欠勤等の控除の計算方法は、①月決め賃金÷一か月の平均所定労働日数(時間数)②月決め賃金÷その月の所定労働日数(時間数)の二つの保方法がある。
理論上は①が正しいが、②でも法違反にならない。なぜなら、月によって金額が異なっても、年間ベースで見れば不公平はない。実際は②の方が計算しやすい。
ここでは、基本給からの控除のみとした。他の月決めの手当を控除の対象賃金とすることも可能。
Q.仕事の性質上緊急呼び出しの可能性があるため、労働者を就業時間外及び休日に自宅又は連絡可能な状態に待機させているが、賃金の支払いが必要か?
A.労働時間とはみられないので、賃金としての支給は不要。ただし、一般的には「待機手当」のようなものを支給している。賃金規則に記載する場合は、「待機手当 緊急の事態に対処するために自宅待機した者に対して、平日日額500円、休日日額1000円を支給する。」と定めればよい。なお、この手当は通常の労働に対する賃金ではないので、割増賃金の計算の基礎には算入しなくてよい。
Q.降格に伴って賃金が減ることになるが、違法か?
A.降格(降職)に伴う賃金の減額は、法違反とはならない。ただし、月給制の場合は翌月から下げるのが原則。本人に不利にならないように行うべきである。降格(降職)の場合、就業規則で、「降格によるときは、発令日の属する賃金月の次の賃金月から適用する。」のようにきっちり定めておくことが重要。
Q.「病気」で会社から休職を命じられたら?
A.家庭の事情など仕事とは関係ない理由でうつ病となり、これまで通り職務を続けていくのが難しくなるケースがあります。本人は働けるとおもっていても、会社を休むように言ってきた場合、どうすればいいでしょうか。
法律にはいわゆる私傷病休職に関する規定がなく、多くの会社は就業規則で独自に規定を作っています。これまで通り働けなくなったからといって、すぐに解雇せず、一定の治療期間を与えて再び働いてもらえるようにするのが、労働者にとっても会社にとっても有益です。私傷病休職規定は解雇猶予規定といわれることもありますが、規定があるのをいいことに会社がむやみに労働者に休職命令を出すことは許されません。
建築工事の現場監督を長年していた原告が、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるバセドー病のため配置転換を求めたら、4カ月の自宅療養を命じられ、その間の賃金が不払いだったという事例がありました。現場監督は職種限定の採用ではなく、入社後にたまたま就いたにすぎません。負担の軽い仕事なら可能と申し出たのに、会社は拒絶し、休職を命じたのです。
最高裁判決は、現場監督ができないまでも他の業務ができるなら、傷病休職を命じる前に軽い仕事を検討すべきだとしました。軽い仕事とはいえ、ベテランが新人のような仕事でいいかというと、それは極端。経験や能力、会社の規模などに見合った範囲で判断されることになるでしょう。うつ病ならば、残業の免除など業務量を調整してもらう方法もあります。
会社の休職命令が適切かどうかの判断では、病気の程度が重要。その資料として通常は医師の診断書が欠かせません。受診や医師の選定などは原則として労働者の自由ですが、会社が健康状態を把握しようとするのに、正当な理由なく協力しない場合は解雇となる可能性があります。診断書の内容に疑問を抱く合理的な理由があれば、会社指定の医師に受診すべきだと判断した裁判例もあります。
うつ病でも休まずに仕事を続けられると主張したいのであれば、症状を正確に会社に理解してもらえる診断書を提出した上で、業務量の調整やストレスの少ない部署への異動などを話し合うべきでしょう。
<ポイント>
・むやみに労働者への休職命令をだすことは許されない
・会社は休職を命じる前、負担が軽い仕事への変更検討
・医師の診断書などを求められた場合はきちんと応じる
Q.12月1日で、今年40歳になるAさんの1回目の介護保険料は、何月分の給料から徴収されますか?①11月分 ②12月分 ③来年1月分の給料
A.①
介護保険には第1号被保険者(65歳以上の人)と、第2号日保険者(40歳から64歳までの人のうち健康保険など公的医療保険に加入している人)がいます。Aさんの場合、12月1日で40歳になれば、第2号被保険者となり、介護保険料を支払う義務が生じます。
第2号被保険者の介護保険料は健康保険料と一括して毎月の給料から徴収されます。Aさんは12月に40歳になるので、12月分の給料から介護保険料が徴収されるのではないかと多くの人は考えるかもしれませんが、実際の徴収は11月分の給料からになります。
「年齢計算に関する法律」によって、年齢が加算されるのは誕生日の前日の午後12時と定められています。Aさんはこの法律の上では12月1日の前日の11月30日に年齢が加算されて、40歳になります。このため、介護保険料を支払う義務は11月から生じているので、11月分の給料から保険料が徴収されることになります。12月2日生まれだと、法律上12月1日から年齢が加算されるので、12月分の給料からの徴収です。
Q.上司に休日の接待ゴルフに誘われました。断ってもいいですか?
