年6月12日

退職金を減額することは許されるのか。どの程度までなら可能か?

Q退職金を減額することは許されるのか。どの程度までなら可能か?

 A懲戒解雇や諭旨解雇の場合、退職金規程に基準と限度を明確にしている場合は可能である。ただし、勤続年数、懲戒の理由などを総合的に見て、退職金を支払わない又は減額することが許されるほどの背信的行為があった場合に限るというのが判例・通説である。また、退職時の就業規則による事前の届出義務違反や引継を行わない場合の退職金の減額は、懲戒解雇や諭旨解雇の場合に比較して就業規則の違反の程度は低いから、せいぜい5~10%くらいまでなら可能ではなかろうか。

2009年6月11日

退職金に関するQ&A

Q:退職後、社員証や健康保険証を返さない社員がいる。そこで、これらを返却するまで退職金を支払わないということはできるか?


A:退職金規程で、例えば、「退職金は、退職後2週間以内に支払う。ただし、社員証、健康保険証その他返却すべき書類等を返却しない場合は、その期間延長するものとする。」と規定すれば差し支えない。

2009年6月 9日

賞与の査定基準に、懲戒処分を勤務成績不良として査定の対象にできるか。二重処分にならないか。

Q.賞与の査定基準に、懲戒処分を勤務成績不良として査定の対象にできるか。二重処分にならないか。


A.懲戒処分を勤務成績不良として査定の対象にすることは差し支えない。二重処分にもならない。ただし、査定基準を明確にしておくことが必要だ。

賞与も労働基準法では賃金と解されていますので減給の制裁を行うことができます。ただし減給による制裁は、その内容について就業規則にて明確に定められていなければ実施できません。また「賃金」から減給する、と規定されていれば良いのですが、「給与」から減給と規定されているのであれば、効力が問われます。

2009年6月 8日

賞与の支払は支払日に在籍していることを条件にできるか?

Q.賞与の支払日に在籍していることを条件にできるか?


A.可能。ただし、就業規則等に「賞与は、支給日に在籍していない者については支払わない」などと明確に記載しておくことが重要。そうでないとトラブルの元となる。

2009年6月 5日

経営状況の悪化により賞与を支払わないこととすることが出来るか?

Q 経営状況が悪いので賞与を支払わないこととしたいができるか。

A 就業規則や労働協約で支払金額が定められていなければ、可能である。「会社の業績又は経済状況等により支給時季を延期し又は支給しないことがある。」のように、業績によっては支払わないことがある旨を明記しておくことが重要。


2009年6月 4日

月給制の欠勤等の控除はどうするか?

Q:月給制で、欠勤や遅刻・早退で賃金カットする場合、月の平均所定労働時間で割ることになるのか?


A:欠勤等の控除の計算方法は、
  ①月決め賃金÷1ヵ月平均所定労働日数(時間数)
  ②月決め賃金÷その月の所定労働日数(時間数)
の2つの方法がある。理論上は①が正しいが、②でも法違反にはならない。なぜなら、月によって金額が異なっても、年間ベースで見れば不公平はない。実際は②の方が計算しやすい。
 ここでは、基本給からの控除のみとした。他の月決めの手当を控除の対象賃金とすることも可能。

2009年5月28日

時間外手当を支払う必要があるか?

Q:早朝ミーティング、始業前の店舗前の掃除、制服の着替え時間、昼の電話当番、交替勤務時の引き継ぎ時間(所定労働時間外の)に対して、時間外労働手当を支払う必要があるか?

A:習慣上義務化された早朝ミーティングは出席しないと業務に支障を来すものであれば、使用者の直接の支配化で行われるため労働時間となる。始業前の店舗の掃除、制服の着替え時間は義務づけられている場合は労働時間。昼の電話当番も制度的に行う場合は労働時間となる。交替勤務の所定労働時間前後の引継時間も労働時間もである。

2009年5月27日

会社の指示による休日出勤について

Q:ボランティアとして会社の指示で休日に会社近くの公園の清掃を行わせた場合、休日出勤として取り扱うべきか?

A:公園の清掃の行為自体は、清掃作業費用を自治体から受領するのではないからボランティアに該当するとしても、清掃作業という労働そのものは会社の指示命令によるものであるから休日労働となる。

休日出勤の強制力は36協定が締結され、労働基準監督署へ届出されているこが前提となりますが、基本的に個々の労働契約や就業規則、労働協約の内容によって決まります。したがって、就業規則等において「業務の都合により所定労働時間外あるいは所定休日に労働を命じることがある」等の記載があれば業務命令として休日出勤を命ずることができ、従わない場合は業務命令違反として、懲戒処分を行うことも可能です。

2009年5月26日

待機時間の残業手当は?