A.事情説明し理解求める必要があります
接待ゴルフには2種類あるので注意してください。
1つは会社が業務の一環として実施するゴルフ。この場合、「参加しなさい」という上司の誘いは「会社による業務命令」とみなされます。多くの会社は就業規則に「業務命令として従業員を時間外・休日勤務させることができる」といった規定を設けており、この休日勤務にあたるわけです。出勤扱いになり、手当もでます。
断れば業務を怠ったと見なされ、勤務評定に響くケースもあり得ます。
しかし一般的な休日の接待ゴルフは、正式の業務ではなく、出勤扱いにならないケースが多いのも事実です。この場合、業務ではありませんから、私的な理由でも断ることができます。上司にも参加を強制する権利はありません。
とはいえ、取引先とのコミュニケーションの円滑化など、非公式の接待ゴルフにも一定の効果は期待できます。断ることのメリット・デメリットを考慮すれば、かたくなに断るのも得策ではないのかもしれません。
Q.インフルエンザにかかって発病している社員を出勤停止にできるか?
A.安衛法第68条は伝染性の疾病等にかかった労働者の就業禁止を規定しているが、労働安全衛生規則及び通達で、感染症法で予防措置がとられるものは、安衛法では対象としていない。(1類~3類感染症患者及び無症状病原体保有者[1~5類感染症、指定感染症、新感染症の病原体を有している者で症状を呈していない者])については、飲食物の製造、販売、調整又は取り扱いの際に飲食物に直接接触する業務について、エボラ出血熱、ジフテリア、SARSなど他者の身体に直接接触する業務や多数の者に接触する業務について、それぞれ都道府県知事が就業制限を行うこととされている。(感染症法施行規則第11条)
したがって、4類、5類感染症の疾病で上記に該当しない業務について安衛法に基づく就業禁止の対象となる。インフルエンザは5類感染症に分類されているので就業禁止が可能であるが、実際に就業禁止にする場合は産業医その他専門医の意見を聴かなければならないことになっている。(安衛則第61条第2項)この場合、法的には賃金の支払い義務はない。
Q.自転車で通勤したいのですが、注意点はありますか?
A.交通費、支給停止が大半です。
健康促進を兼ね、できるところから地球環境への貢献を始めようと、自転車通勤に切り替える人が増えています。しかし、会社によっては、駐輪場がないため自転車通勤を許可していないところもあります。本社以外の事業所に限って認めていたり、雨など天候の悪い日は禁止していたりと、細かく条件を設定している会社もあります。まずは社内規定を確認しましょう。明記していない時は、総務部門などに問い合わせれば答えてくれます。
これまで電車やバスなどで通勤していた場合、交通費は支給されなくなる場合がほとんどです。手当が出る会社もありますが、月額2000円程度の少額になるのが一般的です。
事故などのリスクにも注意が必要です。通勤途中の事故なら基本的には労災保険の対象ですが「寄り道」中の事故は認められません。また、法律上自転車は自動車と同じ車両とみなされますから、人にケガをさせ、賠償責任を問われることもあり得ます。
自転車の普及を推進する自転車文化センターの谷田貝一男氏は「通勤に毎日利用するなら損害保険に入るべき」と指摘しています。自転車販売店などでは、整備と簡易な保険をセットにしたサービスもあります。自転車通勤を始める前に、検討してみてはどうでしょう。
Q.健康診断費用は事業主が負担すべきか?人間ドックを希望する者についても全額負担すべきか?
A.健康診断の費用は会社負担である。ただし、労働者が会社の健診を希望せず自己の希望する医療機関で受診しその結果証明書を会社へ提出したときは、会社は健診義務を免れる。成人病健診や人間ドックを希望する者についての差額は労働者負担としても差し支えない。
Q.採用した労働者がすぐに辞めてしまった場合、採用に要した費用(新聞広告代、社宅代わりに会社が借りたマンションの敷金相当分など)を損害賠償として請求できるか?
A.可能性がないとはいえないと思われるが、裁判で認められたケースは希である。
東京地判平成4.9.30 ケインズインターナショナル事件:特定業務のため採用した労働者が短期間で退職したために、契約を打ち切られた事例で、得べかりし利益の7%、労働者の退職後に労働者が損害賠償として支払う旨合意した金額の3分の1だけ認められたケースがある程度である。