Q:所定労働時間終了後、会議に出席するよう労働者に命じたが、会議開始時間まで時間が数時間あるため時間をつぶさせたが、残業手当はどのように支払うべきか。


A:待機している時間を休憩時間とみるか休息時間とみるか、又は手待時間とみるかによって異なってくるが、一般的には休憩時間又は休息時間と考えられる。したがって、残業手当の対象時間にはならないと考える。

2009年5月25日

1時間遅刻してきた労働者に、その日1時間残業させると、割増は必要か?

Q.1時間遅刻してきた労働者に、その日1時間残業させたが、時間外割増賃金は支払わなければならないか。

A.総労働時間は所定労働時間に収まっているので、時間外割増賃金は不要である。

2009年5月22日

自宅待機させているが、賃金の支払いが必要か?

Q仕事の性質上緊急呼び出しの可能性があるため、労働者を就業時間外及び休日に自宅又は連絡可能な状態に待機させているが、賃金の支払いが必要か?


A 労働時間とはみられないので、賃金としての支給は不要。ただし、一般的には「待機手当」のようなものを支給している。賃金規則に記載する場合は、「待機手当 緊急の事態に対処するために自宅待機したものに対して、平日日額500円、休日日額1000円を支給する。」と定めればよい。なお、この手当ては通常の労働に対する賃金ではないので、割増賃金の計算の基礎には算入しなくてよい。

2009年5月21日

休日労働手当は必要か?

Q:休日に部外の研修に行かせた場合、休日労働手当が必要か?

A:業務命令で行ったのであれば休日労働となり、休日労働手当が必要。また、外部研修の研修時間が、会社の所定労働時間を超えている場合は、当然時間外労働となる。

2009年5月20日

直行直帰で仕事をした場合の残業手当の支払いは?

Q.自宅から直行直帰で建設現場の監督に行かせた場合、残業時間の把握ができないので、残業手当を支払わなくてもよいか。現実には多少は残業があるので、支払うとしたらどのように支払ったらよいか。


A.通常は、事業場外労働ということで、所定労働時間労働したものとみなすことになるので残業手当は必要ない。しかし、その業務を行うときは大抵残業が付きものであるという場合はその時間を含めて労働したものとみなすことになるので、労基法第38条の2第2項の「事業場外労働に関する協定」を締結して、「現場作業の日は1日9時間労働したものとみなす」ということにして、1時間分残業手当を支払うというのが合理的と思われる。

2009年5月18日

残業手当てを定額で支払うことはできないか?

Q:残業手当てを定額で支払うことはできないか?

A:定額で支払うためには①定額分が労基法第37条で定めた計算方法による割増賃金額を下回らないこと②そのため定額分を超える実績に対しては不足額を支払うこと、の2点が必要。したがって、割増賃金が定額であることを賃金規則に明示して周知し、毎月の実際の残業時間と定額残業分とを比較して不足している場合は差額を支払うという措置を講じる場合は可能。

2009年5月16日

会社に勝手に残って仕事をしても残業になるか?

Q:会社に勝手に残って仕事をしても残業になるか?

A:使用者(管理者)が黙認している場合は残業になる。残業は本来業務命令があって初めて行うものであるが、労働者が残業していることをやめさせることなくさせている場合は、「黙示の承認」があったと考えられ、「残業させていない」とは抗弁できない。
 なお、労基法第121条第2項は「事業主が違反の計画を知りその防止に必要な措置を講じなかった場合、違反行為を知り、その是正に必要な措置を講じなかった場合又は違反を教唆した場合においては、事業主も行為者として罰する」として不作為そのものを犯罪行為としている。

2009年5月15日

年俸制の労働者には残業手当は不要か?

Q:年俸制の労働者には残業手当は不要か?


A:年俸制であっても、時間外、休日労働時間に対する割増賃金は支払わなければならない。年俸制の賃金の中に、

①時間外・休日労働時間とそれに対応する割増賃金が明確にされていて、かつそのことを労使双方が認識していること。
②割増賃金相当部分とした賃金が法定の割増賃金以上であること

の場合は、労基法第37条違反にはならないが、そうでない場合は別途支払わなければならない。(大阪地版平14..10.25システムワークス事件)
 なお、割増賃金の算定に当たって、年俸を毎月分の月給と賞与に分けて支払っている場合は年俸金額を12で除した金額をひと月の賃金として計算することになる。(平12.3.8基収第78号)

2009年5月12日

役職手当の日割り計算について

Q:月の途中に役職手当を解いた場合、当月の役職手当の支払は必要か?


A:月給制であれば全額の支払が必要。ただし、就業規則で定めれば日割り計算は可能であるが、原則的には本人に不利にならないように行うべきである。何も定めていない場合は全額の支払が必要。

2009年4月30日

家族手当を廃止したいができるか?

Q:家族手当を廃止したいができるか?


A:家族手当は直接の労働に対する対価ではないこと、働かない配偶者の優遇策につながり女性の社会進出を阻害しているなどの理由から、特に配偶者に対する家族手当の廃止が増加してきている。ただし、突然の廃止は、一方的不利益変更になるので、ソフトランディングが必要。

2009年4月24日

退職労働者からの積立金の返還請求について

Q:親睦費として毎月積み立てているお金について、退職労働者から返還要求がきた。社員の香典などに使っており、これは貯蓄金ではないので返さなくてもよいか?


A:労基法23条で、退職労働者から請求があった場合には、7日以内に賃金、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず返還しなければならないこととなっている。しかし、従業員の任意組織としての親睦会が管理・運営している場合は、会社に返還義務はない。
  また会社が管理している場合でも、親睦会規約で返還義務を定めているとき以外は必要ない。なぜなら、香典などに使用している場合、その親睦会費は社員全員の共有財産的な性質を持っていると考えられ、親睦会の目的に使用するものであるから、退職のつど返還していては、退職者の持ち分を計算することが困難なばかりではなく、常に不足することになり非現実的である。親睦会費は労働者に帰属する金員ではなく、会社は単に全社員の委任により管理、運営しているだけと見るべきである。もっとも、会社主催の旅行積立金として積み立てたが行く前に退職する場合は、本人に帰属する金員であり返還義務がある。

2009年4月22日

業務外の私的な行為 会社の懲戒は不当?

Q:業務外で生じた個人的なトラブルについて、訴訟の提起を考えている30代男性。これを知った上司に、「顧客や取引先の手前、会社のイメージが悪くなる」と注意され、実際に提訴すれば何らかの懲戒処分もあり得るとにおわされた。私的な行為についても、会社は禁じたり懲戒処分を下したりできるのだろうか?

A:企業秩序関連なら処分も
  
 懲戒解雇される事例が多いのは、業務命令に違反した場合だ。一方、社員が就業時間外に企業の外でする私的な行為には、労働契約に基づく会社の命令権や懲戒権は原則として及ばない。企業外で罪を犯したとしても、それが直接に懲戒事由となるわけではない。
 判例では私的な行為に対する会社の懲戒処分が認められる場合を限定している。それは社員が企業外で行った非行・犯罪の性質、社員の会社での地位、会社の規模・業種や社会における位置づけなどを総合的に考えた結果、「会社の社会的評価に相当重大な悪影響がある」「企業の円滑な運営に支障をきたすおそれがあるなど企業秩序に関係を有する」といった場合だ。

 例えば、飲酒運転で検挙された社員の懲戒解雇が常に有効になるとは限らない。だが大手運送会社の運転手が業務終了後に飲酒運転で検挙された例では、業務の特性も踏まえて懲戒解雇を有効とした(2007年東京地裁)。かつて国鉄職員が職場外で警察官に暴行を加えたケースでは、国鉄の公共性が高く「廉潔性の保持を社会から要請ないし期待されている」ことを重視。一般私企業の従業員より厳しく規制される合理的理由があるとして、やはり懲戒処分を容認した(1974年最高裁)。
 
 社員が訴訟を起こすような場合はどうか。外資系証券幹部が日本公認会計士協会を相手に、個人として訴訟を提起した例がある。会社はその名声にとって有害になるとして取り下げを命じたが、社員が応じなかったため懲戒解雇した。
 このケースでは、社員が自分の営業成績に影響を及ぼす監査指針を出した協会を訴えたことから、全く私的な行為とはいえず「事業活動の一環」であり、会社の指揮命令権限を認めた。よって懲戒解雇は有効とされた(05年東京高裁)。
 離婚や相続に関する訴訟など純粋に私的なものを除き、「業務と私的行為の中間領域でも、会社の組織や立場を度外視して個人の問題と言い切るのは難しい」(労働法に詳しい金久保茂弁護士)といえるだろう。

懲戒処分の対象となる主な行為類型
 企業が懲戒制度をおくには就業規則に定めなければならない(労働基準法89条)
 ①労務提供義務関連(業務命令違反、無断欠勤など)
 ②企業の施設や資材の保持関連(物品の無断使用など)
 ③災害の防止や衛生の保持関連(安全規則の無視など)
 ④事務所内、就業時間中の秩序保持関連(無断集会、暴力行為など)
 ⑤企業の信用や名誉の保持関連(秘密漏洩、会社批判など)

<ポイント>
 ①企業外・就業時間外の私的行為は原則として懲戒対象外
 ②社員や会社の立場から企業秩序にかかわる場合は処分も

2009年4月21日

通勤手当の受給について

Q:会社まで電車で30分かかります。通勤時間の短縮と健康を考えて自転車通勤に切り替えたのですが、会社から通勤手当を引き続き受給しても良いのでしょうか?

A:まず、一般に通勤手当といわれるものの性格を説明しましょう。
 通勤手当は、利用する交通機関の運賃などを会社が従業員に支給するものです。会社までの交通費は、支給に関する決まりが何もなければ労働者の負担が原則です。
 しかし、会社が労働契約で支給を約束したり、就業規則でや給与規程で支給基準を定めたりしていれば、通勤手当は賃金として扱われ、労働者には受給する権利があります。会社が勝手に払わなかったり、減額したりはできません。
 もっとも、支給基準をどう定めるかは会社の裁量によります。例えば、通勤にかかる費用の全額ではなく、一部を定額で支払うと決めてもかまいません。このような場合は、通勤費の一部を補充するような趣旨になります。
 一般的には、「通勤手当は、自宅から会社までの合理的な経路による公共交通機関を利用した場合の実費相当額を支払う」などと定めたうえ、通勤経路を会社に届け出る規程が多いようです。
 このような場合、届け出た通勤経路で通勤することが支給条件となっているので、その交通機関を使わずに自転車通勤する場合には、通勤手当は受給できないことになります。会社に黙って、受給を続けていると懲戒処分などの対象にもなりかねず、注意が必要です。ただ、通勤経路などを問わず、自宅から距離に応じて一律に手当を支給するような場合には、問題はないと思われます。
 ご質問のケースでも、会社の規定が具体的にどのようになっているかにより、可否が異なります。通勤手当の位置づけや規程は会社により様々です。トラブルを避けるためにも、通勤手段や経路を変える場合には、会社に問い合わせる方が良いでしょう。
 なお、労働者災害補償保険法は、通勤の方法を「合理的な経路および方法」としており、手段は特定していません。このため、会社に届けずに自転車通勤する途中で交通事故などに遭った場合でも、労災は適用されると考えられます。
・通勤手当は就業規則などの定めにより支払われる
・経路を届け出る際は虚偽申告にならぬよう注意を
・通勤手段・経路の変更は事前の問い合わせが安全

2009年4月20日

安全配慮義務とは?

Q:安全配慮義務とは?                                                                                                                                                                      

A:業務上災害の発生は使用者の責任である。使用者と労働者は、労働契約を結んでいる。この労働契約から、当然発生する義務がある。
 労働者の義務は、職務専念義務、守秘義務、職場秩序維持義務などであり、使用者の義務の一つに「安全配慮義務」がある。
 安全配慮義務とは、労働基準法や労働安全衛生法を遵守するのは、当然であって、さらに、安全衛生上の管理を尽くさなければならない、ということである。これは、最高裁判例(昭50.2.25陸上自衛隊八戸車両整備工場事件)でも確立した考え方である。
 業務上災害が発生したことは、使用者がこの安全配慮義務を怠ったと解せられる。特に使用者に過失がなくても責任が問われる、無過失責任の考え方を採っている。

2009年4月16日

途中の入退社の賃金はどのように支払えばよいか?

Q:月給制であるが、途中の入退社の場合の賃金はどのようにして支払えばよいか?

A:月給制の者が月の途中で入退社した場合や休職した場合、月決め賃金をどのように支払うかを明確にしておくことが必要。途中入退社の者の1日当たりの賃金の計算方法は次のとおり4つある。
 
 ① 実労働日数(年休を含む。)を、1ヶ月の平均所定労働日数で除したものに、月給を乗ずる方法

 ② 実労働日数(年休を含む。)を、その月の所定労働日数で除したものに、月給を乗ずる方法

 ③ 在籍日数を、1ヶ月の平均暦日数で除したものに、月給を乗ずる方法

 ④ 在籍日数を、その月の暦日数で除したものに、月給を乗ずる方法

 どの方法でも違法ではなく、それぞれ一長一短があるが、④が計算がもっともしやすく、また月による変動は若干あるもののもっとも現実に合っていると思う。
 ただし、在籍が1日でもあれば全額支払ういわゆる完全月給制の場合は、「この規程で定める月決め賃金の支給については、賃金月の途中で入社又は退職、若しくは休職した場合でも全額支払う。」旨規定すればよい。
 いずれにしても、規定を明確にしておくことがトラブル防止のためには重要。

2009年4月15日

「携帯電話手当」を支給したいが賃金に該当するか?

Q:個人所有の携帯電話を仕事にも使用するので、補助として「携帯電話手当」を支給したいが賃金に該当するか?


A:個人の携帯電話の借上料についても、実費弁償となるように支給基準を設定すること。例えば、毎月の利用明細を提出させその一定割合を支給するなどの方法。一律の金額で支払っている場合は、賃金になる場合がある。

2009年4月14日

従業員の解雇について

Q:消費者金融から会社に電話が頻繁にかかってくる従業員を解雇できるか。また、賃金を差し押さえられた場合はどうしたらよいか?その場合解雇できるか?

A:賃金の差し押さえについては、債権者に支払うか、又は供託することになる。ただいずれにしてもこの程度では正当な解雇理由にはならない。

2009年4月10日

他社就労で休業手当は?

Q:業務量の激減を受け、休業中の社員がいます。本人には30日後の解雇を通告していましたが、他の社員の話では、すでに別の職場で働いているそうです。就労開始後は、休業手当の支給は必要ないという理解でよいでしょうか?

A:解雇予告期間が満了するまで労働関係は有効に存続するので、会社は賃金(休業手当)を支払わなければいけませんが、従業員も使用者の要請に応じて勤務する義務を負います。
「休業が続くと思ったので、他の働き口を探した」というのは、言い訳にならず、会社が休業を中断すれば、本人は出社要請を拒めません。
ただし、既に他社で働く旨の報告があり、「それが自らの意思による退職の意思表示と認められる場合、および現実に勤務開始した場合には、退職の意思表示があったものとして、それまでの期間に限り使用者は勤務を要求できる」と解されています。同時に、従業員側も引き続休業手当を受ける権利を失います。「何月何日付で自己都合退職の手続きを取りたい」旨を伝えて、本人と相談してください。

2009年4月 7日

ガソリン代を補助しているが、賃金になるか?

Q:従業員の私有車を会社の業務で使用させているので、ガソリン代を補助しているが、賃金になるか?


A:使用者の業務私用に伴うガソリン代や保険料、維持費については、実費弁償と考えられる。「車輌管理規定」を作成して、実費弁償となるよう支給基準を明確にすることが重要。走行距離等に無関係に一律に定めているような場合は賃金になる場合があるので注意。尚、補足ではあるが、個人所有の携帯電話を仕事で使用する場合についても、実費弁償となるよう、例えば毎月の利用明細を提出させるなどして支給基準を設定することが重要である。一律の金額で支払っている場合は、賃金になる場合がある。(賃金に該当する場合は、割増賃金の計算の基礎賃金になる。)

年次有給休暇の計画付与とは?

Q:年次有給休暇の計画付与とは?


A:年次有給休暇(以下、年休)は労働者が自由に時季を指定して休みをとることができる制度です。しかし実際には、経営者の年休本来の意義・目的に対する理解の不十分さ、年休をとらないのが当たり前みたいな意識の存在、また労働者における同僚や上司への気遣い、年休の目的・付与日数についての自覚の欠如などが年休取得への妨げとなっているのが現状です。

  そこで、労使協定により、有給休暇を与える時季に関する定めをし、それによって年休を計画的に付与することができるようになっています。ただし、各労働者の持つ休暇日数(前年度の繰越分を含む)のうち5日を超える分のみがこの規定の適用を受けます。(労基法第39条第5項)

 例えば年休未消化分が20日あったとします。このうち、5日を超える部分である15日は、労使協定の定めにより、使用者は時季を決めて計画的に付与することができるとするものです。残りの5日は労働者が自由に時季を指定できます。この方法ですと、事業場全体として休業日を定めて一斉に付与することができます。

 しかし、個人的に時季を指定してとりたい人にとっては、休みたくないときに年休を消化させられてしまうなど、心情的に面白くないことがあるかもしれません。欧米では年休の消化率は100%近くなっていますが、日本ではほぼ50%。年休消化のための苦肉の策といえますので、もしこういう制度があれば賛同していただきたいと思います。

 また、年休を一斉に付与すると、残りが5日未満になってしまう人がいる可能性があります。この場合でも、自由取得部分の5日は保証されなければなりません。そのために、不足してしまう人には、年休を増加して与えるなどに配慮が必要です。

振替休日と代休の相違は?

Q:振替休日と代休の相違は?

A:振替休日と代休の違いは、振替休日は所定休日を他の日に振り替える(変更する)ことで、代休は休日労働に対して恩恵的に与える休暇(勤務の免除)である。振替休日の場合、同一週内で振り替えた場合は問題ない。また、4週以内であれば労基法第35条の問題は発生しない。
ただし、他の週に振り替えたためその週の労働時間が週40時間を超えた場合は、その超えた部分は時間外労働になる。

1か月単位・1年単位の変形労働時間制について

Q:1か月単位・1年単位の変形労働時間制を、就業規則に変更条項があることを根拠に、月の途中で変更することができるか?

A:例えば、ある日の所定労働時間が1日7時間労働となっているのを変更して8時間とする場合である。一般的には一旦決定している変形労働時間制を変更するには、就業規則に例外的、限定的事例を記載し、その場合にのみに許される他はできないと解されている。

2009年4月 6日

降格処分に伴う賃金低下は違法か?

Q:降格処分に伴う賃金低下は違法か?人事権による降格というのはできるか?


A:懲戒処分としての降格に伴う賃金低下は合法。なお、人事権の行使としての降格も合法であるが、発令の際人事権によるものである旨を明らかにしておく方がよい。(東京地裁判決 平成13年8月31日アメリカンスクール事件。出入りの業者から謝礼を受け取っていたことと部下の管理監督能力を理由として施設管理部長からその2段階下のアシスタントマネージャーへの降格処分について、処分の程度も相当であり、人事権の行使として認められた例)

2009年4月 4日

セクハラがあった場合、損害賠償をしなければならないか?

Q:社内でセクハラがあった場合、会社も損害賠償をしなければならないか?


A:男女雇用機会均等法第21条(改正法第11条・平成19年4月1日施行)ではセクハラに起因する問題において雇用管理上配慮することを義務づけており、また、厚生労働大臣は事業主の配慮すべき事項として、事業主の方針の明確化と周知・啓発、苦情相談窓口の設置、事案が生じた場合の迅速・適切な対応などを定めている。したがって、これらを適切に実施していないと義務違反に問われ損害賠償もあり得る。

2009年4月 3日

水曜に年休を取得し土曜に労働した場合、割増賃金は必要か?

Q:完全週休2日制(1日8時間労働、土・日曜日休日)の会社で、水曜に年休を取得した労働者が土曜日に労働した場合、割増賃金は必要か?


A:割増賃金は1日8時間、1週40時間を超えたら労働に対して支払わなければならないのであるから、その週において実労働時間が40時間以内であれば労基法第37条の割増賃金の支払いは不要である。ただし、「土・日曜日出勤したときは、全て割増賃金を支払う」という規定になっている場合は支払い義務があるが、これは労基法第24条(全額払い)により支払い義務が生じるのであって、労基法第37条の問題ではない。

物損事故等における損害賠償額について

Q:物損事故等における損害賠償額について
  物損事故等における損害賠償額について、実損害額×一定率(限度額あり)は違法か?

A:運送会社やタクシー会社などで、「実損害額×一定率=求償金額(ただし、限度額あり。)」としている場合がある。「損害賠償額の最高限又は最低限として定めたことが明白であり、これを証明できる場合は、損害賠償の予定とは解されない」(労働省労働基準局編「労働基準法」上211頁)とされていることから、違法とはいえない。

2009年3月23日

過労で退職後に自殺  労災は認められる?

Q:過労で退職後に自殺  労災は認められる?

  過重労働がきっかけでうつ病を発症した40代の男性会社員。仕事を続けることができなくなり、退職したものの、約2ヶ月後に自殺した。遺族は退職前の仕事が自殺の原因だったとして労災認定を求めたが、労働基準監督署は認めなかった。退職してしまうと、「過労自殺」と認定されないのか。


A:在職中の発症なら認定も

 厚生労働省によると、仕事が原因で精神障害などを発症、自殺や自殺未遂をしたとして、労災認定の請求件数は増加傾向にある。2003、04年度は120件前後だったが、05年度は147件、06年度は176件、07年度は164件に達している。
 ただ、認定されたケースは在職中にうつ病などを発症、自殺や自殺未遂をした場合が多く、退職後に自殺した場合は在職中に比べると、ハードルは高くなる。
 「退職前の仕事とは別の原因で自殺した」などと認定されることがあるからだ。
 ただ過労のため退職したものの1ヵ月後に自殺した元保育士(当時21)について、東京地裁が「労災」と認定したケースがある。労基署は「退職後に治っていた」として認めなかったため、元保育士の両親が提訴。同地裁は06年9月、「うつ状態には気分変動があり、繰り返しながら回復していく」と指摘し、労基署の判断を取り消した。
 労災に詳しい弁護士は「うつ病は復帰に向けた活動ができるようになる回復期でも、壁にぶつかり、無力感から自殺することもある」と指摘する。
 1993年4月に自殺した元保育士は労災認定までは13年以上要した。だが06年9月の地裁判決に控訴しなかった国は退職後の自殺について幅広く認定するようになっている。
 例えば過労でうつ病を発症、希望退職した約7ヶ月後の02年7月に自殺したシステムエンジニアのケース。労基署は「退職前の業務と因果関係はない」として認めず、遺族からの審査請求に対し、労災保険審査官も05年12月に同じ判断だった。だが再審査請求を受けた国の労働保険審査会は08年1月、「在職中に発症した精神障害で自殺を考えるようになった」と労災認定した。
 ただ在職中に診断を受けずに退職した場合はいつ発症したかが焦点になる。弁護士は「在職中に本人が書いた日記や、家族や友人に送ったメールなどが役立つこともある」とアドバイスしている。

2009年3月16日

研究職から異動求められたが、従うしかないか?

Q:研究職から異動求められたが、従うしかないか?

 20年あまり専門研究職として勤めてきた40代の男性。突然、会社の方針で所属部門を大幅縮小することになり、営業職にうつって欲しいと打診された。そもそも研究職との約束で入社したので他への異動は想定していなかったが、従うしかないのだろうか。

A:「限定」契約なら同意必要

 一般的に職種変更を含む配置転換は、就業規則などでの明示など一定の条件を満たせば、本人の同意がなくても会社が命令できる。
 ただし、医師や教師のように特殊な技能や資格が必要な業務では、特定の職種に限って労務を提供するという「職種限定合意」をする例が多い。この場合、個別に本人が同意しなければ職種を変更できない。
 そのため、まず職種限定合意が存在しているかどうかが焦点となる。
 労働契約書に「ほかの職種には一切就かせない」という趣旨が明記してあれば合意を確認しやすい。求人票や労働条件通知書に職種の言及があるだけの場合は、雇用当初の予定や条件を示すにとどまり、不十分とされる。長年、専門的な職種を担った実態から「黙示の合意」認めた事例もあるが、契約上の記載がなければ「合意の存在は否定される傾向にある」(労働法に詳しい岩出誠弁護士)という。雇用安定を優先し、企業内の流動性を高める考え方が背景にあるためだ。
 職種限定合意が成立しており、本人があくまで職種転換に同意しない場合はどうなるのか。
 同意しなければ解雇となることもありうるが、会社がいきなり従業員を解雇すれば、解雇権の乱用(労働契約法16条)とみなされる。「会社は別の職種や割増退職金の提案などで解雇回避に努めたことを、また従業員はきちんと話し合いに応じたことを示す必要がある。
 専門家の間では、職種限定契約があっても個別同意なしに会社が職種変更できる場合もあると言及した判決が関心を集めている。職種限定合意があった社員の地位確認請求訴訟で、東京地裁は2007年、請求を認めたが、一般論として「配転を命じる正当な理由があるとの特段の事情が認められる場合は、配転を有効と認めるのが相当」との考え方を示した。
 労働問題に詳しい金久保茂弁護士は「解雇よりも職種変更を強制する方が現実的との考えによるもので、ほかの裁判にも影響を与えるかどうか注目される」としている。

ポイント① 職種限定の合意は労働契約書上に明記するべき
ポイント② 同意が得られず解雇する場合でも会社は回避努力が必要

2009年2月17日

Q:労働審判制度とは?

Q:労働審判制度とは?


A:裁判よりコスト・時間節約できる

 解雇や賃金、人事異動などを巡る個別的な労使紛争を、早く簡単に、かつ適正に解決するのが労働審判制度です。通常の訴訟よりも費用が安く、審判期日は3回以内で3カ月前後。話し合いによる解決である調停も目指します。06年に始まった制度ですが、半数ほどが解雇に関するものと言われています。
 解雇の場合、希望する解決条件が「職場復帰」か「金銭解決」か、方針を決めておいた方がいいでしょう。
 有期雇用で中途解雇されたAさんは、金銭解決を希望して申し立てました。解雇では会社側も本人も職場復帰には抵抗感がある一方、訴訟などの負担を考えれば「金銭で解決できる」方法にはお互い乗りやすい。職場復帰にこだわらないなら、労働審判はお勧めと言えます。
 1回目の期日は、各地方裁判所への申し立てから40日以内に指定されます。事前に会社側から答弁書が届くので、代理人の弁護士らと矛盾への指摘、反論などを準備します。整理解雇なら、「人員削減の必要性」「回避の努力」など4要件を満たしているかの確認が重要です。
 審理にあたるのは、裁判官1人と労使の専門家各1人の計3人。1回目の審理では主に事実関係の確認が行われます。会社側の主張が「おかしい」と感じれば、その都度、反論、質問をすることも出来ます。
 1回目から調停を勧められることも多く、条件が折り合えばここで調停が成立することも珍しくありません。ただ、慌てる必要はありません。Aさんは給与6カ月分の支払いを求めましたが、会社側の提示は3カ月分だったので持ち越しました。2回目で会社側は5カ月分まで譲歩し、Aさんも「納得できる額」と受け入れを決めました。
 2回目以降も双方が歩み寄るよう説得されますが、3回目までにまとまらなければ審判が下されます。結果が調停でも審判でも、効力は裁判の判決と同じです。審判に異議がある場合、2週間以内に申し立てれば、そのまま本裁判に移行することになります。ただ、そこまで行くことは少なく、約8割は調停や審判で解決しています。
 ここがツボ
 ・職場復帰にこだわらなければお勧めの制度
 ・双方の条件次第では1回目での調停成立も
 ・調停 ・ 審判の解決8割。異議あれば本訴へ

2008年12月17日

整理解雇の必要性が生じた場合の要件は?

Q質問
  整理解雇の必要性が生じた場合の要件は?

A答え
  整理解雇とは、経営上の理由により、事業の廃止または縮小をしなければならない事情が発生した場合に、やむを得ず労働者に対して行う解雇のことをいい、普通解雇の一つといえます。
部門や支店など企業の一部が閉鎖され、従業員が解雇されるのも、その一例です。

この整理解雇は、従業員側に何の非もないのに職を失い、収入源を絶たれるという大きな打撃を受けます。

よって解雇の中でも最も強い正当理由が要求されるといわれています。整理解雇が有効となるための要件としては、次の4つがあげられています。

すなわち

①経営上、人員削減の必要性があること

②残業時間の制限、経費削減や新規採用の停止など、解雇を回避するため努力を尽くしたこと

③解雇される者の選定基準が合理的であり、かつ、適正に適用されたこと

④整理解雇の必要性や内容について従業員に説明、協議する義務を尽くしたこと

2008年12月11日

1年の雇用契約を途中で解約(解雇)したいが、予告すれば可能か?

Q質問  1年の雇用契約を途中で解約(解雇)したいが、予告すれば可能か?


A答え  1~5年の契約とすると基本的にはその期間の雇用を保障することになり、やむを得ない事由以外の会社側の事由により途中で解雇(契約解除)する場合は残期間の賃金保証の問題を生ずるので、それを踏まえた上で契約期間を設定すること(民法第628条、第541条)。また、同じ理由で労働者の一方的な退職も損害賠償の対象になる。

 なお、平成16年1月施行の労基法では、1年を超える期間の契約を締結した場合は、1年経過後は労働者からの契約解除(退職)は民法の規定にかかわらずできることとなっている。(3年後に再検討。)
 1年の雇用契約が「雇用保証(保障)期間」と解釈される場合は、労基法第20条の手続きと正当な理由があれば解雇可能である。